宇宙蟻地獄 願い
サカキ大臣は一通り説明を聞くと安心した。
「これならいける」
サカキはそう言うとカレンダーを見ながら実行日をの選定をした。
「みなさんの話を総合するとこの日はどうでしょう?」
指し示した日付に教授達は納得した様子を見せた。ついに計画実行日が決定した。サカキは全世界に向け実行日をインフォメーションした。コージンはトリイとの別れを惜しみつつエリア12にある残り4台の受信システムの手配に帰っていった。ただし今度は何時でも、どこに居ても連絡が取れる、いわば仲間としての、作戦遂行のための別れだった。この別れには涙はなかった。トリイはミコト達と合流し作戦実行日を待っていた。ゴングウジに一本の連絡が入った。4台の受信システムの設置が終わり、動作試験も終わったとのこと。コージンからだった。メインAIとの接続を残すのみとなった4台の受信システムにメインAIにゴングウジが指示を出した。
「4台のシステムと接続をし、全ての情報を解析しろ」
メインAIは直ちに接続を開始した。各工場付近への地下の電波の発信源の解析が終わり、妨害電波の発信をAIに命令した。一斉に妨害電波が発信され、同時に作業員が工場へと出勤して来た。いよいよ製造開始だ。当初予定よりかなり遅れてはいたが、製造がラインに乗った。電波発信源が工場エリアから消えたとAIがリポートとして来た。
「奴等はどこか別の人口密集地に移動したに違いない。散布成分の製造を急がないと・・・」
ゴングウジがサカキに報告をしてきた。ここまで来ると、打つ手なくただ静観するだけだった。サカキは全世界に、緊急インフォメーションを出した。
「世界の皆様、ただいま散布成分の製造は順調に進んでおります。その間も奴らは予測不能な状態で同時多発的に逆円錐状陥没をさせ、我々に恐怖と絶望をもたらして来ます。でもあと少しの辛抱で奴等を追い出すことができるのです。そこでお願いです。どうか皆様あと数日です。密集地に出向かないで自宅にて静かに過ごして欲しいのです」
サカキのインフォメーションを聞いた世界中の人々は不満を漏らしながらも渋々受け入れ自宅に引きこもった。このインフォメーションで人々の流れが変わり密集が避けられ、逆円錐状陥没が減っていった。サカキがゴングウジへ状況の連絡を入れゴングウジはサカキに
「ヨシ」
と思わず叫んだ。早速ミコト教授へ連絡をしたゴングウジは、製造の進捗に全神経を集中させ1日も早い散布準備に全力を傾けた。トリイはミコトの家で、教授のサポートをしながらゴングウジとの約束を果たそうと、宇宙物資学の研究者リストを1人1人紐解きながら適任者を探している。




