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アラフォーママは新人ライバー 〜35歳でライブ配信デビュー〜  作者: ふぁい(phi)
第三章 忍び寄る影

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第五十八話 新人王最終日



 


新人王二十四日目。


 


 


最終日。


 


 


 


朝五時。


 


 


目が覚めた。


 


 


 


 


目覚ましより早い。


 


 


 


 


眠れたような、


眠れていないような。


 


 


 


 


そんな感覚だった。


 


 


 


 


私はベッドの中で天井を見つめる。


 


 


 


 


今日で終わる。


 


 


 


 


新人王。


 


 


 


 


長かった二十四日間。


 


 


 


 


最初はイベント完走が目標だった。


 


 


 


 


トップ50に入れたら嬉しいと思った。


 


 


 


 


それが今。


 


 


 


 


全国二位。


 


 


 


 


一位を狙える位置にいる。


 


 


 


 


人生は分からない。


 


 


 


 


隣を見る。


 


 


 


 


恒一が寝ている。


 


 


 


 


その向こうの部屋では、


陽菜も眠っている。


 


 


 


 


私はそっとベッドを抜け出した。


 


 


 


 


リビング。


 


 


 


 


静かな朝。


 


 


 


 


コーヒーを淹れる。


 


 


 


 


スマホを開く。


 


 


 


 


順位。


 


 


 


 


二位。


 


 


 


 


変わらない。


 


 


 


 


一位との差。


 


 


 


 


昨日より少し縮まっていた。


 


 


 


 


本当に少しだけ。


 


 


 


 


でも。


 


 


 


 


まだ届く。


 


 


 


 


そんな数字だった。


 


 


 


 


午前。


 


 


仕事は休みを取った。


 


 


 


 


今日は配信に集中する。


 


 


 


 


しかし。


 


 


 


 


不思議だった。


 


 


 


 


以前ほど順位ばかり見なくなっていた。


 


 


 


 


気になる。


 


 


 


 


もちろん気になる。


 


 


 


 


でも。


 


 


 


 


それ以上に、


今日を楽しみたいと思っていた。


 


 


 


 


昼。


 


 


配信開始。


 


 


 


 


コメント欄は開始直後から大渋滞だった。


 


 


 


 


【最終日!】


 


 


【行こう!】


 


 


【新人王!】


 


 


 


 


私は笑顔で手を振る。


 


 


 


 


「皆さん、こんにちは」


 


 


 


 


声が少し震えた。


 


 


 


 


緊張している。


 


 


 


 


当然だった。


 


 


 


 


今日は特別だ。


 


 


 


 


バトル。


 


 


 


 


勝つ。


 


 


 


 


またバトル。


 


 


 


 


勝つ。


 


 


 


 


コメントを読む。


 


 


 


 


笑う。


 


 


 


 


感謝を伝える。


 


 


 


 


時間が飛ぶように過ぎていく。


 


 


 


 


夕方。


 


 


順位更新。


 


 


 


二位。


 


 


 



 


 


 


一位。


 


 


 


 


私は言葉を失った。


 


 


 


 


コメント欄も止まる。


 


 


 


 


そして。


 


 


 


 


爆発した。


 


 


 


 


【一位!!】


 


 


【来たあああ!!】


 


 


【新人王!!】


 


 


 


 


私は画面を見つめる。


 


 


 


 


信じられない。


 


 


 


 


本当に。


 


 


 


 


一位。


 


 


 


 


私が。


 


 


 


 


その時。


 


 


 


 


涙が出そうになった。


 


 


 


 


でも。


 


 


 


 


まだ終わっていない。


 


 


 


 


残り数時間ある。


 


 


 


 


私は深呼吸した。


 


 


 


 


「まだです」


 


 


 


 


コメント欄が反応する。


 


 


 


 


【そうだ】


 


 


【最後まで】


 


 


【気を抜くな】


 


 


 


 


夜。


 


 


順位は何度も入れ替わった。


 


 


 


 


一位。


 


 


二位。


 


 


一位。


 


 


二位。


 


 


 


 


まるでジェットコースターだった。


 


 


 


 


精神が削られる。


 


 


 


 


それでも。


 


 


 


 


私は最後まで配信した。


 


 


 


 


最後の一時間。


 


 


 


 


家族もリビングにいた。


 


 


 


 


陽菜は応援ボードを持っている。


 


 


 


 


恒一も起きていた。


 


 


 


 


私は画面越しに笑う。


 


 


 


 


こんな景色、


一年前には想像もできなかった。


 


 


 


 


残り十分。


 


 


 


 


順位。


 


 


 


 


一位。


 


 


 


 


差はわずか。


 


 


 


 


本当にわずか。


 


 


 


 


コメント欄は熱狂している。


 


 


 


 


そして。


 


 


 


 


終了五秒前。


 


 


 


 


大きなギフトが飛んだ。


 


 


 


 


見覚えのある名前。


 


 


 


 


神崎レナ。


 


 


 


 


私は目を見開く。


 


 


 


 


コメント欄も騒然。


 


 


 


 


【レナさん!?】


 


 


【え!?】


 


 


【本人!?】


 


 


 


 


私は言葉を失う。


 


 


 


 


なぜ。


 


 


 


 


ライバルなのに。


 


 


 


 


その時。


 


 


 


 


レナのコメントが流れた。


 


 


 


 


【最後まで楽しんで】


 


 


 


 


私は唇を噛む。


 


 


 


 


涙が出そうだった。


 


 


 


 


そして。


 


 


 


 


カウントダウン。


 


 


 


 



 



 



 


 


0。


 


 


 


 


新人王終了。


 


 


 


 


私は椅子にもたれた。


 


 


 


 


終わった。


 


 


 


 


本当に終わった。


 


 


 


 


結果発表は数分後。


 


 


 


 


コメント欄も固唾を呑んでいる。


 


 


 


 


私も同じだった。


 


 


 


 


スマホが震える。


 


 


 


 


最終結果。


 


 


 


 


私はゆっくり画面を開いた。


 


 


 


 


そして――。


 


 


 


 


新人王最終順位


 


 


 


 


第二位


 


 


 


 


私はしばらく動けなかった。


 


 


 


 


負けた。


 


 


 


 


最後の最後で。


 


 


 


 


わずかな差だった。


 


 


 


 


本当に。


 


 


 


 


わずかだった。


 


 


 


 


コメント欄も悔しさで溢れる。


 


 


 


 


【惜しい】


 


 


【悔しい】


 


 


【泣いた】


 


 


 


 


私は静かに目を閉じた。


 


 


 


 


悔しい。


 


 


 


 


もちろん悔しい。


 


 


 


 


でも。


 


 


 


 


不思議だった。


 


 


 


 


涙は出なかった。


 


 


 


 


代わりに浮かんだのは、


感謝だった。


 


 


 


 


ここまで来れた。


 


 


 


 


二位になれた。


 


 


 


 


誰も信じていなかった場所まで来た。


 


 


 


 


そして。


 


 


 


 


私は笑った。


 


 


 


 


「ありがとうございました」


 


 


 


 


心から。


 


 


 


 


新人王。


 


 


 


 


高梨美咲の挑戦は終わった。


 


 


 


 


だが。


 


 


 


 


ママライバーとしての物語は、


ここからが本当の始まりだった――。

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