1.2 特型駆逐艦の設計
時を少し戻して1920年代半ば、平賀譲が出張中の時、特型駆逐艦、つまり後の吹雪型の設計が開始された。
「軍令部からの要求性能は61cm魚雷発射管9射線(3連装3基)、12.7cm砲6門、速力37ノットか。これはかなり軽量化をしないと駆逐艦とするのは厳しいぞ。」
「藤本主任、平賀氏の軽巡洋艦夕張の手法を取り入れるのが良いと思われます。あのフネは軽巡洋艦の武装を駆逐艦型の船体に押し込むことに成功しています。」
「さらに新技術である電気溶接を多用すれば、十分に軍令部の要求を満たす事ができるだろう。」
「防御の面はどうするのですか?簡単に沈むフネでは軍令部も困ると思いますよ。」
「機関を少しずらして配置し、雷撃命中時に片肺でもいいから航行できるように、さらに自動注水・排水装置をつけよう。そうすれば装甲が薄くても沈みにくいだろう。しかし、これら装置はまだ性能が低いからな。区画の細分化で改善しよう。」
「確かにその配置ならば防御面では有利だろうが、船体は数m長くなるぞ?さらに夕張の船体外板を強度部材として使うあのやり方は少々まだ未熟な方式である電気溶接との相性が悪いかと。」
「船体は長いほど速力が出せる…が安定性が犠牲になるな。電気溶接については、船殻のみの採用とかはどうだ?」
「12.7㎝砲を前に2基搭載すると確実に重量過多になるな…重心を下げるために後部に搭載しよう。さらに速力を出すためには、長船首楼船型が必要だな。」
「しかし、搭載する12.7cm砲はかなり重量級らしい。いかに重心を下げるかが重要だな。改装によって軽量なものに出来るといいが…」
「そうですな。おそらく排水量は要求の1700tを若干超過するだろうが、若干ならば問題ないだろう。」
「それよりも駆逐艦の主兵装、魚雷ですぞ!睦月型の61㎝魚雷を流用するとのことですが、乗員から魚雷は雨風にさらされるという苦情が来ていますぞ。どうするのですか?藤本閣下!」
ここで注意点だが、本艦の魚雷は九三式魚雷こと酸素魚雷…ではなく一世代前の九〇式魚雷である。
「それに関してはシールドをつければ解消するだろう。しかし、これらを更につけるとなると、艦底にバラスト用スペースが必要だな。」
「それには賛成です。転覆でお高いフネが沈んでしまってはもったいない。」
……
最終的に
・機関シフト配置
・電気溶接の一部使用
・艦底バラストの設置
などが新要素として盛り込まれた。
特I型駆逐艦
・基準排水量 1760t
・満載排水量 2360t
・全長 122.4m
・最大幅 10.5m
・吃水 3.2m
・機関 ロ号艦本式4基
・速力 37.6kt
・乗員 207名
・武装
五十口径三年式十二糎七砲A砲塔3基(艦首1、艦尾2)
シールド付き十二年式3連装発射管3基
八一式投射機2基、装填台2基
爆雷18個
12.7mm機関銃2挺
特II型駆逐艦
・基準排水量 1760t
・満載排水量 2360t
・全長 122.4m
・最大幅 10.5m
・吃水 3.2m
・機関 ロ号艦本式4基
・速力 37.6kt
・乗員 207名
・武装
五十口径三年式十二糎七砲B砲塔3基(艦首1、艦尾2)
シールド付き十二年式3連装発射管3基
八一式投射機2基、装填台2基
爆雷18個
12.7mm機関銃2挺
・I型との変更点として、主砲射撃方位盤を搭載、主砲はB型へ
特III型駆逐艦
・基準排水量 1760t
・満載排水量 2360t
・全長 122.4m
・最大幅 10.5m
・吃水 3.2m
・機関 空気余熱器付きロ号艦本式3基
・速力 37.6kt
・乗員 207名
・武装
五十口径三年式十二糎七砲C砲塔3基(艦首1、艦尾2)
シールド付き十二年式3連装発射管3基
八一式投射機2基、装填台2基
爆雷18個
12.7mm機関銃2挺
・I型との変更点として、主砲射撃方位盤を搭載
・II型との変更点として、空気余熱器付きロ号艦本式缶を搭載、主砲はC型へ
各艦は復元性に考慮して史実のような艦橋の大型化は発生せず、また、艦上構造物は量産性に考慮し角張った形となった。




