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COMIC-MAN  作者: ゴミナント
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悪のグランドパーク、閉園

今回で校外学習編は終わり。その割にはラストが薄いですが、それは次回に回して…。

 数十本にも及ぶイカ脚の総攻撃を躱しつつ、ボードブレードを出してプロフェッサーDの意識を宿したイカ型イマジネーターを睨む。

「愚かな小僧だ。ワシと組めば、貴様の願いなど簡単に叶えてやれるというのに」

「お前なんかにかなえてもらいたい願いなんざねえよ!」

 ボードブレードの取っ手を蹴り飛ばし、防御するイカ脚ごと本体を狙う。しかし、通常ではありえないほどの数と強度を持っているらしいイカ脚は数本斬り落ちた所でボードブレードを受け止めて見せた。

「ちっ!!」

 しかし、今なら視界は塞がったはず。俺はそのまま突撃し、受け止められたボードブレードに飛び蹴りを放って更に奥へとぶち込む。

「俺は、お前らをぶっ潰して胸張って人間に戻る!!この願いまでお前らに奪われてたまるか!!」

 ボードブレードの先が当たり、そのまま着地と同時にもう一発キックを叩き込む。

「奪う?違うな。この世の全ては我らの所有物。貴様も所詮は『JACK』の掌の上で生き続けるよりほかない奴隷に過ぎないことを思い知らせてやろう」

「なにっ?」

 キックを片手で受け止め、イカ野郎は強烈なカウンターキックを叩き込んできた。吹き飛んだ俺は壁に背中を強かに打ち付ける。そんな俺を見てイカ野郎は勝ち誇ったように笑う。

「葦原和也。例えお前が協力しないと言おうとも、ワシの計画の為に最大限利用させてもらう。ここで死して、死体をワシのサンプルとして回収する!!」

「されてたまるか!!」

 伸びて来たイカ脚を掴み、渾身の力で引き寄せる。思いもよらない攻撃だったのか、されるがままにこっちに飛んでくるイカ野郎にハイキックを叩き込み、今度はイカ野郎が壁に叩き付けられる。

 俺は全速力で駆け寄り、立ち上がろうとしていたイカ野郎の顔面を何度も殴りつける。

「お前らの計画はもう知ってる!!日本ズタズタ計画だかなんだか知らないが、センスの欠片も無いアホみたいな計画立てやがって!!」

「ほう、知ったか?ならば余計、よそに知られる前に殺さなくてはな」

 パンチの右拳にイカ脚の吸盤が巻き付き、壁や床に叩き付けられる。吸盤の吸い付きがしっかりと腕を固定していて脱出できない。

 俺は何とか右手を左手に引き寄せ、もう一度ボードブレードを出現させてイカ脚を切って脱出する。

 そして着地と同時にボードブレードを投げつけ、それをイカ脚で払ったイカ野郎にもう一度ドロップキックを叩き込む。イカ野郎は頭から壁に叩き付けられるが、追撃しようとした俺にカウンターキックを叩き込んできた。

「やはり…本来の身体でなければ本調子は出ないか…」

「負けた時のいい訳か?今なら最後まで聞いてやってもいいぜ?」

「いや、不利なのはここまでだ。ふっ!!」

 イカ脚が大量に伸び、四方八方から同時にイカ脚が襲ってくる。俺はバックステップで回避していくが、イカ脚が大理石っぽい床を貫いていくのを見て驚愕した。あんなもん喰らったら、流石に怪我じゃあ済まないな。

「よそ見をする余裕があるとはな」

「なにっ!?し、しまった!!」

 その時、無防備だった後ろから突然襲い掛かって来たイカ脚に足を取られてしまった。咄嗟にボードブレードで斬ろうとするものの、間に合わずに追撃のイカ脚が俺の身体を貫いた。



「きゃあっ!!」

 ミノタウロスの金砕棒で殴り飛ばされ、私は牢屋のある通路を吹き飛ばされていってしまう。フライトスーツの防御力を持ってしても消しきれない衝撃が私の身体を襲い、あまりの激痛に唇を噛みしめながら足裏ジェットのスイッチを入れる。

「ええい!!」

 ジェットエンジンの推進力で何とか体勢を整え、ガン=カタモードのレーザーガンでさくらさんに向かって金砕棒を振りかざすミノタウロスの頭を撃つ。

 こんな化け物に手加減なんかいらない。その一心で何度も引き金を引くけど、ミノタウロスは鬱陶しそうに頭を振るだけで特にダメージを追っているようにも見えなかった。

「出力が足りてない…!!ライフルモードに…!!」

「ガアアアアアアアアア!!」

 だけど、わざわざ武器を切り替えている隙をミノタウロスが見逃すはずも無い。咆哮を上げて、正に猪突猛進と言う言葉のままに襲い掛かって来る姿に恐怖を覚える。

「まだよ!!こっち!!」

 その時、さくらさんが持っていた剣をミノタウロスの背中目がけて投げつけた。回転する剣はミノタウロスの背中には届かなかったけど、それでも膝裏に切っ先が届いてミノタウロスは派手に転んだ。

「や、やったの!?」

「まだ…!!生体反応は消えてない!!逃げて!!さくらさん!!」

「…っ!!」

 傷口から蒸気を発し、一瞬で再生したミノタウロスが金砕棒をさくらさんに向けて投げつける。さくらさんはそれを紙一重で回避してみせたけど、ミノタウロスは腕からまた新しく金砕棒を生やして吠えた。

「化け物…!!これでも、くらえ!!」

 私は何とか完成したレーザーガンライフルモードの最大出力の照準をミノタウロスの頭に合わせて引き金を引く。

 極太のレーザー光線がミノタウロスの頭を撃ち抜くのを見て、私は勝ったと思って思わずレーザーガンを下ろす。

「ガアアアアアアアアア!!」

「嘘…!!」

 だけど、ミノタウロスは蒸発した頭の右半分を再生させて私に向けて金砕棒を投げつけて来た。

「ああっ!!」

 直撃を受けて石の床に叩き落とされた。何とか立ち上がらないと、と思って上半身を起こすけど、既にミノタウロスは私のすぐ傍まで来ていた。

「グルルルル…!!」

「うっ…!!」

 動けないままに足を掴まれ、逆さ吊りにされてしまう。ミノタウロスの握力でフライトスーツのジェットエンジンがバチバチ火花を散らす。おまけにスカートがめくれてしまうけど、下に着ているフライトスーツがあるからあんまり恥ずかしくはない。だけど、滅茶苦茶悔しかった。

「やめて…!!放して…!!」

 パワーアシストで抵抗するけど、ミノタウロスのパワーはフライトスーツの性能を越えていてまるで歯が立たない。精々掴まれている両足が潰れないように守るので精いっぱいみたいだ。

 どうすれば、と血が上りつつある頭で考える。レーザーガンは通じなかったし、何より今ので排熱中だ。後五秒は待たないと撃てない。せめてショットガンモードで風穴を開けようかとも思ったけど、さっきの再生能力を見たらその程度で倒れるとは思えない。

「ううっ…!!」

 考えを巡らしているけど、何の手段も思いつかないままされるがままの私のお腹をミノタウロスが指で叩く。向こうからしてみれば単に遊んでいるだけかもしれないけど、私は一撃一撃がまるでハンマーで殴られ続けているかのような激痛で思わず悲鳴を上げてしまう。そして、ミノタウロスはそんな私の様子を見て嗤うような声を上げた。

「負けたくない…!!こんな奴に…!!」

 沸々と湧きあがる怒りに身を任せ、最後の力を振り絞ってレーザーガンを持ち上げる。このまま頭を吹っ飛ばしてやろうと思った。

「ちょっと待って!!」

「え…!?」

 その時だった。ミノタウロスの真後ろから剣を拾って飛びかかったさくらさんがミノタウロスの首に刀を突き刺した。

 貫通した剣はミノタウロスの喉笛を引き裂き、再生しようにも異物が刺さったままで治らない。

「やあああああ!!」

 さくらさんはそのまま剣を力いっぱい横に倒し、そのまま全体重を剣の柄に込める。ミノタウロスの首を軸に一回転した剣は、ミノタウロスの首と胴体を切り分けた。

「今だよ!!天龍寺さん!!」

「うん!!」

 最後の足裏ジェットで体勢を整え、驚いた顔のまま落下していくミノタウロスの首にレーザーガンの銃口を突きつける。

「消えて!!」

 バシュっと言う激しい音と一緒に、ショットガンモードの一撃がミノタウロスの首を完全消滅させる。するとミノタウロスの胴体は力尽きたかのように倒れ込み、中から卑屈そうな青年が五体満足のまま姿を現した。

「こいつが、ミノタウロスの正体?」

「そうみたい。操られていたのか、自分で協力してたのかは知らないけど…」

 それでも放置しておくわけにはいかない。私は彼の腰のベルトについていた牢屋の鍵を取り外し、掴まっている人達を助けに向かった。



「ぐうっ…!!」

 全身の彼方此方を貫かれ、俺は全身が焼かれているかのような激痛に苛まれながらイカ脚を掴む。しかし、どれほど力を込めてもイカ脚はピクリとも動かず、それを見たイカ野郎は勝ち誇ったように俺の目の前に立った。

「惜しいな。それほどの生命力さえなければ楽に死ねただろうに」

「お前らを野放しにして…死ねるかよ!!」

 俺の苦し紛れのパンチを軽々と受け止め、新しいイカ脚を伸ばして俺の右手を貫く。

「さて…一つ聞いておくとしよう。貴様は日本ズタズタ計画を知ったと言った。どこまで知った?」

「計画書を見たぜ…馬鹿じゃねえのか、お前ら…銃器やナノマシンをばら撒き、日本の治安を悪化させて自衛隊や警察にこれまで以上の武装をさせ、その為の武器を政府に売るつもりだろ…!!」

「正解だ。元々我々は軍産複合体。主な収入源は軍や警察への武器の販売だ。最も、そのために必要な最後のピースは知らないようだな」

「何…?」

「冥途の土産に教えてやろう。我々は新たに、人間の犯罪意欲を促進させる作用のあるガスを作り出したのだ。この日本ズタズタ計画が開始されれば、日本中にばら撒いた凶器を持った奴らが無秩序に暴れ出す。そしてその対処の為、日本政府は我々の武器を買わざるを得なくなる。そうすれば、今まで平和国家などと綺麗事を並べて我らへの融資を断って来た日本政府も我らに跪くことになる。フフ…完璧な作戦だとは思わんか?」

 イカ野郎改めプロフェッサーDは心底愉快そうに笑う。確かに、この日本ズタズタ計画はかなり有効な作戦だろう。恐らく集められた人々は、人質ではなく無秩序状態になった日本で死なれては困る、いつか有益に使える人材だったと言うことか。遊園地で人さらいしていたのも、ここでは人間の身体能力や危機察知能力を試していたのだろう。

「そーだな…完璧だよ。この作戦…」

「そうか、負けを認めるか。それも当然だろう。なにせこの作戦は私が発案した…」

「ただ一つ、立案者がバカで開始前にバレたってことを除けばな!!」

 そう言い放つと共に、俺は全身全霊で全身が燃え上がるコミックマンをイメージしていく。すると、コミックマンの全身が変身するときと同じように、いやそれ以上に激しく燃え出した。

「な、なに!?」

「よーやく…身体が『燃える』ってイメージが固まったぜ…普通じゃあり得ねえからな!!」

 俺の身体が爆発を起こし、突き刺さっていたイカ脚が次々と燃え尽きていく。ようやく自由の身となった俺は全身に開けられた穴が塞がるのを感じつつ、燃え続ける身体のまま一歩踏み出した。

「な、なんだ、これは…!?」

「イマジネーターは想像力で戦うんだ。この程度、やろうと思えばやれるのさ!科学者の癖に想像もしてなかったのか?」

「何を…!?」

 俺の挑発に乗って、イカ野郎が次々とイカ脚を伸ばしてくる。しかしそれらは全て俺の身体に触れるよりも先に燃え尽きていく。

「名前は文字通り暖めてたぜ!ファイヤーコミックマン!!」

 右手にあらん限りの炎を込め、足の動かないイカ野郎目がけて渾身のパンチを叩き込む。

「どりゃあああああああ!!」

「ぐあああああああああ!!な、なぜこうなるんだああああああああ!?」

 ファイヤーコミックマンの正拳突きが真正面に当たり、イカ野郎は全身を燃やしながら壁に叩き込まれ、そしていつもより派手めに爆散したのだった。

「イカの丸焼き、一丁上がりだ」

 全ての炎を吸収し、元のコミックマンに戻りながら呟く。その後ろでは、あの従業員が生気のない顔で転がっていたのだった。

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