表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アラフォーママは新人ライバー ~ライブ配信で「ただいま」と言える居場所を育てています~  作者: ふぁい(phi)
第六章 選ぶ勇気

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
101/242

第百一話 静かな違和感



 


夏が終わりに近づいていた。


 


 


朝の空気に、


ほんの少しだけ涼しさが混じり始める。


 


 


 


美咲の日常は、


以前と変わらず穏やかに続いていた。


 


 


 


仕事。


 


 


配信。


 


 


家族との時間。


 


 


 


その繰り返し。


 


 


 


しかし――。


 


 


 


ほんの小さな変化があった。


 


 


 


配信の終了後、


コメント欄に残る見慣れない名前。


 


 


 


それはすぐに流れていく。


 


 


特別な内容でもない。


 


 


 


けれど、


何度か目にするうちに、


わずかな引っかかりが残る。


 


 


 


「気のせいかな……」


 


 


 


美咲は画面を閉じた。


 


 


 


翌日。


 


 


会社の帰り道。


 


 


 


駅前で、


後ろから足音が重なる。


 


 


 


振り返ると、


ただの通行人だった。


 


 


 


それでも、


一瞬だけ胸がざわついた。


 


 


 


――以前のように、


必要以上に気にすることはなくなったはずだった。


 


 


 


それでも、


完全に消えるわけではない。


 


 


 


「大丈夫」


 


 


 


美咲は小さく息を吐き、


歩みを進める。


 


 


 


夜。


 


 


配信準備中。


 


 


 


スタッフからの連絡が届く。


 


 


 


『一部の視聴者名について、軽く注意を入れておきました』


 


 


 


「え?」


 


 


 


美咲は少しだけ眉をひそめる。


 


 


 


詳細は記されていない。


 


 


 


ただ、


運営側が念のため対応したということだけ。


 


 


 


事務所・佐藤へ確認のメッセージを送る。


 


 


 


すぐに返事が来た。


 


 


 


『現時点では問題行動とは判断していません』


 


 


 


『ただし、念のため監視リストに入れています』


 


 


 


「監視……」


 


 


 


美咲は画面を見つめたまま、


しばらく動けなかった。


 


 


 


過去の記憶が、


ほんの少しだけ揺れる。


 


 


 


それでも、


深呼吸をして気持ちを整えた。


 


 


 


「まだ何も起きていない」


 


 


 


そう自分に言い聞かせる。


 


 


 


夜の配信。


 


 


 


いつも通りの挨拶。


 


 


 


笑顔。


 


 


 


雑談。


 


 


 


リスナーとのやり取り。


 


 


 


そこに、


違和感は表に出ない。


 


 


 


ただ、


コメント欄の一部に、


同じ名前がまた現れる。


 


 


 


すぐに流れていく。


 


 


 


けれど、


確かにそこにいた。


 


 


 


配信終了後。


 


 


手帳を開く。


 


 


 


ペンを持つ手が少しだけ止まる。


 


 


 


そして、


一行だけ書いた。


 


 


 


『小さな違和感が続いている。』


 


 


 


その下に、


もう一行。


 


 


 


『まだ何も起きていない。』


 


 


 


ページを閉じる。


 


 


 


窓の外では、


夜風がカーテンを揺らしている。


 


 


 


静かなはずの夜に、


ほんのわずかな影が混じった気がした。


 


 


 


美咲はその感覚を、


無理に追い払うことはしなかった。


 


 


 


ただ、


静かに受け止める。


 


 


 


これまでと同じように。


 


 


 


そして、


これからのために――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ