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アラフォーママは新人ライバー ~ライブ配信で、「ただいま」があふれる居場所を育てています。~  作者: ふぁい(phi)
第四章  守るということ

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第七十九話 重なる時間



 


手帳を書き始めてから、


二週間が過ぎた。


 


 


ページは少しずつ増えている。


 


 


 


仕事の日。


 


 


配信の日。


 


 


家族との時間。


 


 


そして、


小さな違和感。


 


 


 


 


全部、


同じ一冊の中に残っていた。


 


 


 


 


土曜日。


 


 


今日は昼から配信イベント。


 


 


 


 


私は少し早めに準備を始める。


 


 


 


 


カメラ。


 


 


マイク。


 


 


照明。


 


 


 


 


機材を確認していると、


恒一がコーヒーを持ってきた。


 


 


 


 


「今日は長時間?」


 


 


 


 


「うん。三時間くらいかな」


 


 


 


 


「無理するなよ」


 


 


 


 


私は笑って頷いた。


 


 


 


 


イベント開始。


 


 


 


 


多くのリスナーが集まる。


 


 


 


 


コメントも速い。


 


 


 


 


ギフトも飛び交う。


 


 


 


 


忙しい。


 


 


 


 


でも楽しい。


 


 


 


 


開始から一時間。


 


 


 


 


例の高額ギフターが入室する。


 


 


 


 


ほぼ同時に、


もう一つのアカウントも現れた。


 


 


 


 


私は表情を変えず、


配信を続ける。


 


 


 


 


イベント終了。


 


 


 


 


大成功だった。


 


 


 


 


「ありがとうございました!」


 


 


 


 


私は深く頭を下げる。


 


 


 


 


配信を閉じた瞬間、


大きく息を吐いた。


 


 


 


 


疲れた。


 


 


 


 


でも、


達成感の方が大きい。


 


 


 


 


夜。


 


 


事務所から連絡が入る。


 


 


 


 


佐藤ではなく、


セキュリティ担当だった。


 


 


 


 


「少し共有があります」


 


 


 


 


オンライン会議が始まる。


 


 


 


 


画面には、


いくつものグラフが表示されていた。


 


 


 


 


私は思わず苦笑する。


 


 


 


 


「会社みたいですね」


 


 


 


 


担当者も笑う。


 


 


 


 


「少しだけ分析のお話です」


 


 


 


 


画面には、


配信時間とコメント時刻の一覧。


 


 


 


 


高額ギフター。


 


 


 


 


もう一つのアカウント。


 


 


 


 


そして。


 


 


 


 


「イベント配信の日だけ」


 


 


 


 


担当者が指を止める。


 


 


 


 


「この二つのアカウントは、ほぼ同じタイミングで入室しています」


 


 


 


 


私は画面を見る。


 


 


 


 


確かに。


 


 


 


 


通常配信では数分ずれる。


 


 


 


 


でも、


イベント配信だけは数秒以内。


 


 


 


 


「理由は分かりません」


 


 


 


 


「ですが、特徴として記録しています」


 


 


 


 


私は静かに頷いた。


 


 


 


 


また一つ。


 


 


 


 


違和感が増えた。


 


 


 


 


会議の最後。


 


 


 


 


担当者が言う。


 


 


 


 


「高梨さん」


 


 


 


 


「今まで通りで大丈夫です」


 


 


 


 


「何かを試そうとはしないでください」


 


 


 


 


私は少し驚く。


 


 


 


 


「試す?」


 


 


 


 


「例えば、反応を見るために嘘の予定を話すとか」


 


 


 


 


「そういうことは避けましょう」


 


 


 


 


私はすぐに理解した。


 


 


 


 


確かに、


少し考えたことがあった。


 


 


 


 


でも。


 


 


 


 


自分から相手を試すようなことは、


状況を複雑にするかもしれない。


 


 


 


 


「分かりました」


 


 


 


 


私は素直に答えた。


 


 


 


 


夜更け。


 


 


 


 


手帳を開く。


 


 


 


 


今日の記録。


 


 


 


 


『イベント配信終了。


事務所より分析共有。


自分から相手を試さない。』


 


 


 


 


私は最後に一行だけ書き加えた。


 


 


 


 


『焦らない。』


 


 


 


 


ペンを閉じる。


 


 


 


 


その頃。


 


 


 


 


画面の向こう。


 


 


 


 


二つのアカウントは、


今日も静かにログアウトしていた。


 


 


 


 


同じ時刻。


 


 


 


 


ほとんど同時に。


 


 


 


 


それが偶然なのか、


必然なのか。


 


 


 


 


まだ、


誰にも分からなかった――。

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