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アラフォーママは新人ライバー 〜35歳でライブ配信デビュー〜  作者: ふぁい(phi)
第五章 未来への扉

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第九十話 新たな一歩



 


夏休みが始まった。


 


 


朝から蝉の鳴き声が響き、


青空がどこまでも広がっている。


 


 


 


「ママ、早く!」


 


 


 


陽菜が帽子をかぶり、


玄関で待っていた。


 


 


 


今日は家族三人で水族館へ出かける約束の日だ。


 


 


 


「忘れ物はない?」


 


 


 


「うん!」


 


 


 


恒一が車の鍵を手に笑う。


 


 


 


「それじゃあ、出発しよう」


 


 


 


三人は家を後にした。


 


 


 


車内では、


陽菜が楽しそうに話し続ける。


 


 


 


「イルカ見たい!」


 


 


 


「ペンギンも!」


 


 


 


「クラゲもいるかな?」


 


 


 


美咲と恒一は顔を見合わせ、


思わず笑った。


 


 


 


 


水族館では、


大きな水槽の前で陽菜が目を輝かせる。


 


 


 


色鮮やかな魚たち。


 


 


ゆったり泳ぐエイ。


 


 


優雅に漂うクラゲ。


 


 


 


時間がゆっくり流れていく。


 


 


 


美咲はスマートフォンを取り出し、


家族写真を撮った。


 


 


 


画面の中には、


笑顔の恒一と陽菜。


 


 


 


そして、


その隣で笑う自分。


 


 


 


自然な笑顔だった。


 


 


 


昼食を終え、


お土産売り場へ向かう。


 


 


 


陽菜はイルカのぬいぐるみを抱え、


嬉しそうにしている。


 


 


 


「これにする!」


 


 


 


「大事にしてね」


 


 


 


「うん!」


 


 


 


帰り道。


 


 


夕日が車内をオレンジ色に染める。


 


 


 


陽菜は後部座席で眠ってしまった。


 


 


 


恒一が前を見たまま話しかける。


 


 


 


「最近、本当に笑うようになったな」


 


 


 


美咲は窓の外を眺めた。


 


 


 


「みんなのおかげだよ」


 


 


 


「一人だったら、きっと違ってた」


 


 


 


恒一は小さく頷く。


 


 


 


「これからも一人じゃない」


 


 


 


その言葉が、


胸に静かに染み込んだ。


 


 


 


夜。


 


 


家へ帰ると、


陽菜は眠ったままベッドへ運ばれた。


 


 


 


美咲はリビングで今日撮った写真を見返す。


 


 


 


どの写真にも、


笑顔があった。


 


 


 


その中の一枚を、


配信で使っているSNSへ投稿する。


 


 


 


『今日は家族で素敵な一日を過ごしました。


また明日から頑張れそうです。


いつも応援ありがとうございます。』


 


 


 


投稿すると、


すぐに温かい反応が届き始めた。


 


 


 


【素敵な一日ですね!】


 


 


 


【笑顔が伝わってきます】


 


 


 


【これからも応援しています】


 


 


 


美咲は一つひとつ眺めながら、


静かにスマートフォンを置いた。


 


 


 


応援してくれる人がいる。


 


 


 


支えてくれる家族がいる。


 


 


 


信頼できる仲間もいる。


 


 


 


あの日々を経験したからこそ、


その存在の大きさを知ることができた。


 


 


 


窓の外では、


夏の夜空に星が瞬いている。


 


 


 


美咲はそっとカーテンを閉め、


穏やかな気持ちで明日を迎える準備をした。


 


 


 


新しい季節は、


静かに始まっていた――。

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