第3話 電脳世界《サバス》
『ようこそGEFの世界へ!』
「...」
転移早々ゲームの中かよ、と呆れ半分あの男なら...というのが半分である。
「しかしやっぱり良く出来てるな...」
俺は自分の身体を確認する。肌の触り心地も頬を抓った時の痛みもまるで本物みたい―――
「ああ、その通りだよ」
ビクッと驚いて顔を上げるとそこにはつい先程別れたばかりの優男が居た。
「あんたもこの世界に来ることが出来るのか?」
「サバスに行くことは不可能だけれど、このGEFの世界には来ることは可能なんだよ」
「そのGEFって何のことなんだ? さっき機械的な声にも言われたんだけど」
優男曰く、GEFとはサバスの世界規模ゲームのことで、正式名称はGEF。
そして俺に渡されたデバイス三種がGEFに没入する為の鍵になるとのこと。
そう言えばDB以外の身に付けていたデバイスが無い。
「背中に担いでるじゃないか」
「え?」
言われて首を捻って見るとそこには―――
「グリップ?」
俺は右手を背中に伸ばしてグリップを握る。するとテニスのラケットを握った時の様な感触が返ってきた。
そしてグリップを握ったまま抜剣。リン、と鈴の様な心地良い音が鳴り剣身が露わになる。
「おお!」
宇宙空間を切り抜いて槌で打った様な。ずっと見ていると吸い込まれてしまいそうな感覚を覚える。
剣身の色は言わずして漆黒、そして夜空に煌めく星の様に刀身が光っている。
ガード(刃とグリップの間にある手を守る部分)は三日月の様に湾曲しており、中央部には赤い宝石が鏤められている。
「剣になったのか?」
あのDWが? でもデバイスウェポンと言っていたからあり得るかもしれない。
「惜しいね。このAR内では剣に見えるだけで本当に剣になっているわけではないよ」
「俺以外の人間のデバイスも剣に見えるのか? それとDGは?」
流石にそれは無いだろうと思い問い掛ける。後者の質問は気になったので訊ねた。
優男は「良い質問だね」と言い続ける。
「このGEFはルール内での自由をテーマにしていてね。だからデバイスは十人十色、一人ひとりが特別なんだ。君みたいな王道武器の担ぎ手も居れば、機関銃なんて人も居るよ」
まあ、操作性があれなんだけど...と呟いたのを俺は聞き逃さなかった。
「あとDGは心配しなくてもちゃんと付けているよ。単に機能の一つで見えなくなって、重さを感じないくらい軽いってことさ」
優男がにこりと笑う。
DBはと言うと、着用者の現実での脈拍・心拍を測っているのだとか。没入中はHPやMPを確認出来るとのこと。
他に気になることはあったのだが「DBを適当にいじるとオプションが表示されるからそれを見ておくれ」と流された。
「GEFではクエストの報酬やモンスターのドロップアイテムで武器が手に入るから覚えておいてね。あとは...お金は素材を売ると手に入るよ。換金所に行くとリアルマネーにすることも出来るから」
それだとずっとGEF内に籠る連中も現れるのでは、と思い訊ねてみた。
「幾らこの世界が現実の二倍で進んでいるからと言ってもそれは出来ないようになっているよ...あ、この先GEFを楽しもうと思っている君に言っておかないといけないことがあったんだ―――」
「―――あまりダメージは受けない方が良いよ。デスゲームではないけど、デスペナルティは『GEFに一日ログイン不可能になる』だから」
それじゃあね、と言い残すと優男は光の粒子となり空に消えていった。
平日(次)に投稿するのは水曜日です。
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