第21話 VS獣
「『サンシャイン・アロー」』
魔法を放つとともに、僕は老人と女の子が逃げていった反対方向へ走り出した。
獣は、攻撃した僕を捉え、向かってくる。
「ふぅ、……武器が欲しい」
武器と言っても、攻撃をするのではなく、スキルを使って守るために欲しい。
「くっ、はやいな」
僕よりも、獣の速さのほうが一段上だ。
そろそろ、追いつかれる。
僕は、素早く体を捻り、魔法を放った。
「『サンシャイン・アロー』」
これで、少しばかり足止めをする。
――そろそろ、老人と女の子は遠くに行っただろうか?
「――『ウィンド・カッター』」
その時、集落の中心から、獣に向かって風の刃が飛んできた。
「グォーーッ!」
誰だ?
あっ!若い男の人が戦ってるって老人が言ってたな。
獣は向きを変え、集落の中心へと向かっていた。
追いかけるか?
……少し魔力が回復させてから――。
「うぁぁぁ――!」
「ぐっ――!」
男の叫び声が聞こえる。
――これは、はやく行ったほうが良さそうだな。
僕は、急いで集落の中心へと駆け出した。
「うっ」
中心に付くと、人が無惨に倒れていて、肉の破片も飛び散っている、どこを見ても赤に染まっていた。
一匹の獣でこんなにも……。
「ふぅ、ふぅ、ふぅ――」
落ち着け、もう傷を治してるときに見慣れているはずだ。
「……う、あ゛ぁぁぁ」
今まで堪えてきた、気持ち悪さが、これを気に脳が反応した。
「うぇぇ…うっ」
嘔吐が止まらない。
「――おらっ!…っく、くるな!」
一人の男、おそらく、さっき獣に風魔法を使った人だ。
――助けないと。
「うっ、ふぅ、ふぅ。……あれ、……あ、足が…動かない」
う、動けよ、はやく、早くしないとあの人が。
額に脂汗がにじみ、頬にたれてくる。
「や、やめ――」
――僕は、この目で、嫌なものを見た。
「あ、あぁ、ぁ、ぁぁああ゛」
人が、死ぬ瞬間を。
初めて。
見なければよかった。
男の頭から胴まで、あの獣の鋭い爪で引き裂かれた。
「はぁ、あ、あぁ、うっ、うっ」
もう何も出てこない。
「グォォォ!」
獣がこっちへ向かってくる。
動け、動け。
わかっていても動けない。
もう……終わりなのか……。
――ポケットの中のお守りが光った。
獣が止まり、僕も動けなくなる。
『リラクゼーション』
精神がリセットされる。
神か?
『――その時になるまで、何回起きればいいんじゃ?」
……まずは、ありがとうございます。
けど、あなたなら、……神なら、あの人を助けられたんじゃないんですか?
『わたしは、外には干渉できない、使えるのはお前の精神を正常に保つことだ』
……そうですか。
『だから、ここからは、何もできない。――死ぬなよ』
はい――。
お守りの光が――体が動けるようになる。
眼の前が赤で染まっているのに、動揺がない。
――生きなきゃな。
獣が目の前へと迫ってくる。
「―――『サンシャイン・フラッシュ』!」
直後、獣が光で覆われる。
目眩ましの魔法だ。
僕は、倒れている人へと直行した。
治すためではない。
もう死んでいると分かっている。
剣を取るためだ。
「もう来るか」
獣が、後ろから迫ってくるのが分かる。
僕は、急いで、倒れている人が握っていた剣を抜き取る。
……杖、どうしよう。
とりあえず、左手に杖を持ち、右手に剣を持った。
「ふぅ……。行くか!」
精神が安定し、思考が働く。
獣が、僕に向かって腕を振り上げる。
剣を防ぐ対象に――。
「『オート』!」
獣が僕に向かって腕を振り落ろされる。
僕の意識とは別に、剣で攻撃を防いだ。
すぐさま獣が、もう片方の腕も振り落とすがそれも瞬時に防ぐ。
そして、一瞬の隙をつき――。
「『サンシャイン・アロー』!」
僕は、急いで距離を取る。
……ははっ。
思わず笑いが漏れた。
傷が、どう見ても浅いのだ。
「どんだけ硬いんだよ……」
何回も放ったら、致命傷を与えられるかもしれないが。
そこまでの、体力がないのだ。
だから、一発で終わらす。
僕は、賭けに出る。
死ぬか、生きるか。
獣が懲りずに向かってくる。
また、隙を作る。
スキルの、クールタイムは大丈夫だ。
剣を防ぐ対象に――。
「『オート』!」
さっきと同じように、振り落とす腕をふせ――
カキィンッ
――剣が折れた!!
まずい、急いで防ぐ対象を右腕に移す――。
刃先がない剣を捨て、獣のもう片方の腕を、僕の右腕で防ぐ――。
「ぐ、あ゛ぁぁぁあ」
痛い、痛い、痛い、いたい。
もうやらなくては、だめだったらここで本当に死ぬ。
もう逃げられない。
頼む、死んでくれ!!
「『エクストラ・サンシャイン・アロー』!!」
一本の神々しい光の矢が、放たれる。
世界が光に覆われる。
そして、死んだかどうかもわからず、意識が遠のいていった。
初めて、戦闘描写を書きました。
……マジで、ムズい。




