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アラフォーママは新人ライバー 〜35歳でライブ配信デビュー〜  作者: ふぁい(phi)
第一章 はじまりの一歩

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第十八話 強者の景色



イベント三日目。


 


朝の順位は十一位だった。


 


 


TOP10まであと一つ。


 


 


たった一つ。


 


 


それなのに妙に遠く感じる。


 


 


 


通勤電車の中。


 


 


私は何度もイベントページを更新していた。


 


 


十一位。


 


 


変わらない。


 


 


 


「落ち着け」


 


 


自分に言い聞かせる。


 


 


でも落ち着けるわけがない。


 


 


 


前回三十一位だった私が、


今はTOP10を狙える位置にいる。


 


 


 


夢みたいだった。


 


 


 


夜。


 


 


配信開始。


 


 


 


開始直後から人が集まる。


 


 


 


【今日は入れるか】


 


 


【TOP10見たい】


 


 


【頑張れ】


 


 


 


コメントを見るだけで緊張する。


 


 


 


「みんな期待しすぎです」


 


 


私が言うと、


コメント欄が笑った。


 


 


 


【期待するだろ】


 


 


【ここまで来たら】


 


 


【信じてる】


 


 


 


胸が少し熱くなる。


 


 


 


 


配信は好調だった。


 


 


 


コメントも多い。


 


 


 


初見も増えた。


 


 


 


イベント効果だろう。


 


 


 


 


開始から一時間。


 


 


順位更新。


 


 


 


十位。


 


 


 


 


私は固まった。


 


 


 


コメント欄が爆発する。


 


 


 


【入った!】


 


 


【TOP10!】


 


 


【やったー!】


 


 


 


思わず笑顔になる。


 


 


 


 


でも。


 


 


 


次の瞬間。


 


 


 


順位は九位になった。


 


 


 


さらに八位。


 


 


 


 


イベントは常に動いている。


 


 


 


上がれば目立つ。


 


 


 


目立てば狙われる。


 


 


 


 


そのとき。


 


 


コメントが流れた。


 


 


 


【バトル来た】


 


 


 


私は画面を見る。


 


 


 


対戦申請。


 


 


 


知らない名前。


 


 


 


でも。


 


 


 


コメント欄の空気が変わった。


 


 


 


【やばい】


 


 


【強豪】


 


 


【イベント常連】


 


 


【相手ガチ勢】


 


 


 


私は少し緊張した。


 


 


 


そんなに強いのか。


 


 


 


 


「受けます」


 


 


 


自分でも驚くくらい即答だった。


 


 


 


コメント欄がざわつく。


 


 


 


【マジか】


 


 


【逃げないのか】


 


 


【行け】


 


 


 


私はバトルボタンを押した。


 


 


 


画面が切り替わる。


 


 


 


相手ライバー。


 


 


 


視聴者数。


 


 


 


百五十人超。


 


 


 


私は一瞬言葉を失った。


 


 


 


桁が違う。


 


 


 


 


「こんばんは」


 


 


相手が余裕の笑顔で挨拶する。


 


 


 


「こんばんは」


 


 


私は少し声が硬い。


 


 


 


 


バトル開始。


 


 


 


残り五分。


 


 


 


開始十秒。


 


 


 


ギフト。


 


 


 


ギフト。


 


 


 


ギフト。


 


 


 


 


私は目を見開いた。


 


 


 


速い。


 


 


 


圧倒的に速い。


 


 


 


 


点差が開く。


 


 


 


どんどん開く。


 


 


 


 


コメント欄も焦り始める。


 


 


 


【強い】


 


 


【えぐい】


 


 


【相手本物だ】


 


 


 


私は必死に話す。


 


 


 


笑う。


 


 


 


コメントを拾う。


 


 


 


でも差は縮まらない。


 


 


 


 


残り二分。


 


 


 


点差は三倍以上。


 


 


 


 


負ける。


 


 


 


そう思った。


 


 


 


 


そのときだった。


 


 


 


タカさんがコメントする。


 


 


 


【みさママ】


 


 


 


私は読む。


 


 


 


【いつも通りでいい】


 


 


 


 


その一文に、


不思議と肩の力が抜けた。


 


 


 


 


そうだ。


 


 


 


私は玲奈じゃない。


 


 


 


強豪ライバーでもない。


 


 


 


 


私は私だ。


 


 


 


 


「みんな今日もありがとう」


 


 


 


自然と言葉が出る。


 


 


 


「来てくれて嬉しいです」


 


 


 


「負けそうだけど楽しいです」


 


 


 


 


コメント欄が笑う。


 


 


 


【それだ】


 


 


【みさママらしい】


 


 


【好き】


 


 


 


空気が変わった。


 


 


 


 


点差は埋まらない。


 


 


 


でもコメント欄は盛り上がる。


 


 


 


笑いが増える。


 


 


 


会話が弾む。


 


 


 


 


そして終了。


 


 


 


結果。


 


 


 


『LOSE』


 


 


 


 


完敗だった。


 


 


 


 


しかし。


 


 


 


悔しいだけではなかった。


 


 


 


 


相手ライバーが言った。


 


 


 


「楽しい枠ですね」


 


 


 


 


私は驚いた。


 


 


 


 


「応援したくなる感じがあります」


 


 


 


 


そして相手は笑った。


 


 


 


「また当たりましょう」


 


 


 


 


バトル終了。


 


 


 


私はしばらく画面を見つめていた。


 


 


 


負けた。


 


 


 


でも得るものがあった。


 


 


 


 


強者は強い。


 


 


 


数字も人も桁違いだ。


 


 


 


 


でも。


 


 


 


私にも武器がある。


 


 


 


 


それを少しだけ確信できた。


 


 


 


 


イベント順位。


 


 


 


九位。


 


 


 


 


負けたのに下がっていない。


 


 


 


むしろ少し上がっている。


 


 


 


 


コメント欄が流れる。


 


 


 


【次行こう】


 


 


【まだ戦える】


 


 


【ここから】


 


 


 


私は笑った。


 


 


 


 


TOP10に入っただけじゃない。


 


 


 


私は初めて、


上位ライバーたちが見ている景色の入口に立ったのだった。

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