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アラフォーママは新人ライバー 〜35歳でライブ配信デビュー〜  作者: ふぁい(phi)
第一章 はじまりの一歩

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第十六話 イベント開幕



午前十時。


 


春の大型イベントが始まった。


 


 


会社のデスク。


 


 


私はパソコン画面を見ながら、


こっそりスマホを確認する。


 


 


イベントページ。


 


 


ランキング。


 


 


当然まだ変動は少ない。


 


 


 


それでも心臓は落ち着かなかった。


 


 


 


「高梨さん」


 


 


後ろから声がする。


 


 


私は慌ててスマホを伏せた。


 


 


 


「はい!」


 


 


 


「その資料できた?」


 


 


 


「あっ」


 


 


 


完全に忘れていた。


 


 


 


周囲から小さな笑い声。


 


 


 


私は顔を赤くした。


 


 


 


 


仕事が終わる。


 


 


 


時計を見る。


 


 


午後六時。


 


 


 


急いで帰宅。


 


 


 


電車の中でもスマホを確認してしまう。


 


 


 


順位。


 


 


二十三位。


 


 


 


悪くない。


 


 


 


でもまだ始まったばかりだ。


 


 


 


 


家に着く。


 


 


 


恒一が夕飯を作っていた。


 


 


 


陽菜はピアノの練習中。


 


 


 


いつもの日常。


 


 


 


でも今日は少し違う。


 


 


 


家の空気まで、


イベントを意識している気がした。


 


 


 


「頑張って」


 


 


陽菜が言う。


 


 


 


「ありがとう」


 


 


 


私は笑った。


 


 


 


 


午後九時。


 


 


イベント初日の配信開始。


 


 


 


「こんばんは!」


 


 


 


いつもより声が大きい。


 


 


 


コメント欄がすぐ動く。


 


 


 


【きたー!】


 


 


【イベント初日!】


 


 


【頑張ろう!】


 


 


【絶対見に来ると思った】


 


 


 


普段より人が多い。


 


 


 


初見もいる。


 


 


 


久しぶりの人もいる。


 


 


 


それだけで嬉しかった。


 


 


 


 


「今日からイベントです」


 


 


 


コメント欄が盛り上がる。


 


 


 


【知ってる】


 


 


【みんな準備してた】


 


 


【行くぞ】


 


 


 


その言葉に少し驚く。


 


 


 


私だけじゃなかった。


 


 


 


みんなも今日を待っていたのだ。


 


 


 


 


配信は順調だった。


 


 


 


仕事の話。


 


 


陽菜のダンス発表会の話。


 


 


最近失敗した料理の話。


 


 


 


笑いが起きる。


 


 


 


コメントが増える。


 


 


 


以前なら焦っていた。


 


 


 


でも今は違う。


 


 


 


一つずつ拾う。


 


 


 


会話を繋ぐ。


 


 


 


楽しむ。


 


 


 


 


そして一時間後。


 


 


 


コメントが流れた。


 


 


 


【バトル行こう】


 


 


 


私は少し笑った。


 


 


 


来た。


 


 


 


イベントと言えばバトル。


 


 


 


避けては通れない。


 


 


 


「行きますか」


 


 


 


コメント欄が沸く。


 


 


 


【待ってました】


 


 


【いけ!】


 


 


【勝とう!】


 


 


 


私はバトルボタンを押した。


 


 


 


マッチング成立。


 


 


 


相手は女性ライバー。


 


 


 


ランキング上位ではない。


 


 


 


でも油断はできない。


 


 


 


 


「よろしくお願いします」


 


 


 


「よろしくお願いします」


 


 


 


バトル開始。


 


 


 


以前とは違う。


 


 


 


怖くないわけじゃない。


 


 


 


でも逃げたいとも思わない。


 


 


 


 


コメントを拾う。


 


 


 


笑う。


 


 


 


話す。


 


 


 


相手とも会話する。


 


 


 


 


残り一分。


 


 


 


接戦。


 


 


 


コメント欄が熱を帯びる。


 


 


 


【いける】


 


 


【あと少し】


 


 


【頑張れ】


 


 


 


画面が光る。


 


 


 


ギフト。


 


 


 


また光る。


 


 


 


ギフト。


 


 


 


さらに光る。


 


 


 


私は言葉を失った。


 


 


 


みんな本気だ。


 


 


 


私以上に。


 


 


 


 


カウントダウン。


 


 


 


5。


 


 


4。


 


 


3。


 


 


2。


 


 


1。


 


 


0。


 


 


 


終了。


 


 


 


結果発表。


 


 


 


 


『WIN』


 


 


 


 


コメント欄が爆発した。


 


 


 


【勝ったー!】


 


 


【ナイス!】


 


 


【初日最高!】


 


 


 


私は口元を押さえる。


 


 


 


また勝った。


 


 


 


偶然じゃない。


 


 


 


前とは違う。


 


 


 


少しだけ強くなっている。


 


 


 


 


バトル終了後。


 


 


ランキングを確認する。


 


 


 


二十三位。


 


 


 



 


 


十五位。


 


 


 


 


私は目を見開いた。


 


 


 


十五位。


 


 


 


トップ10まであと少し。


 


 


 


 


コメント欄が流れる。


 


 


 


【見えてきた】


 


 


【行けるぞ】


 


 


【前回と違う】


 


 


 


 


前回と違う。


 


 


 


その言葉が胸に響く。


 


 


 


確かに違う。


 


 


 


三十一位で終わった私じゃない。


 


 


 


 


配信終了後。


 


 


私はイベントページを見つめていた。


 


 


 


十五位。


 


 


 


まだ初日。


 


 


 


でも。


 


 


 


希望が見えていた。


 


 


 


そのとき。


 


 


DM通知。


 


 


送り主は玲奈。


 


 


 


【7位スタートでした】


 


 


 


私は思わず笑う。


 


 


 


さすがだ。


 


 


 


すぐ返信する。


 


 


 


【15位でした】


 


 


 


数秒後。


 


 


返信。


 


 


 


【追い上げてきそうで怖いです】


 


 


 


私は吹き出した。


 


 


 


そんなわけない。


 


 


 


まだまだ差はある。


 


 


 


でも。


 


 


 


いつか本当にそう言わせたい。


 


 


 


私はランキングを見つめた。


 


 


 


春の大型イベント。


 


 


 


まだ始まったばかりだった。

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