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アラフォーママは新人ライバー ~ライブ配信で、「ただいま」があふれる居場所を育てています。~  作者: ふぁい(phi)
第四章  守るということ

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第八十話 つながる点



 


イベント配信から数日後。


 


 


事務所から、


一本の連絡が入った。


 


 


 


「お時間をいただけますか」


 


 


 


佐藤の声は、


いつもより少しだけ真剣だった。


 


 


 


 


私は仕事を終え、


事務所へ向かう。


 


 


 


 


応接室には、


佐藤。


 


 


法務担当。


 


 


セキュリティ担当。


 


 


 


 


机の上には、


これまでより厚い資料が置かれていた。


 


 


 


 


表紙には、


こう書かれている。


 


 


 


 


「経過整理(第1版)」


 


 


 


 


私は思わず息をのんだ。


 


 


 


 


「ここまでの記録を、一度整理しました」


 


 


 


 


佐藤がページを開く。


 


 


 


 


最初のページ。


 


 


 


 


青い折りたたみ傘。


 


 


 


 


次のページ。


 


 


 


 


DM。


 


 


 


 


コメント。


 


 


 


 


白い封筒。


 


 


 


 


二つのアカウント。


 


 


 


 


駅前のカフェ。


 


 


 


 


全部、


時系列で並んでいた。


 


 


 


 


私はページをめくるたびに、


少しずつ記憶がよみがえる。


 


 


 


 


「あの時は、小さな出来事だと思っていました」


 


 


 


 


思わず口に出る。


 


 


 


 


佐藤が静かに頷いた。


 


 


 


 


「一つ一つは、小さいんです」


 


 


 


 


「だからこそ、記録する意味があります」


 


 


 


 


セキュリティ担当が、


一枚の図を見せる。


 


 


 


 


出来事同士を線で結んだ相関図。


 


 


 


 


「現時点で断定できることはありません」


 


 


 


 


「ですが、関連性が疑われる事象として整理できます」


 


 


 


 


私はその図を見つめた。


 


 


 


 


最初は点だった。


 


 


 


 


今は線になっている。


 


 


 


 


そして、


少しだけ形が見え始めていた。


 


 


 


 


「高梨さん」


 


 


 


 


法務担当が穏やかに言う。


 


 


 


 


「ここまで冷静に対応してくださって、本当にありがとうございます」


 


 


 


 


私は少し照れくさくなった。


 


 


 


 


「最初は怖かったです」


 


 


 


 


「今も怖いです」


 


 


 


 


「でも、一人じゃないので」


 


 


 


 


佐藤たちは静かに微笑んだ。


 


 


 


 


帰宅後。


 


 


恒一へ資料の話をする。


 


 


 


 


もちろん、


資料そのものは持ち帰っていない。


 


 


 


 


内容だけ伝えた。


 


 


 


 


恒一は最後まで聞いて言う。


 


 


 


 


「会社でも同じだ」


 


 


 


 


「事故って、一つの原因じゃない」


 


 


 


 


「小さなことが重なる」


 


 


 


 


私は頷いた。


 


 


 


 


今回も同じなのかもしれない。


 


 


 


 


夜。


 


 


配信開始。


 


 


 


 


今日は特別な企画はない。


 


 


 


 


雑談だけ。


 


 


 


 


コメント欄には、


いつもの顔ぶれ。


 


 


 


 


笑い声。


 


 


 


 


温かい空気。


 


 


 


 


私は改めて思う。


 


 


 


 


この時間を守りたい。


 


 


 


 


その時。


 


 


 


 


高額ギフターがコメントする。


 


 


 


 


【これからも変わらず応援しています】


 


 


 


 


もう一つのアカウント。


 


 


 


 


【ずっと見ています】


 


 


 


 


私は一瞬だけ画面を見る。


 


 


 


 


どちらの言葉も、


それだけなら普通だ。


 


 


 


 


でも。


 


 


 


 


今まで積み重ねてきた記録を思い出すと、


胸の奥に小さな緊張が走る。


 


 


 


 


私は落ち着いて答えた。


 


 


 


 


「ありがとうございます」


 


 


 


 


それ以上は返さない。


 


 


 


 


配信終了。


 


 


 


 


手帳を開く。


 


 


 


 


今日の記録を書き終え、


最後のページへ目をやる。


 


 


 


 


まだ白紙がたくさん残っている。


 


 


 


 


私はそっと閉じた。


 


 


 


 


願うのは一つ。


 


 


 


 


この先は、


何も書き足さなくて済むこと。


 


 


 


 


しかし。


 


 


 


 


翌朝。


 


 


 


 


佐藤から届いた一通のメッセージが、


その願いを静かに揺らす。


 


 


 


 


【新たに確認したい情報があります】


 


 


 


 


【お時間をいただけますか】


 


 


 


 


短い文章だった。


 


 


 


 


だが、


これまでの経験で分かる。


 


 


 


 


新しい情報は、


新しい局面の始まりでもあるのだと――。

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