1.7空母龍驤…と大事件
「え?で?それは本当なんですか!?」
「本当だ。ロンドン条約では1万トン以下の空母の制限対象内になった。そこで格納庫を二段式にして、48機を搭載できるようにしてくれ。」
「わかりました。これは根本的に設計をやり直す必要がありますな。」
空母龍驤は鳳翔の発展型とも言うべき小型空母になる予定だったのだが、ロンドン条約の影響で、48機の搭載能力が追加で要求されてしまった。
「格納庫は1段分を船体に埋め込み、2段目を上部構造物に組み込むのはどうだ?そうすれば重心を下げられて極端なトッポヘビーは避けられるぞ。それでもトップヘビーだが。」
「排水量をせめて12000tくらいにしてくれたら良いものを…まあ、最悪虚偽報告でなんとかするか…」
「艦橋はどうします?軍令部いわく平甲板型の空母にしろといわれていますが。」
「艦橋は飛行甲板の下に設置だ。重心を下げるために島型艦橋は論外だ。」
と議論をしていた時…
「藤本さん!大変です!特型駆逐艦、特に吹雪から浦波に亀裂が発生したとのことです!!」
「特Ⅰ型だけなのか??特Ⅱ型と特Ⅲ型に問題は発生していないのか?」
「その2つに関しては問題は報告されていません。おそらく、特Ⅱ型以降は製造簡略化のために艦種形状を変更したので…その影響だと思われます。」
「とりあえず定期点検時に全艦をドッグに入れて緊急調査だ。その時に特Ⅰ型は艦種形状を変更しておけ。それから軍令部にこれからはリベットの使用を優先するべしという文を送れ。電気溶接は上部構造物のみに抑えておけ。」
「これを機に平賀が舞い戻ってくることもあり得るから、あくまでも事故が起きたということは内密にな。」
……
あの特型船体破断事件から3ヶ月が経過し、ようやく龍驤の設計に戻ることが出来た。
特型の船体破断の要因は、電気溶接部の疲労…ではなく波により艦首付近の1点に一時的に大きな力が加わり、その部分が割れてしまったということだった。そのため、特型駆逐艦全艦に補強工事が施された。
「ふぅ、ようやく一段落だ。龍驤の設計に戻ることが出来たな。」
「あぁ、そうだな。それはともあれ続きだ。で、次は何を検討するんだったっけ??」
「まあ、とりあえず次は…煙突の形状だ。左舷側に下向き湾曲煙突を設置するのは確定なのだが…」
「排煙が対空武装を直撃する問題があるんだよな。排煙が少ないディーゼル機関は信頼性が低いですしね。」
「とりあえず煙突後方の火器には防煙シールドを装着して凌ぐことにしよう。」
「これからの航空機運用を考えると、エレベーターは6t対応、飛行甲板は極限まで伸ばしたほうが良かろう。」
と議論は進み、最終的に性能は
航空母艦”龍驤”
・基準排水量 11200t
・公称排水量 9500t
・全長 192m
・最大幅(船体) 21m
・機関 ロ号艦本式4基、艦本式ディーゼル2基(補助機関)
・速力(ロ号のみ)24kt、(補助機関アリ)32kt
・吃水 7.2m
・6tエレベーター2基(縦12m×横10m)
・飛行甲板(180m×23m)
・搭載機数 48機(格納庫内36機、露天12機)
・武装
八九式十二糎七高角砲 4基
九三式十三粍四連装機銃 6基
毘式四十粍連装機銃 4基
となった。
また、設計が終了したのと同時期、技研に左遷されていた平賀はそれでも権威が強すぎたのか、造船中将に格上げの上、東大工学部に追い出された。




