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アラフォーママは新人ライバー 〜35歳でライブ配信デビュー〜  作者: ふぁい(phi)
第四章  守るということ

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第六十八話 偶然ではない



 


青い傘が届いてから二週間。


 


 


私は以前より慎重になっていた。


 


 


 


配信では現在地を話さない。


 


 


帰宅時間も言わない。


 


 


写真も時間をずらして投稿する。


 


 


 


 


できることは全部やっている。


 


 


 


 


それでも。


 


 


 


 


心のどこかに、


小さな不安は残っていた。


 


 


 


 


月曜日。


 


 


会社帰り。


 


 


 


 


駅前のスーパーへ寄る。


 


 


 


 


牛乳。


 


 


卵。


 


 


陽菜の好きなプリン。


 


 


 


 


買い物を済ませて店を出る。


 


 


 


 


その時だった。


 


 


 


 


入口の自動ドアが開く。


 


 


 


 


一人の男性とすれ違う。


 


 


 


 


帽子を深くかぶっている。


 


 


 


 


マスク姿。


 


 


 


 


特に珍しくない。


 


 


 


 


私はそのまま歩き出した。


 


 


 


 


数分後。


 


 


駅へ向かう途中。


 


 


 


 


信号で止まる。


 


 


 


 


何気なく後ろを見る。


 


 


 


 


さっきの男性がいた。


 


 


 


 


偶然。


 


 


 


 


そう思った。


 


 


 


 


信号が青になる。


 


 


 


 


歩き出す。


 


 


 


 


改札へ入る。


 


 


 


 


ホームへ向かう。


 


 


 


 


電車に乗る。


 


 


 


 


ドアが閉まる直前。


 


 


 


 


その男性も乗ってきた。


 


 


 


 


私は胸がざわつく。


 


 


 


 


でも。


 


 


 


 


同じ沿線なら珍しくない。


 


 


 


 


そう自分に言い聞かせる。


 


 


 


 


最寄り駅。


 


 


 


 


私は降りる。


 


 


 


 


男性も降りた。


 


 


 


 


鼓動が速くなる。


 


 


 


 


改札を出る。


 


 


 


 


私はいつもの道を歩かず、


少し遠回りをした。


 


 


 


 


コンビニへ入る。


 


 


 


 


飲み物を一本手に取る。


 


 


 


 


店内をゆっくり歩く。


 


 


 


 


ガラス越しに外を見る。


 


 


 


 


男性は通り過ぎていった。


 


 


 


 


私はほっと息をつく。


 


 


 


 


偶然だった。


 


 


 


 


……そう思った。


 


 


 


 


店を出る。


 


 


 


 


マンションへ向かう。


 


 


 


 


エントランスの前。


 


 


 


 


そこに、


さっきの男性はいなかった。


 


 


 


 


安心する。


 


 


 


 


部屋へ戻る。


 


 


 


 


玄関のドアを閉めた瞬間、


全身の力が抜けた。


 


 


 


 


「ただいま」


 


 


 


 


恒一が顔を出す。


 


 


 


 


「おかえり」


 


 


 


 


私は少し迷った。


 


 


 


 


でも、


今日の出来事を話した。


 


 


 


 


恒一は最後まで聞いてから言う。


 


 


 


 


「遠回りしたのは正解だ」


 


 


 


 


「でも、次からは一人で確認しようとするな」


 


 


 


 


私は首をかしげる。


 


 


 


 


「確認?」


 


 


 


 


「後ろを何度も見るとか、遠回りするとか」


 


 


 


 


「本当に不安なら、駅員さんがいる場所や人の多い店に入って、誰かに連絡した方がいい」


 


 


 


 


私は黙って聞く。


 


 


 


 


確かにそうだ。


 


 


 


 


自分一人で判断しようとしていた。


 


 


 


 


夜。


 


 


事務所へ今日の出来事を報告する。


 


 


 


 


佐藤から返信が来た。


 


 


 


 


【冷静に対応できています】


 


 


 


 


【引き続き無理に確認しようとせず、違和感があれば共有してください】


 


 


 


 


私はスマホを置く。


 


 


 


 


その日の配信は休みにした。


 


 


 


 


理由は話さない。


 


 


 


 


ただ、


「今日は家族との時間を過ごします」


 


 


 


 


それだけ投稿した。


 


 


 


 


コメント欄には、


 


 


【ゆっくり休んで】


 


 


【待ってます】


 


 


【家族優先で】


 


 


 


 


優しい言葉が並ぶ。


 


 


 


 


私は少し笑った。


 


 


 


 


怖い出来事はあった。


 


 


 


 


でも。


 


 


 


 


支えてくれる人の方が、


ずっと多い。


 


 


 


 


その夜。


 


 


眠る前に、


玄関の鍵を確認する。


 


 


 


 


窓も閉まっている。


 


 


 


 


カーテンも閉めた。


 


 


 


 


ふと、


スマホを見る。


 


 


 


 


新しいDMは来ていない。


 


 


 


 


少しだけ安心する。


 


 


 


 


しかし。


 


 


 


 


画面を閉じようとした時、


通知が一つ表示された。


 


 


 


 


配信アプリのお知らせ。


 


 


 


 


「あなたをお気に入り登録したユーザーが1人増えました。」


 


 


 


 


ただの通知。


 


 


 


 


それだけのはずなのに。


 


 


 


 


私はなぜか、


胸騒ぎを覚えていた――。

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