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アラフォーママは新人ライバー 〜35歳でライブ配信デビュー〜  作者: ふぁい(phi)
第五章 未来への扉

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第九十七話 拍手の向こう側



 


「それでは、最初の出演者をご紹介します!」


 


 


司会者の明るい声が、


会場いっぱいに響く。


 


 


 


控室のモニターには、


笑顔の観客が映っていた。


 


 


 


美咲は小さく息を吸う。


 


 


 


「高梨さん、お願いします」


 


 


 


スタッフの合図に、


静かに頷いた。


 


 


 


一歩。


 


 


また一歩。


 


 


 


ステージへ続く通路を歩いていく。


 


 


 


照明の光が近づく。


 


 


 


そして――。


 


 


 


ステージへ足を踏み出した。


 


 


 


「高梨美咲さんです!」


 


 


 


その瞬間、


会場が大きな拍手に包まれた。


 


 


 


思っていたよりも、


ずっと温かい音だった。


 


 


 


客席には、


笑顔で手を振る人たちがいる。


 


 


 


応援うちわを掲げる人。


 


 


 


小さく拍手を送り続ける人。


 


 


 


一人ひとりの表情までは見えない。


 


 


 


それでも、


歓迎されていることは伝わってきた。


 


 


 


美咲はマイクを持ち、


ゆっくり頭を下げる。


 


 


 


「皆さん、こんにちは」


 


 


 


少しだけ声が震えた。


 


 


 


しかし、


客席から優しい拍手が返ってくる。


 


 


 


その音に背中を押されるように、


美咲は続けた。


 


 


 


「今日は来てくださって、本当にありがとうございます」


 


 


 


自然と言葉が出てきた。


 


 


 


司会者が笑顔で話しかける。


 


 


 


「初めてのイベント出演と伺いました」


 


 


 


「はい」


 


 


 


「とても緊張しています」


 


 


 


会場から、


くすりと笑い声が聞こえる。


 


 


 


その空気が、


緊張を少し和らげてくれた。


 


 


 


トークは順調に進む。


 


 


 


配信を始めたきっかけ。


 


 


 


普段の仕事との両立。


 


 


 


リスナーとの思い出。


 


 


 


どれも、


飾らない言葉で話した。


 


 


 


司会者が最後に尋ねる。


 


 


 


「これから挑戦してみたいことはありますか?」


 


 


 


美咲は少し考えた。


 


 


 


客席を見渡す。


 


 


 


たくさんの笑顔がある。


 


 


 


「もっと、多くの人と楽しい時間を共有できる配信を続けたいです」


 


 


 


「画面の向こうでも、今日みたいに直接お会いする場でも」


 


 


 


「誰かが少しでも笑顔になれる時間を届けられたら嬉しいです」


 


 


 


言い終えると、


再び拍手が起こる。


 


 


 


その拍手は、


前よりも大きく感じられた。


 


 


 


トークコーナーは、


無事に終了した。


 


 


 


ステージ袖へ戻ると、


七海が笑顔で迎えてくれる。


 


 


 


「すごく良かったですよ!」


 


 


 


「ありがとう」


 


 


 


美咲はようやく、


大きく息を吐いた。


 


 


 


そこへ佐藤もやって来る。


 


 


 


「お疲れさまでした」


 


 


 


「緊張しました」


 


 


 


「でも、楽しめました」


 


 


 


その一言を聞き、


佐藤は嬉しそうに頷く。


 


 


 


「それが何よりです」


 


 


 


控室の椅子に座り、


バッグを開く。


 


 


 


透明なケースの中には、


陽菜が描いた絵。


 


 


 


『がんばって』


 


 


 


その文字を見て、


美咲は静かに微笑んだ。


 


 


 


拍手は、


ただの音ではなかった。


 


 


 


応援してくれる人たちの想い。


 


 


 


支えてくれた家族の願い。


 


 


 


ここまで歩いてきた自分への励まし。


 


 


 


そのすべてが重なり、


今日という一日を作ってくれた。


 


 


 


ステージの外では、


次の出演者を迎える拍手が、


再び会場へ響いていた――。

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