1.6 初春型駆逐艦
千鳥型水雷艇を設計しているのと同時期、新たな無理難題が私のところに舞い込んできた。
それは初春型駆逐艦である。
史実ではThe トップヘビーなフネになった本艦であったが、軍令部も千鳥型の件があってから流石に要求性能に無理があると気がついたのか、主な要求は
・排水量 1400t程度
・12.7㎝砲 4門以上
・61㎝魚雷 6射線以上
・速力 34kt以上
・航続距離 3000海里ほど
というごくごく普通な要求となった。
「今回は特段無理な要求ではございませんな。ようやく軍令部も物理法則を理解し始めましたか。」
「まあ、無理難題を言ってこなくなったのは良いことだ。まず、船体から決めてゆこう。」
「基本的には特型の設計を継承するのはどうだ?全幅も三連装魚雷を載せるのだったら同じ程度になるだろうから、駆逐艦にしては少し太ましい船になるな。」
「藤本閣下、実は技研の方から、魚雷の自動装填装置が完成したとの報告が来ているのです。地上試験では、15分ほどで再装填に成功したそうです。それを搭載すれば、敵の不意をつくことも出来るやもしれません。」
「魚雷は元々重心を下げるために低い位置に搭載されているので、あまり重心の心配はないでしょうが、1撃の被弾でやられるリスクは向上しますな。」
「しかし、列強諸国はこの機構を知らないはずだ。例えば、反転すると見せかけて再度雷撃するという戦法では有効だろう。」
「我々が話し合うのは戦法ではない。そこは水雷戦隊に任せるのだ。まあ、魚雷次発装填装置があるにこしたことはないだろう。さらにこの武装なら、かなりの余剰重量が生まれる計算になるぞ。その点はどうするのだ?」
「要求にはないが、対潜水艦用の爆雷を増やすのはどうだ?前大戦ではUボートが猛威を振るっただろう?次の大戦でも似たようなことは起こるだろう。」
「工廠から電気溶接をもっと多用したいとの声が出ているが、今回はまだ未熟で日本周辺の複雑な波で船体が破断するリスクがあるとして、全ての上部構造物のみの採用にするのはどうだ??」
「そうするか。」
と最終的に議論はまとまり、以下のような設計性能になった
初春型駆逐艦
・基準排水量 1480t
・満載排水量 1740t
・全長 109m
・全幅 10.2m
・吃水 3.2m
・機関 空気余熱器付きロ号艦本式3基
・速力 35kt
・航続距離 3200海里
・武装
三年式十二糎七連装砲B型砲塔(後期建造艦はC型) 2基
九〇式魚雷用三連装発射管(次発装填装置付き) 2基
毘式40mm単装機銃 2挺
爆雷 54発
八一式爆雷投射器 4基
爆雷投下軌条 2条
初春型駆逐艦は1934年から順次竣工していった。




