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アラフォーママは新人ライバー 〜35歳でライブ配信デビュー〜  作者: ふぁい(phi)
第一章 はじまりの一歩

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第十二話 見えているもの、見えていないもの



コラボ配信から数日。


 


私の配信には少し変化が起きていた。


 


玲奈のリスナーが遊びに来てくれるようになったのだ。


 


 


【玲奈ちゃんのところから来ました】


 


【初見です】


 


【みさママ落ち着く】


 


 


そんなコメントを見るたびに嬉しくなる。


 


 


もちろん、


玲奈のおかげだ。


 


 


私はまだまだ小さなライバー。


 


 


だからこそ、


このチャンスを無駄にしたくなかった。


 


 


 


ある日の昼休み。


 


 


私は会社の休憩室で玲奈の配信を見ていた。


 


 


同時視聴者数九十人。


 


 


コメントも速い。


 


 


ギフトも飛ぶ。


 


 


盛り上がっている。


 


 


 


やっぱりすごいな。


 


 


そう思った。


 


 


 


その夜。


 


 


自分の配信を終えたあと、


何となく玲奈の枠を開いた。


 


 


時刻は深夜一時。


 


 


 


まだ配信していた。


 


 


 


「みんな寝ないの?」


 


 


玲奈が笑う。


 


 


 


コメント欄が流れる。


 


 


【玲奈ちゃんが寝たら】


 


 


【まだいける】


 


 


【朝まで】


 


 


 


相変わらず元気だ。


 


 


 


私は少しだけ羨ましくなる。


 


 


 


人気がある。


 


 


人が集まる。


 


 


盛り上がる。


 


 


 


いいな。


 


 


 


そう思った。


 


 


 


そのときだった。


 


 


コメント欄に流れた一文が目に入る。


 


 


 


【最近ポイント落ちてるね】


 


 


 


私は少し眉をひそめた。


 


 


 


玲奈は笑顔を崩さない。


 


 


 


「そうですねー」


 


 


 


軽く流す。


 


 


 


しかし。


 


 


 


次のコメント。


 


 


 


【イベント勝てるの?】


 


 


 


【最近弱くない?】


 


 


 


【前の方が面白かった】


 


 


 


私は思わず画面を見つめた。


 


 


 


アンチ。


 


 


 


いや、


完全なアンチではない。


 


 


 


でも刺さる。


 


 


 


じわじわ刺さる。


 


 


 


 


玲奈は笑っている。


 


 


 


「厳しいなー」


 


 


 


そう言って流す。


 


 


 


しかし。


 


 


 


私は気付いてしまった。


 


 


 


笑顔が少しだけ硬い。


 


 


 


 


配信終了後。


 


 


私は何となくDMを送った。


 


 


 


【今日の配信見てました】


 


 


 


すぐ返信が来る。


 


 


 


【ありがとうございます】


 


 


 


いつもの玲奈だ。


 


 


 


私は少し迷った。


 


 


 


でも送る。


 


 


 


【嫌なコメント大丈夫でした?】


 


 


 


既読。


 


 


 


しばらく返信が来ない。


 


 


 


数分後。


 


 


 


【見てました?】


 


 


 


【少し落ち込みました笑】


 


 


 


私は息を吐いた。


 


 


 


やっぱり。


 


 


 


平気じゃなかった。


 


 


 


 


電話しませんか?


 


 


 


玲奈から珍しく提案が来た。


 


 


 


私は驚きながらも了承する。


 


 


 


数分後。


 


 


通話が繋がった。


 


 


 


「こんばんは」


 


 


 


「こんばんは」


 


 


 


少し沈黙。


 


 


 


そして玲奈が言った。


 


 


 


「私、強そうに見えます?」


 


 


 


私は即答した。


 


 


 


「見えます」


 


 


 


玲奈が笑う。


 


 


 


でもその笑いは少し寂しそうだった。


 


 


 


「実は全然です」


 


 


 


私は黙って聞く。


 


 


 


「数字ばかり見ちゃうし」


 


 


 


「順位も気になるし」


 


 


 


「負けると落ち込むし」


 


 


 


 


意外だった。


 


 


 


玲奈でもそうなのか。


 


 


 


 


「私」


 


 


 


玲奈が続ける。


 


 


 


「みさママさんが羨ましいです」


 


 


 


私は固まった。


 


 


 


「え?」


 


 


 


 


「だってブレないじゃないですか」


 


 


 


私は思わず苦笑した。


 


 


 


ブレまくっている。


 


 


 


自分ではそう思っていた。


 


 


 


 


「そんなことないですよ」


 


 


 


「あります」


 


 


 


玲奈は言った。


 


 


 


「私、数字が落ちると不安になります」


 


 


 


「でもみさママさんは楽しそうです」


 


 


 


 


私は返事に困った。


 


 


 


だって。


 


 


 


少し前まで私は数字ばかり見ていたから。


 


 


 


 


でも。


 


 


 


イベントで負けた。


 


 


 


連敗した。


 


 


 


悔しかった。


 


 


 


だから少しだけ分かったこともある。


 


 


 


 


「私も不安ですよ」


 


 


 


静かに言う。


 


 


 


「でも」


 


 


 


 


「楽しくないと続かないと思うんです」


 


 


 


電話の向こうで玲奈が黙る。


 


 


 


数秒後。


 


 


 


「それかも」


 


 


 


小さな声だった。


 


 


 


 


通話が終わったあと。


 


 


私はベランダに出た。


 


 


 


春の夜風が気持ちいい。


 


 


 


玲奈はすごい。


 


 


 


でも完璧じゃない。


 


 


 


悩む。


 


 


落ち込む。


 


 


傷付く。


 


 


 


私と同じだ。


 


 


 


 


そして思った。


 


 


 


ライバルというのは、


嫌いな相手じゃない。


 


 


 


追い付きたい相手なんだ。


 


 


 


その頃。


 


 


春の大型イベント開幕まで、


残り二週間となっていた。

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