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アラフォーママは新人ライバー ~ライブ配信で「ただいま」と言える居場所を育てています~  作者: ふぁい(phi)
第二章 広がる世界

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第三十四話 最初のアンチ



 


新人王開幕まで、あと九日。


 


 


その日の夜。


 


 


私はいつものように配信をしていた。


 


 


特別な日ではない。


 


 


イベントもない。


 


 


バトルもしていない。


 


 


 


雑談配信。


 


 


いつものリスナー。


 


 


いつもの空気。


 


 


 


そんな平和な時間だった。


 


 


 


「今日、会議が長くてですね」


 


 


 


コメントが流れる。


 


 


 


【お疲れ】


 


 


【あるある】


 


 


【眠そう】


 


 


 


 


私は笑いながら返す。


 


 


 


 


その時だった。


 


 


 


コメント欄に流れた。


 


 


 


【なんでこの人が新人王?】


 


 


 


 


一瞬だった。


 


 


 


本当に一瞬。


 


 


 


 


でも。


 


 


 


私は見てしまった。


 


 


 


 


コメントはすぐ流れる。


 


 


 


しかし頭に残る。


 


 


 


 


【ただのおばさん】


 


 


 


【運営のお気に入り?】


 


 


 


【顔だけ】


 


 


 


 


続いた。


 


 


 


 


私は黙る。


 


 


 


 


コメント欄の空気が変わる。


 


 


 


 


【やめろ】


 


 


 


【帰れ】


 


 


 


【ブロック】


 


 


 


 


古参リスナーたちが反応する。


 


 


 


 


私は慌てた。


 


 


 


 


「大丈夫です」


 


 


 


 


思わず言う。


 


 


 


 


「喧嘩しないでください」


 


 


 


 


本音だった。


 


 


 


 


アンチコメントより、


リスナー同士の言い争いの方が嫌だった。


 


 


 


 


コメントは消えた。


 


 


 


モデレーターが対応したのだろう。


 


 


 


 


配信は続く。


 


 


 


笑う。


 


 


 


話す。


 


 


 


コメントを読む。


 


 


 


 


でも。


 


 


 


頭の片隅に残っていた。


 


 


 


 


ただのおばさん。


 


 


 


 


否定できない。


 


 


 


 


三十五歳。


 


 


 


主婦。


 


 


 


母親。


 


 


 


 


アイドルじゃない。


 


 


 


モデルでもない。


 


 


 


 


だから余計に刺さる。


 


 


 


 


配信終了。


 


 


 


私はスマホを置いた。


 


 


 


 


ため息が出る。


 


 


 


 


リビングでは恒一が洗濯物を畳んでいた。


 


 


 


 


「お疲れ」


 


 


 


 


「うん」


 


 


 


 


声で分かったのだろう。


 


 


 


 


「何かあった?」


 


 


 


 


私は少し迷った。


 


 


 


でも話した。


 


 


 


 


「アンチコメント」


 


 


 


 


恒一は驚かなかった。


 


 


 


 


「初めて?」


 


 


 


 


「たぶんちゃんとしたのは」


 


 


 


 


「そっか」


 


 


 


 


それだけだった。


 


 


 


 


私は少し不満になる。


 


 


 


 


「もっとこう」


 


 


 


 


「大丈夫とかないの?」


 


 


 


 


恒一は笑った。


 


 


 


 


「大丈夫だろ」


 


 


 


 


「雑」


 


 


 


 


「だって本当に大丈夫だから」


 


 


 


 


私は黙る。


 


 


 


 


恒一は洗濯物を畳みながら続けた。


 


 


 


 


「有名になったんだよ」


 


 


 


 


「え?」


 


 


 


 


「見てる人が増えた」


 


 


 


 


「だから好きな人も増える」


 


 


 


 


「嫌いな人も増える」


 


 


 


 


私は考える。


 


 


 


 


確かに。


 


 


 


昔はアンチなんて来なかった。


 


 


 


 


見ている人が少なかったから。


 


 


 


 


「まあ」


 


 


 


 


恒一は笑う。


 


 


 


 


「俺は好きだけど」


 


 


 


 


私は吹き出した。


 


 


 


 


「何それ」


 


 


 


 


「事実」


 


 


 


 


相変わらずだった。


 


 


 


 


その時。


 


 


 


陽菜がやって来る。


 


 


 


 


「何の話?」


 


 


 


 


「ママがモテてる話」


 


 


 


 


「パパ嘘つき」


 


 


 


 


私は笑った。


 


 


 


 


家族の前だと、


悩みが少し小さくなる。


 


 


 


 


その夜。


 


 


ベッドに入る。


 


 


 


スマホを見る。


 


 


 


 


DMが届いていた。


 


 


 


送り主は愛美。


 


 


 


 


【私も今日アンチ来ました】


 


 


 


 


私は思わず笑った。


 


 


 


 


タイミングが良すぎる。


 


 


 


 


【私もです】


 


 


 


返信。


 


 


 


 


すぐ既読が付く。


 


 


 


 


【ちょっと落ち込みますよね】


 


 


 


 


【少しだけ】


 


 


 


 


本当は結構だった。


 


 


 


 


でも。


 


 


 


少し見栄を張った。


 


 


 


 


すると。


 


 


 


愛美から返ってくる。


 


 


 


 


【私は結構です】


 


 


 


 


私は吹き出した。


 


 


 


 


正直だった。


 


 


 


 


【仲間ですね】


 


 


 


 


【ですね】


 


 


 


 


短いやり取り。


 


 


 


 


でも救われた。


 


 


 


 


自分だけじゃない。


 


 


 


 


それだけで少し楽になる。


 


 


 


 


新人王開幕まで、あと八日。


 


 


 


注目が集まるほど、


光は強くなる。


 


 


 


そして同時に、


影もまた濃くなっていくのだった――。

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