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アラフォーママは新人ライバー ~ライブ配信で「ただいま」と言える居場所を育てています~  作者: ふぁい(phi)
第三章 忍び寄る影

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第五十九話 終わった朝



 


新人王終了翌日。


 


 


最終順位二位。


 


 


 


朝。


 


 


目が覚めた瞬間。


 


 


 


私は反射的にスマホへ手を伸ばした。


 


 


 


 


そして。


 


 


 


手が止まる。


 


 


 


 


もう終わったんだ。


 


 


 


 


ランキングは動かない。


 


 


 


 


追いかける数字もない。


 


 


 


 


新人王は終わった。


 


 


 


 


私は天井を見上げた。


 


 


 


 


不思議な気分だった。


 


 


 


 


悔しい。


 


 


 


 


もちろん悔しい。


 


 


 


 


あと少しだった。


 


 


 


 


本当にあと少し。


 


 


 


 


でも。


 


 


 


 


それ以上に疲れていた。


 


 


 


 


心も体も。


 


 


 


 


二十四日間走り続けたのだ。


 


 


 


 


リビングへ行く。


 


 


 


 


恒一が朝食を作っていた。


 


 


 


 


「おはよう」


 


 


 


 


「おはよう」


 


 


 


 


いつもと同じ会話。


 


 


 


 


でも。


 


 


 


 


今日は少しだけ違った。


 


 


 


 


「お疲れ」


 


 


 


 


恒一が言う。


 


 


 


 


私は少し笑った。


 


 


 


 


「ありがとう」


 


 


 


 


それだけで十分だった。


 


 


 


 


陽菜も起きてくる。


 


 


 


 


寝癖のまま。


 


 


 


 


「ママ」


 


 


 


 


「ん?」


 


 


 


 


「二位すごいよ」


 


 


 


 


私は思わず笑ってしまった。


 


 


 


 


子供は単純だ。


 


 


 


 


一位じゃない。


 


 


 


 


でも。


 


 


 


 


二位ですごいと言ってくれる。


 


 


 


 


その言葉に少し救われた。


 


 


 


 


会社。


 


 


久しぶりにランキングを気にせず仕事をする。


 


 


 


 


不思議だった。


 


 


 


 


集中できる。


 


 


 


 


メールを返す。


 


 


 


 


会議に出る。


 


 


 


 


資料を作る。


 


 


 


 


普通の生活。


 


 


 


 


少し前までは当たり前だった。


 


 


 


 


昼休み。


 


 


スマホを見る。


 


 


 


 


通知が大量に届いていた。


 


 


 


 


DM。


 


 


 


 


コメント。


 


 


 


 


フォロー。


 


 


 


 


新人王お疲れ様。


 


 


 


 


二位おめでとう。


 


 


 


 


応援してました。


 


 


 


 


そんな言葉が並ぶ。


 


 


 


 


私は一つ一つ読んだ。


 


 


 


 


そして。


 


 


 


あるメッセージで手が止まる。


 


 


 


 


送り主。


 


 


 


 


神崎レナ。


 


 


 


 


私は開いた。


 


 


 


 


【お疲れ様でした】


 


 


 


 


短い。


 


 


 


 


だが。


 


 


 


 


その続きに目を奪われた。


 


 


 


 


【ようこそこちら側へ】


 


 


 


 


私は首を傾げる。


 


 


 


 


こちら側?


 


 


 


 


さらに続く。


 


 


 


 


【新人王上位になると世界が変わります】


 


 


 


 


【良い意味でも悪い意味でも】


 


 


 


 


私はしばらく画面を見つめた。


 


 


 


 


意味深だった。


 


 


 


 


でも。


 


 


 


 


どこか現実味もあった。


 


 


 


 


新人王期間だけでも十分変わった。


 


 


 


 


知名度。


 


 


リスナー数。


 


 


視線。


 


 


期待。


 


 


 


 


全部。


 


 


 


 


夜。


 


 


久しぶりに気楽な配信だった。


 


 


 


 


イベントがない。


 


 


 


 


順位もない。


 


 


 


 


追われない。


 


 


 


 


コメント欄も穏やかだった。


 


 


 


 


【お疲れ様】


 


 


【新人王ロス】


 


 


【今日はまったり】


 


 


 


 


私は笑う。


 


 


 


 


「私もロスです」


 


 


 


 


本音だった。


 


 


 


 


あれだけ大変だったのに。


 


 


 


 


終わると寂しい。


 


 


 


 


人間は勝手だ。


 


 


 


 


雑談を続ける。


 


 


 


 


二時間。


 


 


 


 


三時間。


 


 


 


 


久しぶりに肩の力を抜いて話した。


 


 


 


 


その時。


 


 


 


 


見覚えのある名前が入室する。


 


 


 


 


あの高額ギフターだった。


 


 


 


 


新人王終盤から現れた人物。


 


 


 


 


今日も大きなギフトを投げる。


 


 


 


 


【お疲れ様でした】


 


 


 


 


私は笑顔で礼を言う。


 


 


 


 


するとコメント。


 


 


 


 


【悔しかったです】


 


 


 


 


私は少し驚く。


 


 


 


 


自分のことのような言い方だった。


 


 


 


 


続いて。


 


 


 


 


【一位にしてあげたかった】


 


 


 


 


私は少しだけ引っ掛かった。


 


 


 


 


でも。


 


 


 


 


その場では深く考えなかった。


 


 


 


 


応援してくれていたのだろう。


 


 


 


 


そう思った。


 


 


 


 


配信終了。


 


 


 


 


ランキングはない。


 


 


 


 


確認するものもない。


 


 


 


 


だから。


 


 


 


 


私は久しぶりにスマホを置いた。


 


 


 


 


そして。


 


 


 


 


陽菜の部屋を覗く。


 


 


 


 


ぐっすり眠っている。


 


 


 


 


その寝顔を見ていると、


少しだけ胸が軽くなった。


 


 


 


 


新人王は終わった。


 


 


 


 


でも。


 


 


 


 


人生は続く。


 


 


 


 


ライバー人生も続く。


 


 


 


 


そして。


 


 


 


 


高梨美咲はまだ知らない。


 


 


 


 


新人王は終わっても、


本当の試練はこれから始まることを――。

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