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アラフォーママは新人ライバー ~ライブ配信で「ただいま」と言える居場所を育てています~  作者: ふぁい(phi)
第四章  守るということ

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第七十四話 静かな日ほど



 


二つのアカウントが現れてから一週間。


 


 


大きな出来事はなかった。


 


 


 


DMは来ない。


 


 


荷物も届かない。


 


 


不審な電話もない。


 


 


 


 


穏やかな毎日。


 


 


 


 


だからこそ。


 


 


 


 


私は少しずつ、


気持ちを取り戻していた。


 


 


 


 


朝。


 


 


陽菜を送り出す。


 


 


 


 


「いってきます!」


 


 


 


 


「いってらっしゃい」


 


 


 


 


いつもの笑顔。


 


 


 


 


いつもの日常。


 


 


 


 


会社でも、


久しぶりに仕事へ集中できた。


 


 


 


 


昼休み。


 


 


愛美からメッセージ。


 


 


 


 


【最近どう?】


 


 


 


 


私は少し考えて返信する。


 


 


 


 


【落ち着いてるよ】


 


 


 


 


すぐ返事が来た。


 


 


 


 


【そういう時こそ油断しないで】


 


 


 


 


私は思わず笑う。


 


 


 


 


愛美らしい。


 


 


 


 


でも。


 


 


 


 


その言葉は、


どこか胸に残った。


 


 


 


 


夜。


 


 


配信開始。


 


 


 


 


開始から一時間。


 


 


 


 


雑談も歌も盛り上がる。


 


 


 


 


コメント欄は平和だった。


 


 


 


 


高額ギフター。


 


 


 


 


新しいアカウント。


 


 


 


 


どちらもいる。


 


 


 


 


だが、


今日は一言もコメントしない。


 


 


 


 


ギフトもない。


 


 


 


 


ただ、


視聴だけ。


 


 


 


 


私は少しだけ不思議に思った。


 


 


 


 


静かすぎる。


 


 


 


 


配信終了。


 


 


 


 


管理画面を見る。


 


 


 


 


二つのアカウント。


 


 


 


 


最後まで視聴。


 


 


 


 


発言ゼロ。


 


 


 


 


私はスクリーンショットだけ保存した。


 


 


 


 


その夜。


 


 


 


 


恒一が言う。


 


 


 


 


「最近少し表情が戻ったな」


 


 


 


 


私は笑う。


 


 


 


 


「そう?」


 


 


 


 


「うん」


 


 


 


 


「前はずっと考え込んでた」


 


 


 


 


私はコーヒーを飲みながら頷く。


 


 


 


 


確かに。


 


 


 


 


以前より眠れるようになった。


 


 


 


 


食欲も戻った。


 


 


 


 


普通の生活。


 


 


 


 


その大切さを、


改めて感じていた。


 


 


 


 


翌朝。


 


 


出勤前。


 


 


 


 


郵便受けを開ける。


 


 


 


 


チラシ。


 


 


 


 


公共料金のお知らせ。


 


 


 


 


その中に、


白い封筒が一枚。


 


 


 


 


差出人なし。


 


 


 


 


切手もない。


 


 


 


 


直接入れられたものだった。


 


 


 


 


私は封筒を見つめる。


 


 


 


 


何も書いていない。


 


 


 


 


ただ、


私の名前だけ。


 


 


 


 


高梨美咲様


 


 


 


 


手書きだった。


 


 


 


 


私は玄関へ戻る。


 


 


 


 


恒一が気付く。


 


 


 


 


「どうした?」


 


 


 


 


私は封筒を見せた。


 


 


 


 


恒一の表情が変わる。


 


 


 


 


「開けるな」


 


 


 


 


即答だった。


 


 


 


 


私は頷く。


 


 


 


 


スマホを取り出す。


 


 


 


 


写真を撮る。


 


 


 


 


表。


 


 


 


 


裏。


 


 


 


 


封の状態。


 


 


 


 


全部記録する。


 


 


 


 


そして。


 


 


 


 


佐藤へ連絡した。


 


 


 


 


数分後、


電話が掛かってくる。


 


 


 


 


『開封せず、そのまま保管してください』


 


 


 


 


「分かりました」


 


 


 


 


『こちらで対応を相談します』


 


 


 


 


電話を切る。


 


 


 


 


私は封筒を見つめた。


 


 


 


 


静かな日が続いていた。


 


 


 


 


だから安心していた。


 


 


 


 


でも。


 


 


 


 


静けさは、


終わりではなかった。


 


 


 


 


ただ。


 


 


 


 


次の出来事までの、


短い間だったのかもしれない。


 


 


 


 


白い封筒は、


テーブルの上に置かれたまま。


 


 


 


 


誰もまだ、


中身を知らなかった――。

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