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アラフォーママは新人ライバー ~ライブ配信で、「ただいま」があふれる居場所を育てています。~  作者: ふぁい(phi)
第四章  守るということ

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第六十四話 相談



 


新人王終了から二週間。


 


 


青い傘。


 


 


 


その一言が、


頭から離れなかった。


 


 


 


朝。


 


 


目覚めても最初に思い出す。


 


 


 


 


【今日は青い傘でしたね】


 


 


 


 


たった一文。


 


 


 


 


でも。


 


 


 


 


偶然では説明できない。


 


 


 


 


私はスマホを開く。


 


 


 


 


スクリーンショット。


 


 


 


 


コメント履歴。


 


 


 


 


DM。


 


 


 


 


全部保存してある。


 


 


 


 


神崎レナの言葉を思い出す。


 


 


 


 


「記録してください」


 


 


 


 


その意味が、


ようやく分かった気がした。


 


 


 


 


朝食。


 


 


恒一がコーヒーを淹れている。


 


 


 


 


私は迷った。


 


 


 


 


話すべきか。


 


 


 


 


心配させるだけではないか。


 


 


 


 


でも。


 


 


 


 


隠したままの方が嫌だった。


 


 


 


 


「ねえ」


 


 


 


 


恒一が振り向く。


 


 


 


 


「ちょっと相談があるんだけど」


 


 


 


 


私はスマホを差し出した。


 


 


 


 


DM。


 


 


 


 


コメント。


 


 


 


 


全部見せる。


 


 


 


 


恒一は何も言わずに最後まで読んだ。


 


 


 


 


しばらく沈黙。


 


 


 


 


そして。


 


 


 


 


「これは気になるな」


 


 


 


 


私は少し安心した。


 


 


 


 


考えすぎじゃなかった。


 


 


 


 


恒一も同じ感覚だった。


 


 


 


 


「会社には話した?」


 


 


 


 


私は首を振る。


 


 


 


 


「まだ」


 


 


 


 


「事務所は?」


 


 


 


 


「まだ」


 


 


 


 


恒一はゆっくり息を吐く。


 


 


 


 


「一人で判断しない方がいい」


 


 


 


 


静かな口調だった。


 


 


 


 


でも。


 


 


 


 


その表情は真剣だった。


 


 


 


 


昼休み。


 


 


私は事務所の担当、


佐藤へ連絡した。


 


 


 


 


事情を説明する。


 


 


 


 


スクリーンショットも送る。


 


 


 


 


数分後。


 


 


 


 


電話が鳴った。


 


 


 


 


「高梨さん」


 


 


 


 


佐藤の声は落ち着いていた。


 


 


 


 


『まず落ち着いてください』


 


 


 


 


「はい」


 


 


 


 


『現時点では断定はできません』


 


 


 


 


私は頷く。


 


 


 


 


その通りだ。


 


 


 


 


まだ被害はない。


 


 


 


 


『ですが』


 


 


 


 


『違和感を覚えた時点で相談して正解です』


 


 


 


 


その言葉に少し肩の力が抜けた。


 


 


 


 


佐藤は続ける。


 


 


 


 


『今後も記録を続けてください』


 


 


 


 


『住所や行動が特定されそうな話は控えましょう』


 


 


 


 


『何かあれば、すぐ連絡してください』


 


 


 


 


私は「はい」と答えた。


 


 


 


 


電話を切る。


 


 


 


 


一人じゃない。


 


 


 


 


そう思えた。


 


 


 


 


夜。


 


 


配信開始。


 


 


 


 


今日は少しだけ背景を変えた。


 


 


 


 


窓が映らないように。


 


 


 


 


時計も映さない。


 


 


 


 


リスナーには気付かれない程度の工夫。


 


 


 


 


配信は穏やかだった。


 


 


 


 


常連が笑う。


 


 


 


 


初見さんも楽しそうだ。


 


 


 


 


そして。


 


 


 


 


例の高額ギフターも現れた。


 


 


 


 


ギフト。


 


 


 


 


コメント。


 


 


 


 


【今日もお疲れ様です】


 


 


 


 


普通だった。


 


 


 


 


その後も。


 


 


 


 


普通。


 


 


 


 


私は少し安心する。


 


 


 


 


考えすぎだったのだろうか。


 


 


 


 


配信終了。


 


 


 


 


何事もなく終わった。


 


 


 


 


ほっと息をつく。


 


 


 


 


その瞬間。


 


 


 


 


スマホが震えた。


 


 


 


 


DM。


 


 


 


 


送り主は、


例の高額ギフター。


 


 


 


 


私はゆっくり開く。


 


 


 


 


そこには。


 


 


 


 


【今日は背景が変わりましたね】


 


 


 


 


私は息を止めた。


 


 


 


 


続いて。


 


 


 


 


【前の方が好きでした】


 


 


 


 


スマホを握る手に力が入る。


 


 


 


 


背景。


 


 


 


 


気付いた。


 


 


 


 


配信をずっと見ているからこそ、


分かる変化。


 


 


 


 


それだけ。


 


 


 


 


それだけなのに。


 


 


 


 


監視されているような感覚が、


さらに強くなった。


 


 


 


 


私はすぐにスクリーンショットを保存する。


 


 


 


 


そして。


 


 


 


 


神崎レナへ一言だけ送った。


 


 


 


 


【相談して正解でした】


 


 


 


 


数分後。


 


 


 


 


返信。


 


 


 


 


【一人で抱えないでください】


 


 


 


 


短い言葉だった。


 


 


 


 


だが。


 


 


 


 


その一文だけで、


少しだけ心が軽くなった。


 


 


 


 


高梨美咲は、


初めて助けを求めた。


 


 


 


 


それは弱さではなく、


自分と家族を守るための一歩だった――。

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