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アラフォーママは新人ライバー 〜35歳でライブ配信デビュー〜  作者: ふぁい(phi)
第三章 忍び寄る影

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第五十六話 背中を追う人、背中を追われる人



 


新人王二十二日目。


 


 


順位二位。


 


 


 


残り二日。


 


 


 


朝。


 


 


目を覚ました瞬間、


私は天井を見つめた。


 


 


 


 


二位。


 


 


 


 


昨日までは夢の数字だった。


 


 


 


 


今は現実だ。


 


 


 


 


スマホを開く。


 


 


 


 


ランキング。


 


 


 


 


二位。


 


 


 


 


そして。


 


 


 


 


一位。


 


 


 


 


神崎レナ。


 


 


 


 


私はしばらく画面を見つめた。


 


 


 


 


差はまだ大きい。


 


 


 


 


正直に言えば、


逆転は簡単ではない。


 


 


 


 


だが。


 


 


 


 


不可能な数字でもなかった。


 


 


 


 


その事実が、


私を落ち着かなくさせていた。


 


 


 


 


会社へ向かう電車の中。


 


 


スマホが震える。


 


 


 


 


DM。


 


 


 


 


神崎レナだった。


 


 


 


 


【二位おめでとうございます】


 


 


 


 


私は思わず笑った。


 


 


 


 


この人はいつも先に連絡してくる。


 


 


 


 


【ありがとうございます】


 


 


 


 


返信する。


 


 


 


 


すると。


 


 


 


 


すぐに返事が来た。


 


 


 


 


【ここまで来ると思ってました】


 


 


 


 


私は首を横に振る。


 


 


 


 


自分ですら思っていなかった。


 


 


 


 


さらに続く。


 


 


 


 


【でも】


 


 


 


 


【ここからが一番苦しいですよ】


 


 


 


 


短い文章。


 


 


 


 


しかし重い。


 


 


 


 


私は画面を閉じた。


 


 


 


 


たぶん。


 


 


 


 


今の私には意味が分かる。


 


 


 


 


追いかける時は楽しい。


 


 


 


 


夢だけ見ていられる。


 


 


 


 


でも。


 


 


 


 


二位になると違う。


 


 


 


 


落ちる恐怖が生まれる。


 


 


 


 


追われる側になる。


 


 


 


 


その重圧。


 


 


 


 


昼休み。


 


 


ランキングを確認する。


 


 


 


 


二位。


 


 


 



 


 


 


三位。


 


 


 


 


私はため息をつく。


 


 


 


 


予想通りだ。


 


 


 


 


簡単に変わる。


 


 


 


 


数分後。


 


 


 


 


再び更新。


 


 


 


 


二位。


 


 


 


 


戻った。


 


 


 


 


もう笑うしかない。


 


 


 


 


完全に精神衛生に悪い。


 


 


 


 


夜。


 


 


配信開始。


 


 


 


 


開始直後から人が多い。


 


 


 


 


普段の倍近い。


 


 


 


 


コメントも速い。


 


 


 


 


【二位!】


 


 


【優勝あるぞ】


 


 


【新人王取ろう】


 


 


 


 


私は苦笑した。


 


 


 


 


「期待しすぎです」


 


 


 


 


【夢見させろ】


 


 


 


 


タカさんだった。


 


 


 


 


コメント欄が笑う。


 


 


 


 


私も笑う。


 


 


 


 


いつの間にか、


この言葉が大好きになっていた。


 


 


 


 


配信は順調だった。


 


 


 


 


コメントを読む。


 


 


雑談する。


 


 


バトルする。


 


 


 


 


そして。


 


 


 


今日はいつもと違うことがあった。


 


 


 


 


上位ライバーたちが遊びに来るのだ。


 


 


 


 


五位のライバー。


 


 


 


七位のライバー。


 


 


 


 


さらに。


 


 


 


 


神崎レナ。


 


 


 


 


コメント欄に現れた瞬間、


空気が変わった。


 


 


 


 


【レナさん!】


 


 


【一位だ】


 


 


【来た!】


 


 


 


 


私は少し緊張する。


 


 


 


 


すると。


 


 


 


レナのコメント。


 


 


 


 


【今日も頑張ってますね】


 


 


 


 


私は笑う。


 


 


 


 


「レナさんこそ」


 


 


 


 


すると。


 


 


 


 


思いもよらないコメントが流れた。


 


 


 


 


【私も最初はコメント読むだけでした】


 


 


 


 


一瞬。


 


 


 


コメント欄が静かになる。


 


 


 


 


私も驚いた。


 


 


 


 


レナがそんな話をするのは初めてだった。


 


 


 


 


さらに。


 


 


 


 


【続けていたら少しずつできることが増えました】


 


 


 


 


私は画面を見つめる。


 


 


 


 


それは。


 


 


 


 


今の私への言葉だった。


 


 


 


 


そして。


 


 


 


 


配信を見ている全ての新人ライバーへの言葉だった。


 


 


 


 


コメント欄が温かくなる。


 


 


 


 


【励みになる】


 


 


【ありがとう】


 


 


【頑張ろう】


 


 


 


 


私は少し胸が熱くなった。


 


 


 


 


ライバルなのに。


 


 


 


 


敵じゃない。


 


 


 


 


むしろ。


 


 


 


 


背中を見せてくれる人だった。


 


 


 


 


配信終了。


 


 


順位更新。


 


 


 


二位。


 


 


 


 


維持。


 


 


 


 


私はソファに倒れ込む。


 


 


 


 


疲れた。


 


 


 


 


でも。


 


 


 


悪い疲れじゃない。


 


 


 


 


その時。


 


 


スマホが震えた。


 


 


 


 


神崎レナからDM。


 


 


 


 


短い文章だった。


 


 


 


 


【最後まで楽しみましょう】


 


 


 


 


私はしばらく画面を見つめる。


 


 


 


 


最後まで。


 


 


 


 


楽しむ。


 


 


 


 


いつの間にか忘れかけていた言葉だった。


 


 


 


 


新人王二十二日目終了。


 


 


 


順位二位。


 


 


 


 


残り二日。


 


 


 


 


そして。


 


 


 


高梨美咲は気付き始めていた。


 


 


 


 


追いかけるだけだった自分にも、


いつの間にか誰かが憧れていることに――。

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