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アラフォーママは新人ライバー ~ライブ配信で「ただいま」と言える居場所を育てています~  作者: ふぁい(phi)
第三章 忍び寄る影

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第四十八話 初めてのアンチコメント



 


新人王十四日目。


 


 


順位十四位。


 


 


 


折り返し地点を過ぎた。


 


 


 


二週間前。


 


 


新人王に参加するだけで満足だった私が、


今はトップ10を意識している。


 


 


 


人間は本当に欲張りだと思う。


 


 


 


 


朝。


 


 


ランキングを確認する。


 


 


 


十四位。


 


 


 


 


その上。


 


 


十三位。


 


 


十二位。


 


 


十一位。


 


 


 


 


差は思ったほど大きくない。


 


 


 


 


届かない数字ではなかった。


 


 


 


 


会社へ向かう電車の中。


 


 


私は少しだけ笑った。


 


 


 


 


本気で狙いたい。


 


 


 


 


そんな気持ちが芽生えていた。


 


 


 


 


夜。


 


 


配信開始。


 


 


 


開始直後から多くの人が集まる。


 


 


 


 


【こんばんは】


 


 


【14位おめでとう】


 


 


【トップ10行こう】


 


 


 


 


私は笑顔で返した。


 


 


 


 


「ありがとうございます」


 


 


 


 


「でもまだ先ですよ」


 


 


 


 


コメント欄はいつも通り温かい。


 


 


 


 


私は安心していた。


 


 


 


 


少なくとも。


 


 


 


この場所は。


 


 


 


 


その時だった。


 


 


 


 


見慣れないコメントが流れる。


 


 


 


 


【何でこの人が14位なの?】


 


 


 


 


私は少しだけ固まった。


 


 


 


 


コメント欄も止まる。


 


 


 


 


数秒。


 


 


 


嫌な沈黙。


 


 


 


 


続けて流れる。


 


 


 


 


【特技もない】


 


 


 


【話も普通】


 


 


 


【ママってだけじゃん】


 


 


 


 


私は画面を見つめた。


 


 


 


 


初めてだった。


 


 


 


 


明確な否定。


 


 


 


 


悪意。


 


 


 


 


今までなかったわけではない。


 


 


 


 


ただ。


 


 


 


目立たなかった。


 


 


 


 


今日は違う。


 


 


 


 


多くの人が見ている。


 


 


 


 


だから余計に目に入った。


 


 


 


 


コメント欄が反応する。


 


 


 


 


【帰れ】


 


 


【アンチだ】


 


 


【荒らし】


 


 


 


 


空気が悪くなる。


 


 


 


 


私は慌てた。


 


 


 


 


これ以上は嫌だった。


 


 


 


 


だから笑う。


 


 


 


 


「その通りかもしれませんね」


 


 


 


 


コメント欄が静かになる。


 


 


 


 


私は続けた。


 


 


 


 


「特技ないです」


 


 


 


 


「歌も苦手です」


 


 


 


 


「ダンスもできません」


 


 


 


 


「普通のママです」


 


 


 


 


全部事実だった。


 


 


 


 


だから否定できない。


 


 


 


 


でも。


 


 


 


私は少しだけ胸を張った。


 


 


 


 


「それでもここまで来れました」


 


 


 


 


コメント欄が一気に流れる。


 


 


 


 


【そうだ】


 


 


【その通り】


 


 


【頑張ってきた】


 


 


【応援してる】


 


 


 


 


私は少しだけ目頭が熱くなった。


 


 


 


 


嬉しかった。


 


 


 


 


守ってくれる人がいる。


 


 


 


 


応援してくれる人がいる。


 


 


 


 


それが何より嬉しかった。


 


 


 


 


その後。


 


 


アンチコメントは消えた。


 


 


 


 


モデレーターが対応したのだろう。


 


 


 


 


配信はいつもの空気に戻った。


 


 


 


 


でも。


 


 


 


心の中には何かが残った。


 


 


 


 


痛み。


 


 


 


少しだけ。


 


 


 


 


配信終了後。


 


 


私はスマホを見つめていた。


 


 


 


 


恒一が声をかける。


 


 


 


 


「どうした?」


 


 


 


 


私は今日の出来事を話した。


 


 


 


 


すると。


 


 


 


恒一はあっさり言った。


 


 


 


 


「人気出た証拠だろ」


 


 


 


 


私は苦笑する。


 


 


 


 


「嬉しくない証拠」


 


 


 


 


「まあな」


 


 


 


 


恒一も笑った。


 


 


 


 


「でも」


 


 


 


 


少し真面目な顔になる。


 


 


 


 


「応援してくれる人の方が多いだろ?」


 


 


 


 


私は頷く。


 


 


 


 


圧倒的に多い。


 


 


 


 


今日だってそうだった。


 


 


 


 


たった数件のコメントより、


何百件もの応援の方が大きかった。


 


 


 


 


その時。


 


 


スマホが震える。


 


 


 


 


神崎レナからDMだった。


 


 


 


 


【今日の配信見ました】


 


 


 


 


続いて。


 


 


 


【上手な対応でした】


 


 


 


 


私は少し驚いた。


 


 


 


 


そしてさらにメッセージが届く。


 


 


 


 


【上に行くと増えます】


 


 


 


 


【でも気にしすぎないで】


 


 


 


 


短い文章。


 


 


 


 


だけど。


 


 


 


妙に重みがあった。


 


 


 


 


きっと。


 


 


 


レナも通ってきた道なのだろう。


 


 


 


 


新人王十四日目終了。


 


 


 


順位十三位。


 


 


 


 


気付けばまた一つ順位が上がっていた。


 


 


 


 


しかし。


 


 


 


高梨美咲は初めて知る。


 


 


 


 


上へ行くということは、


応援だけでなく、


悪意とも向き合うことなのだと――。

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