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次の目標は?


 やっほ~! オタクくん、みってる~?

 俺は、ルゥケットとの一件でちょっと疲れちゃったから、庭のベンチに座って休憩してるよ~!

 魔界の土で作ったインキュバスゴーレムの体は、絶好調なんだけどね?

 なんか気分がパッとしなくて、公園で見掛けるおじさんみたいに風景をぼんやり眺めているよ。


「チート魔法って、使いこなすのがこんなにも面倒だったんだなぁ⋯⋯」


 なんとも夢の無い異世界転生だ。

 現世で欲深かった人間はすぐに天国には行けず、煉獄で暫く苦しみます、と言われているような気持ちになる。

 俺の前世なんて、頑張っても頑張っても青い山で大遭難、って感じだったんだけどなぁ。

 来世で報われるほどの不幸でも、善人でも無かったと、あの女神様は言いたいのだろう。


「なんか、勝手に決められてるの、腹が立ってくるなぁ⋯⋯。どんな感じで転生するかとか、どんな人生を送るかっての、俺が決めても良いわけじゃん」


 あの女神様と俺との間に、いったいどれだけの知性と教養と先読み能力の差があると言うのだろう。

 神には許されて、俺には許されない理由とはいったい、なんだろう。

 俺が自分から「面倒だし責任も取りたくないから俺の人生のレールは女神様が引いてよ」と頼んだのならば、この展開にも納得は行く。

 だけど、現実はそうじゃない。


「⋯⋯次に攻略するカワイコちゃん、あの女神様の配下の天使にしようかな?」


 それは、ほんのちょっとした復讐。

 いや、そんな格好良いお題目じゃない。単なる逆ギレの腹いせだ。

 天使ちゃんは何もしてない無関係の第三者なのに、無意味に巻き込もうとするなんて、良くないことだと俺の脳内の声も言っている。


「⋯⋯でも、いっか。なんか、他人に優しくすんのもダリィ気分だし」


 文句があるなら、俺をこんな状態にした環境だとか、上司の女神に言えば良い。

 俺はこんな風に責任逃れして、生じる苦痛は全部スケープゴートに押しつけたい。

 ⋯⋯そりゃあ、転生しても楽園に招かれることは無いわな、うん。こんなの悪魔サイドの発想だろ。

 今更か。今更だな。てか、俺自身のことについて考えてても時間の無駄だ。


「天使ちゃんを魅了するには、とにかく天使ちゃんに会わないとだろ⋯⋯? でも、それ、どうやったらイケるんだ⋯⋯?」


 天使がいるのは、天界だ。

 お告げだの何だので夢の世界に現れることも稀にあるらしいが、それだと確実性が無い。

 夢の世界で張り込むなんて、秋の終わりに海辺で水着のギャルを探すようなものだ。もしかしたらワンチャン会えるかもしれないが、そんなことあったら奇跡レベルだ。


「となると、俺が天界に行くのが手っ取り早いか⋯⋯?」


 確か、この世界での古代神話に、またまた空から落ちてきた天使の魔力を解析し、異次元に存在する天界への転送陣を組み上げた女のエピソードがあったはずだ。

 俺の種族リロードを、こう、良い感じに使って天使の体をゲットできたら、同じことが出来るんじゃないか?


「いや、絶対に出来るはずだ! だってエルシーは大天才だし!」


 善は急げだ。俺は椅子から立ち上がり、裏庭へ向かって駆け出した。

 次の目的地は天界。サイコーに可愛い天使ちゃんを捕まえるため、全速前進だ~!



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