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『MEMORIA WAR ―記憶戦争― 信長・武蔵・ジャンヌ――歴史の英雄と名もなき者たち』  作者: 130
第3章 BOND

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第38話 支配する者、つなぐ者

 銃声と斬撃が、同時に炸裂した。


 坂本龍馬の弾丸が、織田信長の頬をわずかにかすめる。


 信長の刀は、龍馬の胸元から数センチのところを通り抜けた。


 二人はすれ違い、足を止めた。


 残り、四分三十六秒。


 《MEMORY LINK REQUIRED》


 朝倉湊は、離れた街区から頭を抱えた。


「何で本当に戦うんだよ!」


「止めに行く?」


 黒瀬凛が聞いた。


「行ける?」


「道がない」


「ですよね!」


 王冠軍と革命軍のいる二つの街区は接続していた。


 だが、湊たちの場所からそこへ続く道はなかった。


 しかも、接続部では両軍が入り乱れている。


 一歩間違えば、集団戦が始まりそうだった。


 龍馬が振り返った。


「なかなか怖いのう」


「銃を撃っておいて言うか」


「当てるつもりなら当てちゅう」


「ほう」


 信長が笑った。


「なら次は当ててみよ」


 龍馬が銃を構えた。


「言われんでも」


 発砲。


 信長が横へ動き、弾丸が外れた。


 龍馬は走りながら、二発、三発と撃つ。


 狙いは顔、肩、脚。一定ではなかった。


 信長は一発を刀で弾き、次を避けた。


 三発目には視線も向けず、身体を沈める。


 弾丸が頭上を抜けた。


「読んどるのか」


「単純だ」


 信長が一気に間合いを詰めた。


「貴様は相手ではなく、相手が次に立つ場所を撃つ」


 刀が走った。


 龍馬が身をひねり、刃が服を裂いた。


「よく見ちゅう!」


 後ろへ下がるが、信長は追ってくる。


 一歩、二歩。


 龍馬は信長の胸へ銃口を向けた。


「近すぎるぞ」


「銃は近うても撃てる」


 引き金を引こうとした瞬間、黒と金の光が広がった。


 ――《天下布武》。


 銃そのものが止まったわけではなかった。


 龍馬自身の遺想能力が抑え込まれた。


 まだ発動していなくても、身体の奥にある力へ圧力がかかる。


「これが」


 龍馬の眉が動いた。


 信長が刀で銃口を横から叩いた。


 発砲した弾が、それる。


「天下布武か」


「跪くか?」


「嫌じゃ」


 即答だった。


 龍馬は銃を捨てず、返ってきた刀を銃身で受けた。


 火花が散る。


「おまんの国は、窮屈そうじゃ」


 押されながら、龍馬が笑った。


「国?」


 信長の目が細くなる。


「皆を従わせて、上から全部決める」


 龍馬が足を払った。


 信長はかわした。


「それで乱世が終わるなら安い」


「終わった後は?」


「何?」


「誰が次を決める」


 龍馬が距離を取った。


「おまんが死んだ後まで、全部おまんが決めるがか?」


 銃を構えた龍馬に、信長は数秒答えなかった。


 やがて笑った。


「俺が死んだ後の世など」


 刀を上げる。


「生きた者が奪えばよい」


 龍馬が一瞬、目を見開いた。


「……それ言うがか」


「何がおかしい」


「いや」


 龍馬の笑みが深くなった。


「思うたより話せる男じゃ」


「貴様は思ったより軽い」


「よく言われる」


「褒めておらん」


「知っちゅう」


 残り、三分四十八秒。


 《WARNING》


 《LOCAL BLOCK COLLAPSE APPROACHING》


 地面が震えた。


 両軍の足元に亀裂が走る。


「まずい!」


 王冠軍の一人が叫んだ。


 ビルが傾き、革命軍の数人が逃れようと走った。


 そのとき、道路が割れた。


 王冠軍の若い男が足を滑らせた。


「うわっ!」


 落ちかけた腕を、龍馬がつかんだ。


「掴まれ!」


 片手を道路の縁にかけ、もう片方で男を支える。


「な……」


「軍章見よる暇あるなら登れ!」


 男が必死に這い上がった。


 その背後に、BROKEN LINKが現れた。


 龍馬は、まだ動けなかった。


 信長が一歩踏み出し、刀を振った。


 黒い糸が切れ、異形の左右が分かれる。


 だが、すぐに新しい糸が伸び始めた。


「一人では無効じゃ!」


「知っておる」


 信長は《天下布武》を解き、龍馬へ目を向けた。


「撃て」


「命令か?」


「嫌なら死ね」


「もっと言い方ないがか!」


 這い上がった男が自力で縁から離れるのを確かめ、龍馬は銃を構えた。


 二人とも、再接続を始めた胸の糸を見ていた。


「右から三本目!」


「見えておる!」


 銃声と斬撃が重なった。


 同じ糸が二方向から弾ける。


 だが、表示は赤かった。


 《LINKED DAMAGE:REJECTED》


「駄目か!」


 《FORMAL MEMORY LINK REQUIRED》


 信長が舌打ちした。


「面倒な」


 異形が再接続した。


 さらに一体、二体、三体と現れ、両軍へ迫る。


 街区の崩壊が加速していた。


「通信つなげる!?」


 湊が蓮へ叫んだ。


「やってる!」


 ――《ECHO》。


 ノイズを越えて、湊の声が届いた。


『龍馬さん! 信長!』


『聞こえちゅう!』


『うるさい』


「リンクしないと攻撃通らない!」


『分かっとる!』


 二人の返事が重なった。


「仲いいじゃん!」


『違う!』


 また同時だった。


「余計なこと言わない方がいい」


 隣で凛が言った。


「そう思った」


 二人の端末に、表示が浮かんだ。


 《PRIMARY PAIR》


 《ODA NOBUNAGA ⇄ SAKAMOTO RYOMA》


 《MEMORY DEPOSIT REQUIRED》


「どっちが預ける」


 龍馬が聞いた。


「貴様がやれ」


「何でじゃ」


「俺は嫌だ」


「正直すぎる!」


「貴様は信用できん」


「こっちの台詞じゃ!」


 残り、三分十二秒。


 道路がさらに崩れ、両軍の逃げ場が狭まっていく。


 BROKEN LINKは五体、六体と増えていた。


 龍馬は周囲を見た。


 革命軍にも王冠軍にも、負傷者がいる。


「……分かった」


 銃を下ろした。


「何が」


「わしがやる」


 信長の眉が動いた。


「怖いか?」


「怖いに決まっちゅう」


 龍馬は笑わなかった。


「大事な記憶じゃぞ」


「なら、なぜ」


 龍馬が周囲を示した。


「こいつら全員死ぬよりは安い」


 信長は何も言わなかった。


 龍馬が端末を操作した。


 《MEMORY SELECTION》


「大事な記憶……」


 小さく呟き、目を閉じた。


 歴史に残った出来事や、戦い、交渉。


 選んだのは、それらではなかった。


 潮の匂いがした。


 暗い海に船が浮かび、風が吹いている。


 国は、まだ何も変わっていなかった。


 それでも、いつか変わると信じていた夜だった。


「これでえい」


 《TARGET MEMORY DETECTED》


 《EMOTIONAL VALUE:VALID》


 信長が画面を見た。


「何を選んだ」


「見りゃ分かる」


「俺に見せるのか」


「それが嫌ながじゃ」


「ならやめろ」


「おまん本当に腹立つのう!」


「早くしろ」


 龍馬が同意を押した。


 《CONSENT:SAKAMOTO RYOMA》


 信長の端末には、別の確認が出た。


 《RECEIVER CONSENT REQUIRED》


 指が止まる。


「ここまで来て拒否したら撃つぞ」


「撃て」


「おまん!」


 信長は薄く笑った。


 そして、確認を押した。


 《CONSENT:ODA NOBUNAGA》


 《MEMORY DEPOSIT START》


 龍馬の身体を光が包んだ。


 信長が目を見開く。


 夜の海が広がった。


 波が船を揺らし、甲板を風が吹き抜けていた。


 そこに龍馬が立っている。


 顔は今と変わらないように見えた。


 だが、表情が違った。


 まだ誰も知らない先を、見ているようだった。


 海岸の灯りが、遠くに見えた。


 隣に誰かがいたが、その顔は分からなかった。


『本当に変わると思うか』


 龍馬は海を見たまま答えた。


『変わる』


『何でそう言い切れる』


『変わらんかったら』


 笑う。


『変える』


 強い風が吹いた。


『誰が』


『誰でもえい』


 信長は目を細めた。


『わしじゃなくても、次の誰かでも』


 暗い海の向こうに、未来はまだ見えなかった。


『その次でも』


 そこで記憶が途切れた。


 現実へ戻った信長は、黙っていた。


 龍馬が目を開き、周囲を見回す。


 海も船もない。


「何じゃ」


「何が」


「変な感じじゃ」


 龍馬は頭を押さえた。


「海を見た気がするが」


 言葉が止まった。


「何でじゃったか」


 信長は龍馬を見た。


 預けられたあの場面を、今、思い出せるのは自分だった。


 《MEMORY DEPOSIT COMPLETE》


 《FORMAL MEMORY LINK ESTABLISHED》


 《ODA NOBUNAGA ⇄ SAKAMOTO RYOMA》


 白い光が二人を結んだ。


 残り、二分三十四秒。


 六体のBROKEN LINKが、一斉に迫ってきた。


「説明は後じゃ」


 龍馬が銃を構えた。


「最初からそのつもりだ」


 信長も刀を構えた。


 前に二体、右に一体、左に三体。


 龍馬が能力を使おうとしたところで、黒金の領域が広がった。


 《天下布武》。


「おい!」


「何だ」


「おまんの能力邪魔じゃ!」


「知らん」


「切れ!」


「断る」


「何で!」


「必要だ」


 信長は周囲を見ていた。


 領域に入ったBROKEN LINKの糸が鈍り、突進の勢いが落ちている。


 龍馬も、その変化に気づいた。


「……なるほど」


「遅い」


「いちいち腹立つ」


 異形たちの位置がずれたところで、信長が領域を解いた。


「今だ」


「先にそう言わんか!」


 龍馬が、あらためて能力を発動した。


 ――《薩長連環》。


 正式リンクの白い光とは別に、共通の目的へ向かう協働の光が広がった。


 信長と龍馬、そして王冠軍と革命軍の参加者たちへ伸びていく。


 目指すのは、生き残って街区を脱出すること。


 その一点だけだった。


「王冠!」


 龍馬が叫んだ。


「右の二体を押さえろ!」


 王冠軍が一瞬迷った。


「やれ」


 信長の声に、すぐに動き出した。


「革命軍! 左を空けろ! 道を作る!」


 革命軍も反応した。


 信長が龍馬を見る。


「俺の兵に命令するな」


「今さら細かい!」


「後で覚えておけ」


「記憶返したら忘れちゃる!」


 信長が一瞬笑った。


 正面からBROKEN LINKが来た。


 信長の刀が胸の黒い糸を斬る。


 同時に、龍馬が同じ場所を撃った。


 《LINKED DAMAGE:ACCEPTED》


 一体目の左右が分かれ、消えていった。


「通る!」


 革命軍から声が上がった。


 信長が次の異形へ斬り込み、龍馬が合わせて撃つ。


 二体目も再接続せずに崩れた。


 《DISCONNECTED》


 三体目には、王冠軍の槍と革命軍の斧が向かった。


 槍で腕を押さえ、斧を引っかけて反対側の身体を引き止める。


 二人だけで倒そうとしているのではなかった。


 左右の動きを止め、胸の糸を露出させていた。


「そこじゃ!」


 龍馬が撃った。


 弾丸が糸を捉えた瞬間、信長の刀が同じ場所を断つ。


 《LINKED DAMAGE:ACCEPTED》


 三体目が崩れた。


「他の連中も、合わせてる」


 湊が呟いた。


「敵を押さえて、二人が攻撃できる隙を作っていますね」


 相馬が言った。


 凛も両軍を見ていた。


「龍馬の能力が、連携を助けてる」


「敵同士でも」


「今だけは」


 凛が答えた。


 白い線の間で、王冠軍と革命軍が入り乱れて動いていた。


 戦い方も、普段の目的も違う。


 それでも今は、同じ出口を目指していた。


 残り、一分四十一秒。


 離れた場所で、ハリエットの《NORTH STAR》が光った。


「出口!」


 龍馬が顔を上げた。


 街区の端から、別の道路へ続く細い経路が示されている。


「信長!」


「見えておる!」


「皆を先に!」


「俺に指図するな」


「じゃあおまんから行くか?」


「馬鹿を言うな」


 信長が王冠軍へ叫んだ。


「負傷者を先に出せ!」


 龍馬も革命軍へ声を張る。


「動ける者は後ろ!」


 両軍が、驚くほど同時に動いた。


 負傷者を支えて先へ出し、次に戦えない者を通す。


 最後に戦闘員が続いた。


 BROKEN LINKが追ってくる。


 信長と龍馬は、最後まで残っていた。


「何でおまんまで最後じゃ」


「貴様こそ」


「わしは言い出した側じゃ」


「俺の前で全員死なせる趣味はない」


 龍馬が横目で信長を見た。


「案外、王様しゆうのう」


「殺すぞ」


「今は味方じゃろ」


「今だけだ」


 残り、四十六秒。


 最後の三体が、一気に迫ってきた。


 龍馬が残弾を確かめた。


「三発」


「十分だ」


「またそれか」


「何が」


「いや」


 龍馬が笑った。


「最近、三秒とか一発とか、それで十分って言う奴が多うての」


「意味が分からん」


「わしもじゃ」


 一体目が来た。


 信長が《天下布武》を短く広げ、異形の動きを鈍らせる。


 すぐに領域を解いた。


 龍馬の一発目が胸の糸を捉え、信長が同じ場所を斬った。


 《DISCONNECTED》


 二体目が左右へ大きく分かれた。


 龍馬の二発目は、その身体を外れた。


 だが、狙いは異形ではなかった。


 背後の看板を支える固定具が砕ける。


 落下した金属の縁が、左右をつなぐ黒い糸へ食い込んだ。


 糸が引き下げられ、異形の動きが止まる。


「今!」


 龍馬の射撃で落ちた看板が糸を裂く、その瞬間に信長の刀が重なった。


 二方向からの損傷で、黒い束が断ち切られる。


 《DISCONNECTED》


 三体目は大きかった。


 胸の黒い糸も、何重にも重なっている。


「撃て」


 信長が言った。


「どこへ」


「俺へ」


「は?」


「早くしろ」


 信長が異形の正面へ走った。


 龍馬は一瞬迷った。


 だが、二人を結ぶ白いMEMORY LINKは続いていた。


 信長の動きが、完全に分かるわけではない。


 それでも、次にどこへ踏み込むのか、少しだけつかめる気がした。


「……そこか」


 三発目を撃った。


 弾丸が信長の肩の横を抜け、異形の糸の一点へ当たる。


 同時に、信長が踏み込んだ。


「遅い」


 刀の切っ先が、弾丸の当たった場所を貫いた。


 《LINKED DAMAGE:ACCEPTED》


 《BROKEN LINK:DISCONNECTED》


 残り、二十一秒。


「走れ!」


「貴様もな」


 二人は出口へ駆けた。


 背後で街区が崩れていく。


 十、九、八。


 出口は目の前だった。


 龍馬の足元に亀裂が走った。


 跳ぶ。


 信長が先に向こう側へ着地した。


 龍馬は、わずかに届かない。


 信長が手を伸ばした。


 龍馬が、その手をつかむ。


 引き上げられた勢いで、二人とも道路へ転がり込んだ。


 三、二、一。


 街区が完全に崩壊した。


 巨大な音とともに、切断された都市の闇へ沈んでいく。


 《CROSS-FACTION CONNECTION EVENT》


 《CLEARED》


 両軍の参加者たちは、息を整えていた。


 すぐに武器を構える者はいなかった。


 龍馬は地面に座り込んだ。


「……疲れた」


 信長は立ったままだった。


「情けない」


「おまん体力どうなっちゅう」


「知らん」


 龍馬が端末を見た。


 《MEMORY RETURN AVAILABLE》


「返してくれ」


「命令か?」


 龍馬が顔をしかめた。


「わしの記憶じゃ!」


 信長は少し考えた。


「嫌だと言ったら?」


 龍馬が銃を見た。


 弾は残っていない。


「今だけ本気で腹立った」


「最初からだろう」


 信長が端末を押した。


 《RETURN DEPOSITED MEMORY》


 白い光が信長から龍馬へ戻っていった。


 夜の海。


 船を揺らす波と、甲板の風。


『変わらんかったら、変える』


『誰が』


『誰でもえい』


『わしじゃなくても、次の誰かでも』


 龍馬は目を閉じた。


 そして、ゆっくり開いた。


「……戻った」


 二人を結んでいた白い光がほどけ、消えた。


「そうか」


 信長が答えた。


「見たがか」


「ああ」


「全部?」


「知らん」


「どう思うた」


 信長が龍馬を見た。


「甘い」


「やっぱり合わん!」


 信長は歩き出した。


「だが」


 龍馬が顔を上げた。


 信長は振り返らなかった。


「自分でなければならんと思っていないところだけは」


 一拍置く。


「嫌いではない」


 龍馬の目が、少し丸くなった。


 それから笑った。


「それ、褒めた?」


「二度言わせるな」


「言うてないじゃろ」


 王冠軍と革命軍は、再び別の方向へ歩き始めた。


 味方になったわけではない。


 次に会えば、また戦うかもしれない。


 それでも、ほんの数分、龍馬は自分の大切な記憶を信長へ預けた。


 信長はそれを受け取り、返した。


 湊は遠くから、その様子を見ていた。


「敵でもできるんだ」


 隣で凛が言った。


「うん」


「記憶を預けるの」


「うん」


 湊はスマートフォンを見た。


 《ASAKURA MINATO ⇄ KUROSE RIN》


 《PAIR ACCESS PENDING》


 凛も同じ表示を見ていた。


「じゃあ、俺たちの方が簡単?」


 凛は数秒黙った。


「どうだろう」


「え?」


 前を見たまま、小さく言う。


「敵に預ける方が、簡単な記憶もあるかもしれない」


 湊は意味を聞こうとした。


 その前に、都市の遠くで黒い亀裂が走った。


 《LINKAGE CITY》


 《SECOND PHASE PREPARATION》


 《SEVERED CONNECTIONS DETECTED》


 何本もの白い線が、突然切れた。


 遠くで誰かが叫んだ。


 蓮がイヤホンを押さえた。


「……声が」


「どうした?」


「消えた」


 湊の表情が変わった。


「誰の?」


 蓮が首を振った。


「分からない」


 都市の中心に、巨大な黒い影が一瞬だけ見えた。


 人と人を結ぶ白い線を、一本ずつ切りながら歩いていた。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


『MEMORIA WAR ―記憶戦争―』は、“記憶”と“歴史”をテーマにした異能バトル長編です。


少しでも続きが気になった方は、ぜひ次話もお読みいただけるとうれしいです。


『MEMORIA WAR ―記憶戦争―』の漫画版をaimangaで公開しています。

小説とはまた違った形で描かれる、湊たちの物語も楽しんでいただけたら嬉しいです。


漫画版はこちら:

【https://a-i-manga.com/series/T0sv47QH】

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