演劇部
真那と博美の話し。
真那 ヒロ、 今から演劇部行こ。
博美 いきなりどうしたん?
真那 顧問の先生に時間ある時に見に来てって誘われててね。 で、ヒロも部活持つかもやし、見学見学。
博美 うまいこと言うな〜 ま、いいよ!
(演劇部が練習している教室では、男子部員のゲキとカガミ、女子部員のクロコが文化祭の出し物について話している)
ゲキ 文化祭ではコメディしたいな。
クロコ そやな。
カガミ ネタ考えなやけど、 インプロしながら作っていこっか?
ゲキ いいね、 ビデオ撮っといて。
クロコ とりあえずテーマ決める?
カガミ 事件、 発明、、 う〜ん、 浮かばん。
クロコ 早っ もっと考えろよ!
ゲキ 発明でええやん、やってみようや。 ん?
(真那と博美が入ってくる)
真那 失礼します。
ゲキ ま、真那先生!
真那 見学に来ました。
クロコ わぁ、 嬉しいです! よく来てくれました。
真那 草薙先生もね。
クロコ あぁ〜 二人とも素敵。
真那 今は何してるん?
ゲキ 文化祭でコメディしようってことになって、インプロしながらネタ作っていこうと。
真那 インプロ?
ゲキ あ、 即興劇です。
真那 え? 凄っ。
クロコ そんなことないですよ、 ぐだぐだなりますし。 で、ビデオで撮ってネタをつくるんです。 撮っておくとダメ出しもできるんで。
博美 めっちゃおもしろそうやん!
真那 ほんまやね。
カガミ そうだ、 お二人も参加しませんか?
真那 ええっ、 無理無理。
クロコ いいじゃないですか! 私たちも活動内容を知ってもらいたいし。
真那 で、でも、 即興なんて、、
ゲキ 大丈夫ですよ、僕たちだって手探りですし。 基本は相手のすることを受け止めて話を膨らませていくだけですから。それにコメディにしたいんで、失敗とかもネタとして使えます。
博美 ええやん、 やってみようや!
カガミ ヒロ先生、 ノリ良いっす!
真那 な、なに二人で親指立ててんの。
カガミ ヒロ先生ならネタの宝庫ですよ!
博美 輝かしい目線を送って来るな! そこは合わせへんで。
クロコ はは、 あれぐらいの方が楽しいですよ。
博美 ほら、真那!
真那 緊張する〜
ゲキ それじゃ設定ですけど、発明でやろうと思ってたんで、 そうですね〜 「癒やしのAIロボット発明会議」にしましょう。 僕が始めるんで真那先生は僕の上司、3人が各々報告していく役でいきましょう。
カガミ カメラカメラ、 あ! うん、、 よ、 よしOK。
博美 ん? フフフ、
クロコ ほら先生、始めますよ。
真那 お、OK!
ゲキ ストレスの多い現代社会に癒やしを提供するのが我社の使命。とうとう究極のロボット「癒やしぃ」の完成が近付いてきました。今日は現状報告と課題、今後の改善点を話していきたいと思います。 高天原部長、よろしくお願いします。
真那 ああ。 よ、よくここまで進めてくれた。 みんなの努力が社会を良くする。最高のものを作ろう。 期待しているよ。
ゲキ はい、もちろんです。 ではみんな、始めてくれたまえ。
クロコ かしこまりました。 「癒やし」というテーマを持ったロボットですが、やはり難しかったのは人間と共感できる存在にするということ。感情の理解、感情を表現する表情、声など、どこが欠けても駄目です。 現在深層学習により人のみならず動物、映画、アニメなど、世の中にある全てを学ばせることで究極のレベルに到達すべく進めています。 現状、99%はあらゆる対応ができていると言えます。 「好きです!」
真那 素晴らしいアプローチだ! 確かに私達人間は意識しているところだけが全てではない、無意識でありとあらゆる物事に接しているのだから。 私も君の考えが好きだよ。
ゲキ まったくもって、 「素晴らしい人!」 です。
カガミ その通り素晴らしい。 「僕は愛しています!」
真那 力強い眼差しだ。 聞かせてくれたまえ、その愛を。
カガミ 「同性からも憧れる存在!」 優しくて賢くて心に寄り添う包容力。 異性はしかしその高貴な存在と魅力、抗えないエロティックな感覚に苛まれて日々、悶々としてしまう。 まさに 「誰にとっても特別な存在!」 と言えます。
真那 一気に人の欲望にまで話が進んだな。 だが、「癒やしぃ」はそこまで入り込めるのか?
博美 もちろんです。 まさに私のようにすば
ゲキ 違います。
カガミ 断じて。
博美 ひ、否定が早ない? せめてボールを受け止め
クロコ しかしこのようなお茶目な姿も、「癒やしぃ」は見せてくれます。
ゲキ ただその場合も、空気を読んだ上でスベるだけです。
カガミ つまり「あえて」です。
博美 「受け止めて膨らませる」が変化球で驚きましたが、「癒やしぃ」は私が今感じた驚きについても感情で理解し、対応できるのです。 少しライトなやり取りをお見せしましたが、より身近な例を感じてもらおうと。 文字通り「全て」に対応できる能力が出来上がりつつあります!
真那 これはすごい! 君たちの息もピッタリだな。 とても良いチームだ。
ゲキ ありがとうございます。 チームワークというのは非常に大切で、メンバーが思うことを瞬時に理解し、対応しなければなりません。
カガミ そしてすぐ行動に移す。 僕たちは今まさにガッツポーズをしています。
クロコ 私達の目標が、そこまで近付いているのですから!
博美 これは天下を取ったような三人ですが、しかし人は気付いてしまいます。
真那 ん? 何をだね?
博美 本当に欲しいモノに。
真那 欲しいモノ?
博美 そう。 人の行動を注意して見ていると、実は各々の気持ちが漏れていることが分かるのです。 この一人ひとりの気持ちに気付くことができれば、「本当に欲しいモノ」が分かるのですが、これが難しい。共通の目的の前では個人的な欲望は隠れてしまうからです。 そして目的に達した時、今度は個人の欲望のために争うのが常。
カガミ 「愛している!」と言ったのはオレやけど。
ゲキ いや、それはちゃう。 オレは全てを肯定する、「素晴らしい!」という言葉を使った。
クロコ いやいや、 私が初めに、「好きです!」と言った。
ゲキ それはちゃうやろ? たまたま最初のセリフ取っただけやし。
クロコ 取ったのも私の意思やから、つまり私が一番始めってことになるな。
真那 ちょっと、ちょっと、、 何?
博美 と、このようにロボットを究極にすることができても、人間の欲望は際限がないという課題が突きつけられるわけです。
真那 な、なるほど。 では、やはり改善すべきは人間ということ。 ロボットから学ぶことが解決につながるのかもしれないな。
博美 多様な関係が次の段階に引き上げてくれるのでしょう! とまあ、 こんな感じ?
クロコ は? え、 ヒロ先生、、 お、お二人、 とても凄いです!
真那 はぁ、 めちゃくちゃ汗出たわ。 と言うか、最後の流れは何なん?
クロコ え? あ、 いやぁ、、
博美 ほんまに失礼しちゃうわ〜
ゲキ ヒロ先生ごめん、気ぃ遣ってもらって。 わざわざスベる反応、
博美 おおおいぃーー! ん? 余裕あっての軽口ちゃうんか。
真那 どういうことなん?
博美 説明したら。
カガミ いや、 その、、 演技してる真那先生が、、 その、、 めっちゃ綺麗で、、
真那 え?
カガミ なんか、こいつらも「好きです!」とか入れだすし、、
クロコ なに、私らの所為にしてんの、 「めっちゃ綺麗で」って認めてるやんか。
ゲキ 言いたくて仕方なくなって、、
真那 へ? なんなんそれ、、 全く分からんかったわ。 そんなん考える余裕なかったし、、 みんなはあの中でできるんや?
ゲキ なんか自然に、、
真那 はぁ、 なんか気ぃ抜けたわ。 「劇に集中しいや」って言うべきなんかな? 褒めてくれたことはありがと。
博美 全くもって「卑しい」奴らやで。
カガミ おい、考え落ちになるんかな?
クロコ 韻を踏んだんちゃうの?
ゲキ ただのダジャレやろ?
カガミ 何やろ? タイミングかな? 上手さが全く来ぇへんねん。
クロコ そもそも上手くないからやろ?
ゲキ 「これ見よがし」感あったよな?
カガミ リング上でシャドーボクシングやな。
クロコ 「シュッ、シュッ」って声を周りに聞こえるように?
ゲキ めっちゃ欲しがる人やん! ん? 「卑しい」 なるほど! ヒロ先生、自分のこと言ってたんやね。
博美 うおおぅいぃーー!
真那 プッ
博美 笑うな〜 でも楽しかったな。
真那 そやね。
クロコ 真那先生、 ほ、本当に大好きです!
真那 あ、ありがとう。
ゲキ ヒ、ヒロ先生も、 だ、大丈夫やで。
博美 め、目が泳いでるで、、
カガミ いや、 ヒロ先生は最高ですよ! オレたちの話に乗ってくれたし。
博美 さぞかし「良い画」が撮れたやろな〜
カガミ え?
真那 なんの話し?
博美 ん? コメディのネタには最高やろって話。
真那 あ、そやね。 すごい気ぃ張ってたから忘れてたわ。 でも、みんなしっかりやるやん。 すごい良かった。
博美 相手を受け止めて話を進めるねぇ。 なかなか勉強なるな。
ゲキ あ、あのヒロ先生。 途中、失礼なこと言ってすいません。
クロコ 私も。
カガミ その、すいません。
博美 お、 言い過ぎたとは思ってるんや。 別にいいよ、おもしろかったし。 みんな滑らかに進めていくから関心したで。 でも悪いことを言ってもうたかもって感じるのは良いことやし、素直に謝るのは素敵やね。 演劇はグローバルやから、もしかしたら誰かを傷つけてるかもしれないっていう感覚はずっと持っときや。 まぁ、分かってるみたいやし、私はむしろ嬉しいかな。
生徒達 ありがとうございます。
博美 楽しかったからOK。
真那 そうやね、君たちは大人を巻き込んで楽しませた。 これって凄いことやし、もっと伸ばしていつでも周りにできるようにしていきや。 それじゃ、行きましょうか草薙先生。
博美 は〜い。 じゃあ、頑張ってね〜
(真那と博美が出ていく)
カガミ なぁ、 ヒロ先生って気付いてたよな? カメラ、、
クロコ 多分、、
ゲキ なんか人間と思えんかったわ。
クロコ ほんまそれ。 今度はヒロ先生メインで撮ってみたいな、、




