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ママライバー美咲 ~ライブ配信で「ただいま」と言える居場所を育てています~  作者: ふぁい(phi)
第二章 広がる世界

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第二十三話 初めてのアンチ



イベント終了まで残り二日。


 


朝。


 


目覚めた私は、いつものようにスマホを開いた。


 


 


順位。


 


 


三位。


 


 


 


本当に三位だった。


 


 


昨夜は興奮してなかなか眠れなかった。


 


 


神崎アヤとのバトル。


 


 


まさかの勝利。


 


 


そしてTOP3入り。


 


 


 


夢みたいな出来事だった。


 


 


 


しかし。


 


 


夢には代償がある。


 


 


 


そのことを私はまだ知らなかった。


 


 


 


昼休み。


 


 


会社のデスクでSNSを開く。


 


 


 


イベント関連の投稿が増えていた。


 


 


 


ありがたい応援投稿。


 


 


切り抜き動画。


 


 


応援画像。


 


 


 


嬉しくなりながら見ていた時だった。


 


 


 


ある投稿が目に入る。


 


 


 


『なんであのママライバーが三位なの?』


 


 


 


私はスクロールを止めた。


 


 


 


『中身ないじゃん』


 


 


 


『結局顔だけ』


 


 


 


『イベント壊してる』


 


 


 


 


胸が少し痛くなった。


 


 


 


 


さらに見る。


 


 


 


『リスナーが必死なだけ』


 


 


 


『配信内容薄い』


 


 


 


『すぐ消えるタイプ』


 


 


 


 


私はスマホを閉じた。


 


 


 


 


頭では分かっている。


 


 


 


人気が出れば批判も増える。


 


 


 


有名になれば嫌われる。


 


 


 


それは当たり前だ。


 


 


 


 


でも。


 


 


 


実際に見ると傷付く。


 


 


 


 


夜。


 


 


配信前。


 


 


私は少しだけ緊張していた。


 


 


 


もし今日も書かれていたら。


 


 


 


もしコメントに来たら。


 


 


 


 


考えてしまう。


 


 


 


 


午後九時。


 


 


配信開始。


 


 


 


【こんばんは】


 


 


【三位おめでとう】


 


 


【今日も来た】


 


 


 


いつものコメント。


 


 


 


いつものメンバー。


 


 


 


少し安心した。


 


 


 


 


しかし。


 


 


 


開始十分後。


 


 


 


見慣れないアカウントが現れた。


 


 


 


【顔だけじゃん】


 


 


 


 


私は固まった。


 


 


 


 


コメント欄も一瞬止まる。


 


 


 


 


続く。


 


 


 


【配信内容ない】


 


 


 


【なんで三位?】


 


 


 


 


胸がざわつく。


 


 


 


頭が真っ白になる。


 


 


 


 


以前の私なら、


たぶん泣いていた。


 


 


 


 


しかしその時。


 


 


 


タカさんがコメントした。


 


 


 


【こんばんは】


 


 


 


 


全く関係ないコメントだった。


 


 


 


 


ユキさんも続く。


 


 


 


【今日の夕飯なに?】


 


 


 


 


アオイ。


 


 


 


【陽菜ちゃん元気?】


 


 


 


 


カズ坊。


 


 


 


【今日は何の話する?】


 


 


 


 


コメント欄の流れが変わる。


 


 


 


 


アンチコメントは流れて消えた。


 


 


 


 


私は画面を見つめる。


 


 


 


 


誰も言い返さない。


 


 


 


誰も喧嘩しない。


 


 


 


 


ただ。


 


 


 


いつも通り配信を続ける。


 


 


 


 


それだけだった。


 


 


 


 


私は少し笑った。


 


 


 


 


「今日の夕飯ですか?」


 


 


 


 


「麻婆豆腐でした」


 


 


 


 


コメント欄が盛り上がる。


 


 


 


【いいな】


 


 


 


【食べたい】


 


 


 


【飯テロ】


 


 


 


 


空気が戻った。


 


 


 


 


私は自然と話し始める。


 


 


 


いつものように。


 


 


 


 


配信終了後。


 


 


私は深く息を吐いた。


 


 


 


正直。


 


 


 


怖かった。


 


 


 


 


でも。


 


 


 


もっと怖いことにも気付いた。


 


 


 


 


アンチの言葉より。


 


 


 


その言葉を信じそうになった自分が怖かった。


 


 


 


 


「顔だけ」


 


 


 


「中身がない」


 


 


 


 


本当にそうかもしれない。


 


 


 


そんな考えが一瞬浮かんだ。


 


 


 


 


その時。


 


 


スマホが震えた。


 


 


 


玲奈からだった。


 


 


 


【見てました】


 


 


 


 


私は苦笑した。


 


 


 


 


【見られてましたか】


 


 


 


 


返信。


 


 


 


 


【アンチ来てましたね】


 


 


 


 


私は少し考えた。


 


 


 


そして送る。


 


 


 


【ちょっと傷つきました】


 


 


 


 


数秒後。


 


 


返信。


 


 


 


【正常です】


 


 


 


 


私は思わず笑った。


 


 


 


 


【傷つかなくなったら危ない】


 


 


 


【でも信じたらもっと危ない】


 


 


 


 


玲奈らしい言葉だった。


 


 


 


 


【応援してくれる人見てください】


 


 


 


 


私はスマホを見つめる。


 


 


 


 


今日のコメント欄。


 


 


 


タカさん。


 


 


ユキさん。


 


 


アオイ。


 


 


カズ坊。


 


 


 


そしてたくさんのリスナー。


 


 


 


 


私はゆっくり返信した。


 


 


 


【ありがとう】


 


 


 


 


スマホを置く。


 


 


 


順位は三位。


 


 


 


変わらない。


 


 


 


 


でも。


 


 


 


今日は順位より大事なことを知った。


 


 


 


 


人気が出れば、


応援も増える。


 


 


 


そして。


 


 


 


アンチも増える。


 


 


 


 


それがライバーという世界だった。


 


 


 


 


イベント終了まで残り二日。


 


 


 


そして翌日。


 


 


 


高梨美咲は、


初めて「守る戦い」に挑むことになる。

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