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アラフォーママは新人ライバー ~ライブ配信で「ただいま」と言える居場所を育てています~  作者: ふぁい(phi)
第一章 はじまりの一歩

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第十一話 初コラボ配信



初コラボ当日。


私は朝から落ち着かなかった。


 


仕事中も。


 


昼休みも。


 


帰宅後も。


 


ずっと緊張している。


 


 


「面接?」


 


夕食中、恒一が聞いた。


 


「違う」


 


 


「プレゼン?」


 


 


「違う」


 


 


「じゃあ何」


 


 


私は箸を置いた。


 


 


「玲奈さんとのコラボ」


 


 


恒一は納得したように頷いた。


 


 


「そっちか」


 


 


「そっちって何」


 


 


「最近ずっとその話してる」


 


 


 


陽菜まで笑っている。


 


 


 


「ママ、友達できたんだね」


 


 


 


私は反論できなかった。


 


 


 


少し悔しい。


 


 


でも否定できない。


 


 


 


 


午後九時。


 


 


コラボ開始五分前。


 


 


私は配信画面を見つめていた。


 


 


心臓がうるさい。


 


 


 


すると通話がつながった。


 


 


 


「こんばんはー!」


 


 


玲奈の明るい声。


 


 


 


「こんばんは」


 


 


 


「緊張してます?」


 


 


 


「してます」


 


 


 


「知ってます」


 


 


 


私は思わず笑った。


 


 


 


その一言で少し楽になる。


 


 


 


配信開始。


 


 


 


視聴者が一気に入ってくる。


 


 


 


二十人。


 


 


三十人。


 


 


四十人。


 


 


 


私は目を疑った。


 


 


 


普段の倍以上だ。


 


 


 


コメント欄も速い。


 


 


 


【きたー!】


 


 


【コラボ楽しみ】


 


 


【みさママ緊張してる】


 


 


【玲奈ちゃんかわいい】


 


 


 


コメントが次々流れる。


 


 


 


そして玲奈は、


それを当たり前のように捌いていた。


 


 


 


「それ読んだよー」


 


 


「ありがとう!」


 


 


「初見さんいらっしゃい!」


 


 


 


速い。


 


 


とにかく速い。


 


 


 


コメントへの反応。


 


 


会話の切り返し。


 


 


話題作り。


 


 


全部が自然だ。


 


 


 


私は圧倒されていた。


 


 


 


 


「みさママさん、何かあります?」


 


 


突然話を振られる。


 


 


 


「あっ」


 


 


 


頭が真っ白になる。


 


 


 


「えっと……」


 


 


 


コメント欄が笑う。


 


 


 


【固まった】


 


 


【みさママらしい】


 


 


【頑張れ】


 


 


 


玲奈も笑った。


 


 


 


「大丈夫ですよ」


 


 


 


「いつも通りで」


 


 


 


その言葉に少し救われる。


 


 


 


私は深呼吸した。


 


 


 


「じゃあ聞きます」


 


 


 


「玲奈さん、何でそんなに喋れるんですか?」


 


 


 


一瞬静かになる。


 


 


 


そしてコメント欄が爆笑した。


 


 


 


【そこ聞くのか】


 


 


【確かに気になる】


 


 


【直球】


 


 


 


玲奈も笑っていた。


 


 


 


「何でだろう」


 


 


 


「私、人と話すの好きなんです」


 


 


 


自然な答えだった。


 


 


 


飾らない。


 


 


 


だから説得力がある。


 


 


 


 


配信は続く。


 


 


 


途中から不思議なことが起きた。


 


 


 


私は玲奈のペースに巻き込まれながらも、


少しずつ話せるようになっていた。


 


 


 


会社の話。


 


 


娘の習い事の話。


 


 


料理が苦手な話。


 


 


 


コメント欄が反応する。


 


 


 


【分かる】


 


 


【それうちも】


 


 


【旦那さん有能】


 


 


 


笑いが起きる。


 


 


 


そして気付いた。


 


 


 


玲奈みたいにはなれない。


 


 


 


でも。


 


 


私には私の話がある。


 


 


 


それでいいのかもしれない。


 


 


 


 


二時間後。


 


 


コラボ終了。


 


 


 


コメント欄は最後まで賑やかだった。


 


 


 


「ありがとうございました!」


 


 


 


私は頭を下げる。


 


 


 


玲奈も笑顔で手を振った。


 


 


 


「またやりましょう」


 


 


 


「ぜひ」


 


 


 


配信終了。


 


 


 


私はソファに倒れ込んだ。


 


 


 


疲れた。


 


 


 


でも楽しかった。


 


 


 


本当に楽しかった。


 


 


 


そのとき通知が鳴る。


 


 


フォロワー増加。


 


 


一人。


 


 


三人。


 


 


五人。


 


 


十人。


 


 


 


私は目を見開いた。


 


 


 


今までで一番増えている。


 


 


 


コラボ効果だ。


 


 


 


玲奈のおかげだ。


 


 


 


 


するとDMが届く。


 


 


送り主は玲奈。


 


 


 


【お疲れ様でした】


 


 


 


【楽しかったです】


 


 


 


私は笑った。


 


 


 


【ありがとうございました】


 


 


 


【私あんまり喋れなくて】


 


 


 


するとすぐ返信が来る。


 


 


 


【そんなことないですよ】


 


 


 


【みさママさんには私にないものがあります】


 


 


 


私は首を傾げた。


 


 


 


【例えば?】


 


 


 


数秒後。


 


 


返信。


 


 


 


【安心感】


 


 


 


私は画面を見つめた。


 


 


 


安心感。


 


 


 


考えたこともなかった。


 


 


 


玲奈みたいに面白くない。


 


 


玲奈みたいに話せない。


 


 


玲奈みたいに華もない。


 


 


 


そう思っていた。


 


 


 


でも。


 


 


誰かから見れば、


私にも武器があるのかもしれない。


 


 


 


その夜。


 


 


眠る前に私はふと思った。


 


 


 


玲奈はすごい。


 


 


 


本当にすごい。


 


 


 


だからこそ。


 


 


 


いつか。


 


 


 


いつか同じイベントで戦ってみたい。


 


 


 


そんな気持ちが、


心のどこかに芽生え始めていた。

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