第四十七話 神崎レナからのメッセージ
新人王十三日目。
順位十六位。
朝から落ち着かなかった。
理由は一つ。
神崎レナからのフォロー。
昨夜から何度も確認してしまう。
本物だ。
偽物ではない。
新人王上位常連。
ランキング三位。
その神崎レナが、
なぜ私をフォローしたのか。
全く分からなかった。
通勤電車の中。
スマホが震える。
通知。
DMだった。
送り主を見た瞬間、
私は息を止めた。
神崎レナ。
本物だった。
恐る恐る開く。
【フォローありがとうございます】
私は思わず苦笑した。
いや。
先にフォローしたのはそちらでは。
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【いつも配信見ています】
私は固まる。
見ている?
私の?
【新人王で一番気になっているライバーです】
スマホを落としそうになった。
意味が分からない。
会社のホームで立ち尽くしてしまう。
一番気になっている。
新人王三位が。
私を。
理解が追いつかなかった。
その日の仕事は正直あまり覚えていない。
昼休み。
何度もDMを読み返した。
いたずらではない。
本物だった。
夜。
配信開始。
コメント欄はいつも通り。
【こんばんは】
【今日も頑張ろう】
【ランキング見た?】
私は笑顔で返す。
しかし。
頭の片隅にはレナのことがある。
言うべきか。
黙っておくべきか。
少し悩んだ。
そして。
話すことにした。
「実は昨日……」
コメント欄が反応する。
【何】
【どうした】
【事件?】
私は苦笑する。
「事件じゃないです」
そして。
神崎レナからフォローとDMが来たことを話した。
一瞬。
コメント欄が止まった。
そして爆発した。
【ええええ!?】
【本物!?】
【すごい】
【認知されてる】
私もまだ信じられない。
すると。
タカさんのコメントが流れる。
【だから言っただろ】
私は首を傾げる。
「何をですか?」
【上がるって】
私は少し照れた。
そうだった。
タカさんはかなり前から言っていた。
私より先に。
その時。
通知が鳴る。
コメント欄がざわつく。
【え?】
【まさか】
【本人?】
私は画面を見る。
そして固まる。
神崎レナが入室しました
私は言葉を失った。
コメント欄が大混乱になる。
【本物だ】
【来た】
【上位勢】
【やばい】
私は慌てて挨拶する。
「こんばんは」
するとコメントが流れた。
【こんばんは】
それだけ。
普通だった。
だが。
その存在感は圧倒的だった。
レナはしばらく配信を見ていた。
コメントも数回だけ。
それ以上は何もない。
しかし。
配信終了直前。
最後のコメントが流れた。
【無理しすぎないでくださいね】
私は少し驚く。
無理しすぎないで。
その言葉が妙に心に残った。
配信終了。
順位更新。
十六位。
↓
十四位。
私は目を見開く。
二つ上がった。
コメント欄も騒然。
【14位】
【すごい】
【トップ10見えてきた】
私は首を振る。
まだ遠い。
でも。
少しだけ見えてきた。
上位勢の背中が。
その夜。
ベッドに入る。
恒一が聞いた。
「楽しそうだな」
私は少し考えた。
そして答える。
「うん」
本当にそうだった。
大変だ。
疲れる。
悩むこともある。
それでも。
今は楽しい。
新人王十三日目終了。
順位十四位。
そして。
高梨美咲と神崎レナ。
二人の物語が、
静かに交わり始めていた――。




