↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
COMIC-MAN  作者: ゴミナント
PR
64/75

シャインキャッスル

次回で校外学習編は終わり。そして、その次からはメインシナリオが始まります。

「こいつは…」

 会議室で見つけた作戦計画書に目を通し、俺は思わず嫌悪と戦慄で呟いてしまった。こいつはヤバイ。この計画は俺だけじゃなどうしようもない。

 スマホを取り出し、公安課の三条警部補に電話を繋げる。

『葦原君、どうかしたか?』

「三条警部補。あいつらの極秘作戦の計画書を発見したんで連絡したんだが」

『なに?どう言う事だ?今、君はどこに居る?』

「詳しい説明はまた後で。取りあえず、海映グランドパークは奴らの実験場だったみたいだ。学校の皆が危険なんで、これから叩き潰すつもりだ。なんで今から計画書の写真を送るだけで終わりにさせてもらう」

『あ、おい!』

 電話を切り、計画書の文面がハッキリ映るようにカメラで撮影する。そして全てを撮影し、三条警部補に送ったちょうどそのタイミングでヒカリからの連絡が届く。

『和也、こっちは終わったよ。人質も皆無事。だけど、さくらさんが言うには何人かまだ居ないって…』

「それなら俺に情報がある。どうやらここの大本が居るらしい。合流できそうか?」

『うん。さくらさんと一緒に合流する。それで、合流地点は?』

「決まってるさ。パークのど真ん中、シャインキャッスルだ」



 シャインキャッスル。ここ海映グランドパークを象徴する建物で、パークに入場すれば必ずどこからでも見えるほどに巨大な城で、あの城の最上階にたどり着いて鐘を鳴らしたカップルは幸せになれるとか言う都市伝説まであるらしい。だけど今は改修工事中で、お客さんは誰も近づけないようになっているハズ。

「関係者以外立ち入り禁止。確かに何か企んでいる奴が居るならこれ以上にないほど便利な場所ね」

 お土産物屋で買ったステッキを竹刀の代わりにしてさくらさんがシャインキャッスルを見上げる。

「ああ。偽マスコット共を締め上げて吐かせた情報によると、どうやらこの城の中には大勢の人質が居るらしい。そして、恐らくこのパークの支配人もな」

 ストックの原稿用紙の枚数を確認し、和也が立ち入り禁止の張り紙の張られた扉を蹴破る。幸い裏口だし、シャインキャッスルには入れないことはみんな知っているから周囲に人影は居ないけど、珍しく苛立っているようにも見えた。

「作戦、もう一度確認する?」

 ようやく空から届いたレーザーガンのエネルギーを確認し、眼鏡のスイッチを入れながら私は提案する。

「ああ。俺がここのイマジネーターと戦闘員を出来るだけ倒す。その間に、二人は掴まっている人たちを助け出してくれ。地図はヒカリの眼鏡に映るから、水城さんはヒカリの道案内に従ってくれ。人質を解放したら、その後は…」

「和也が戻って来るのを待つ、でしょ?勝って戻って来るって、信じてるからね」

「ああ。信じててくれよ。二人共」

 そう言って三人でシャインキャッスルに足を踏み入れ、和也はイマジネーターの気配を追って駆け出して、私達は眼鏡に映った人質らしき反応の元に走り出す。

「…敵わないなぁ」

「え?」

「何でもない。それより、来るわよ!」

 さくらさんの言う通り、通路の向こうから何人もの戦闘員たちがそれぞれの武器を構えて迫ってきていた。

「えいっ!!」

 私はフライトスーツのスイッチを入れ、足裏ジェットで飛び上がりながらレーザーガンの引き金を引く。銃口から発射したレーザー光線が先頭を走る一体を撃ち抜き、私はそのままレーザーガンの銃口を横に振るう。レーザー光線薙ぎ払いをくらった戦闘員たちが黒い泡になって消えていくけど、それでも相手の数はまだまだ多い。

「せえぃ!!」

 レーザーガンが排熱を始めたと同時に飛び出したさくらさんが、お土産のステッキで思いっきり戦闘員を斬りつける。プラスチック製のステッキの筈なのに、さくらさんは武器の強度と威力を鑑みて的確な一撃を戦闘員たちに叩き込んでいく。

「突きぃっ!!」

 正確に首の柔い所を突きさし、一撃で戦闘員を黒い泡に変える。そんなさくらさんを狙って後ろから銃で狙い撃つ戦闘員を狙撃して、私は足裏ジェットを吹かして接近していった。

「たあああああ!!」

 着陸と同時にレーザーガンを新しいモードに切り替える。抱えるくらい大きかったレーザーガンを分離させて、その上で余計なユニットをパージしてフライトスーツに組み込む。そうすれば威力は低いけど、小型で取り回しの簡単なガン=カタモードの完成だ。

「すごっ!?」

 さくらさんが驚く横で、私は眼鏡のロックオン機能で次々と戦闘員たちに狙いを定めていく。

「てえええいっ!!」

 右、左、前、後ろ、フライトスーツを通して狙いを澄まし、打つべきタイミングと方向が自動的に修正されていく。威力も射程も低いけど、この狭さなら十分やれる。

 次々と戦闘員を倒していく私を暫くぼーっと見つめていたさくらさんだけど、やがて彼女も一つ頷いてボロボロになって来たステッキを敵に向けて投げ捨てた。

「なら、私も新しい武器!!」

 襲い掛かって来た戦闘員を背負い投げで投げ飛ばし、さくらさんはその戦闘員が持っていた剣を奪って構えた。

「西洋の剣は持ったことなんてないけど、使ってれば慣れるハズ!!」

 そう言って襲ってくる戦闘員をぶった切ったさくらさんと、ガン=カタモードのレーザーガンを構えた私は背中を合わせて戦闘員たちを睨む。

「負けないわよ、私達!」

「ええ。中学剣道日本一の腕、見せてやるわ!!」

 接近してくる敵はさくらさんが、後ろから銃で攻撃してくる敵は私が。真正面の敵を一太刀で切り伏せると同時に、私がさくらさんの背中を足裏ジェットを吹かして飛び越えてレーザーガンの引き金を引く。

「たあああああ!!」

「やあああああ!!」

 自画自賛になるけれども、完璧なコンビネーションで戦闘員の群れを突破した私達は、やっとの思いで地下の隠し通路の扉の前に到着した。

「どう?」

「大丈夫…場所もパスワードも検索済み。それより、敵はまだ来る?」

「それなら…!!」

 ザシュッと音がして、振り向けばさくらさんの剣に黒い泡が付着していた。

「多分これでラストよ!さあ、早く掴まった人たちを助けなきゃ!!」

「うん!!」

 隠し通路の扉のパスワードを入力し、私達は人の反応がある地下へと駆け込んでいく。その途中で遭遇した見張り役と思われる戦闘員をレーザーガンで打ち抜き、さくらさんが剣で斬り捨てていく。

 そうして進んでいく先で、私達は牢屋に入れられた人たちを見つけることができた。

「皆さん、大丈夫ですか!?」

「た、助けに来てくれたのか…?」

「ええそうよ!今、鍵を開けるから少し離れて―――」

「だ、ダメだ!離れろ!!奴が来る…!!」

「え?」

 牢屋の中の人に言われると同時に、私の眼鏡に反応が現れる。

「これって…!!」

 ズシン、ズシンと足音が響き、私達は振り向いて接近してくる敵を探す。

「あれは…」

 やがて、それを見つけたさくらさんが思わず呟く。そこに居る敵は、巨大な甲冑を着た牛のような怪物。神話の中に出てくる迷宮の番人、ミノタウロスだった。



「おりゃあっ!!」

 襲い掛かる戦闘員をハイキックで蹴り飛ばし、更に裏拳で後ろから襲って来た奴を一撃でノックアウトさせる。そして最後に残った一人に飛び蹴りを放ち、黒い泡に変えてやればお掃除は完了だ。

 床や壁が黒い泡で染まったシャインキャッスルの最上階。俺は変身用の原稿用紙を片手に近くに居るイマジネーターの気配を探る。

 そして、奴は現れた。

「流石だ。適合率九十%オーバーの最優良イマジネーター、葦原和也」

「その声はジジイか。その身体、使い勝手がいいみたいだな」

 プロフェッサーDの声を出しながら、あのジェットコースターで遭遇した従業員が姿を現す。目には正気の気配はなく、どうやらただプロフェッサーDの言うなりの人形らしい。

「貴様の力は驚異的だ。九十%オーバーではあるが、旧型のナノマシンでありながらその力はあり得ない。詳しく研究してみたい物だ」

「お断りだね。お前らみたいに脳まで腐った奴に渡せるモンなんざねえよ」

「そう言うな。貴様の願いは分かっているぞ。その身体を治したいのだろう?ヒーローなどと言い張って誤魔化してはいるが、所詮はその力は我らと同じ。人を力で支配するための物だ。それを持ち合わせながら、正気を保ち続ける貴様の理性には感服しよう」

「いきなり何を言い出したかと思えば…お前らとは人間としての出来が違うんだよ」

「それはどうかな?だが、お互いの思想を語り合っても平行線のままだろう。ここは一つ、取引しないかね?」

「はあ?」

 いきなり何を言い出すのやら。呆れて言葉も出ない俺をよそに、プロフェッサーDを宿した青年は芝居がかった態度で高らかに宣言する。

「私の天才的な頭脳で、貴様を人間に戻してやろう。その代わり、私の立場を奪ったあの若造を倒す手伝いをすると言うのはどうだ?悪くない取引だと思うが?」

「論外」

 原稿用紙をかざし、コミックマンへと変身する。プロフェッサーDはあきれ果てた、という顔をするが、そんな顔をしたいのはこっちの方だ。

「理解不能だな…」

 青年は首を横に振り、白い姿のイマジネーターへと変身する。俺は先手必勝の言葉を噛みしめ、飛びかかって渾身のパンチを叩き込む。

 しかし、俺の攻撃は奴の身体から生えて来た白い触手に絡み取られていた。

「何…?」

「ならば私一人でやるとしよう。何、手駒は既にある」

 その言葉と共にとんでもない力で投げ飛ばされる。コンクリートの壁に叩き付けられ、ぶつかった壁に巨大なヒビが入る。

「パワーだけじゃねえな…腕に触手が吸い付いてきた…あれは…」

 コミックマンの右腕に点々と残った丸い痕。そして投げ飛ばされた時の、巻き取り方自体は甘かったのに振り払えなかったパワー。

「イカのイマジネーターか!」

「その通り。ただし、イカの悪魔と思ってもらおうか」

 プロフェッサーDの満面の笑顔が思い浮かぶ声音と共に、イマジネーターは吸盤の付いた触手を俺に向けて飛ばしてくるのだった。

感想待ってます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。