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アラフォーママは新人ライバー ~ライブ配信で、「ただいま」があふれる居場所を育てています。~  作者: ふぁい(phi)
第一章 はじまりの一歩

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第十三話 それぞれの武器



春の大型イベントまで二週間。


 


事務所のライバーたちは少しずつ慌ただしくなっていた。


 


SNSではイベントの告知が増え、


配信でもその話題が目立つようになる。


 


 


もちろん私も例外ではない。


 


 


「イベント近いですね」


 


 


配信中にそう言うと、


コメント欄が反応した。


 


 


【今回は期待してる】


 


 


【入賞いける】


 


 


【前回の31位からどこまで行くか】


 


 


 


三十一位。


 


 


改めて文字にされると少し痛い。


 


 


 


「やめてください」


 


 


私は笑った。


 


 


 


【事実】


 


 


【でも成長してる】


 


 


【前とは違う】


 


 


 


そう言ってもらえるのは嬉しい。


 


 


でも同時にプレッシャーもあった。


 


 


 


今回は負けたくない。


 


 


 


その気持ちは日に日に強くなっていた。


 


 


 


翌日。


 


 


玲奈からDMが届いた。


 


 


【今夜時間あります?】


 


 


 


【あります】


 


 


 


【作戦会議しましょう】


 


 


 


作戦会議。


 


 


その言葉に少し笑う。


 


 


 


夜。


 


 


通話が始まった。


 


 


 


「こんばんは」


 


 


 


「こんばんは」


 


 


 


玲奈の声はいつも通り明るい。


 


 


 


しかし話題は真面目だった。


 


 


 


「イベントどうします?」


 


 


 


「どうしますって?」


 


 


 


「戦略です」


 


 


 


私は思わず苦笑した。


 


 


 


戦略。


 


 


 


私はそういうのが苦手だ。


 


 


 


 


玲奈は言った。


 


 


 


「私はバトル中心で行きます」


 


 


 


なるほど。


 


 


玲奈はバトルが強い。


 


 


 


納得できる。


 


 


 


「みさママさんは?」


 


 


 


私は考えた。


 


 


 


バトル。


 


 


 


正直まだ苦手だ。


 


 


 


もちろん以前よりは慣れた。


 


 


でも得意とは言えない。


 


 


 


「雑談かな」


 


 


 


答える。


 


 


 


玲奈が少し笑った。


 


 


 


「やっぱり」


 


 


 


「やっぱり?」


 


 


 


「みさママさんらしい」


 


 


 


私は首を傾げた。


 


 


 


玲奈は続ける。


 


 


 


「私、前から思ってたんです」


 


 


 


「みさママさんの枠って」


 


 


 


少し間。


 


 


 


「帰ってくる場所みたいなんですよ」


 


 


 


私は言葉を失った。


 


 


 


帰ってくる場所。


 


 


 


そんな風に考えたことはなかった。


 


 


 


 


「私の枠は騒がしいんです」


 


 


 


玲奈が笑う。


 


 


 


「楽しいけど疲れる時もある」


 


 


 


「でもみさママさんの枠は違う」


 


 


 


「なんか安心する」


 


 


 


 


私は少し照れた。


 


 


 


褒められるのは苦手だ。


 


 


 


 


そのときだった。


 


 


玲奈が突然言う。


 


 


 


「だから勝てると思います」


 


 


 


私は驚いた。


 


 


 


「私が?」


 


 


 


「はい」


 


 


 


玲奈は即答した。


 


 


 


「武器がありますから」


 


 


 


武器。


 


 


 


その言葉が胸に残る。


 


 


 


 


翌日。


 


 


私はその言葉を考えながら配信していた。


 


 


 


武器。


 


 


 


私の武器。


 


 


 


何だろう。


 


 


 


美人?


 


 


違う。


 


 


 


トーク力?


 


 


玲奈ほどじゃない。


 


 


 


歌?


 


 


歌えない。


 


 


 


ダンス?


 


 


無理。


 


 


 


料理?


 


 


むしろ苦手。


 


 


 


 


でも。


 


 


 


コメント欄を見ていると、


少しだけ分かる気がした。


 


 


 


【今日仕事で怒られた】


 


 


【疲れた】


 


 


【明日も早い】


 


 


 


そんなコメントが流れる。


 


 


 


私は一つずつ返していく。


 


 


 


「お疲れさま」


 


 


 


「頑張りましたね」


 


 


 


「無理しないでくださいね」


 


 


 


 


コメント欄が少し穏やかになる。


 


 


 


【癒やされた】


 


 


 


【明日頑張る】


 


 


 


【来て良かった】


 


 


 


 


私はふと思った。


 


 


 


これなのかもしれない。


 


 


 


 


配信終了後。


 


 


タカさんからメッセージが届く。


 


 


 


【最近いい感じ】


 


 


 


珍しい。


 


 


 


滅多に褒めない人だ。


 


 


 


【そうですか?】


 


 


 


返信。


 


 


 


【自分の配信になってきた】


 


 


 


私は画面を見つめる。


 


 


 


自分の配信。


 


 


 


最初の頃は真似ばかりだった。


 


 


 


人気ライバーの真似。


 


 


話し方。


 


 


企画。


 


 


リアクション。


 


 


 


でも今は少し違う。


 


 


 


私は私のまま配信している。


 


 


 


それでいいのかもしれない。


 


 


 


その夜。


 


 


イベントページが更新された。


 


 


 


参加ライバー一覧。


 


 


 


そこに。


 


 


 


白石玲奈。


 


 


 


そして。


 


 


 


高梨美咲。


 


 


 


二つの名前が並んでいた。


 


 


 


私は静かに画面を見つめる。


 


 


 


仲間。


 


 


 


ライバル。


 


 


 


どちらも本当だ。


 


 


 


そして二週間後。


 


 


私たちは同じ舞台で戦うことになる。

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