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ママライバー美咲 ~ライブ配信で「ただいま」と言える居場所を育てています~  作者: ふぁい(phi)
第三章 忍び寄る影

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第四十四話 名前を覚えられるということ



 


新人王十日目。


 


 


順位十九位。


 


 


 


朝。


 


 


目を覚ました私は、いつものようにランキングを確認した。


 


 


 


十九位。


 


 


 


変わらない。


 


 


 


 


私は小さく息を吐いた。


 


 


 


守れた。


 


 


 


 


トップ20に入ることも大変だったが、


入ってから残る方がもっと大変だ。


 


 


 


 


スマホを閉じようとした時だった。


 


 


 


通知が大量に届いていることに気付く。


 


 


 


 


SNSのフォロワー増加通知。


 


 


 


DM。


 


 


 


配信アプリのフォロー通知。


 


 


 


 


私は目を瞬かせた。


 


 


 


 


昨日のトップ20入り。


 


 


 


思った以上に見られていたらしい。


 


 


 


 


会社へ向かう電車の中。


 


 


私はSNSを開く。


 


 


 


すると、


知らないアカウントの投稿が目に入った。


 


 


 


 


「新人王のママライバー面白い」


 


 


 


 


「高梨美咲って人伸びそう」


 


 


 


 


「コメント拾い上手い」


 


 


 


 


思わず画面を見つめる。


 


 


 


 


知り合いではない。


 


 


 


 


知らない人たちだ。


 


 


 


 


それが不思議だった。


 


 


 


 


私を知っている人が増えている。


 


 


 


 


その事実に、


少しだけ実感が湧いた。


 


 


 


 


夜。


 


 


配信開始。


 


 


 


配信ルームに入った瞬間、


私は驚いた。


 


 


 


 


視聴者数が明らかに増えている。


 


 


 


 


コメント欄も速い。


 


 


 


 


【こんばんは】


 


 


【トップ20おめでとう】


 


 


【おすすめから来ました】


 


 


【初見です】


 


 


 


 


初見コメントが次々流れる。


 


 


 


 


私は慌てながら挨拶を返した。


 


 


 


 


「こんばんは」


 


 


 


 


「初見さんありがとうございます」


 


 


 


 


コメントを拾う。


 


 


 


笑う。


 


 


 


また拾う。


 


 


 


 


気付けば一時間が過ぎていた。


 


 


 


 


その時だった。


 


 


 


 


通知。


 


 


 


 


バトル申請。


 


 


 


 


私は何気なく相手を見る。


 


 


 


 


そして驚いた。


 


 


 


 


順位十三位。


 


 


 


 


上位勢。


 


 


 


 


しかも。


 


 


 


 


昨日戦った九位のライバーと交流のある人だった。


 


 


 


 


コメント欄が騒ぐ。


 


 


 


【有名な人】


 


 


【強い】


 


 


【見つかった】


 


 


 


 


見つかった。


 


 


 


 


その表現が妙にしっくりきた。


 


 


 


 


トップ20に入ったことで、


上位ライバーたちの視界に入ったのだ。


 


 


 


 


私は少し緊張した。


 


 


 


 


でも。


 


 


 


逃げたくはなかった。


 


 


 


 


「受けます」


 


 


 


 


バトル開始。


 


 


 


 


相手は女性ライバーだった。


 


 


 


 


トークが上手い。


 


 


 


空気作りも上手い。


 


 


 


 


さすが上位勢。


 


 


 


 


そして。


 


 


 


意外なことが起きた。


 


 


 


 


『いつも見てます』


 


 


 


 


相手がそう言ったのだ。


 


 


 


 


私は固まった。


 


 


 


 


「え?」


 


 


 


 


『新人王のママライバーさんですよね』


 


 


 


 


『最近よく名前見ます』


 


 


 


 


コメント欄が沸く。


 


 


 


【すごい】


 


 


【認知された】


 


 


【上位勢に覚えられてる】


 


 


 


 


私は照れくさくなった。


 


 


 


 


でも。


 


 


 


少し嬉しかった。


 


 


 


 


結果は敗北。


 


 


 


 


やはり強かった。


 


 


 


 


しかし。


 


 


 


昨日のような大差ではない。


 


 


 


 


最後まで戦えた。


 


 


 


 


そして何より。


 


 


 


名前を覚えてもらえた。


 


 


 


 


それが大きかった。


 


 


 


 


配信終了後。


 


 


順位更新。


 


 


 


十九位。


 


 


 



 


 


 


十八位。


 


 


 


 


少しだけ上がる。


 


 


 


 


私はランキングを見つめた。


 


 


 


 


トップ20。


 


 


 


 


もう偶然ではない。


 


 


 


 


ここにいる理由がある。


 


 


 


 


少しずつ。


 


 


 


本当に少しずつ。


 


 


 


 


自信が芽生え始めていた。


 


 


 


 


その夜。


 


 


スマホにDMが届く。


 


 


 


 


送り主は愛美だった。


 


 


 


 


【最近初見増えてません?】


 


 


 


 


私は笑う。


 


 


 


 


【増えてます】


 


 


 


 


すると返信。


 


 


 


 


【人気者ですね】


 


 


 


 


私は首を振る。


 


 


 


 


まだそんなレベルじゃない。


 


 


 


 


でも。


 


 


 


確実に変わり始めている。


 


 


 


 


配信を始めた頃は、


数人のコメントを読むだけで精一杯だった。


 


 


 


 


今は違う。


 


 


 


 


知らない誰かが、


私を見つけてくれる。


 


 


 


 


新人王十日目終了。


 


 


 


順位十八位。


 


 


 


 


そして高梨美咲は初めて知る。


 


 


 


 


有名になることには、


喜びだけではなく、


別の側面もあるということを――。

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