第79話 決戦の地 オリバーの極意
力強く首を握られ、息ができなかった。
空中で下に向けて投げられて、砂漠に落ちる。
「ぐはっ」
背中から感じる、尋常では無かった。
彼と戦う事で、あまりにも力の差を思い知らされた。
彼はまだ力を隠していた。
あの眼は魔眼だった。
布で隠れていた顔は多分、自分の魔眼を制御できないんだろう。
そして彼は眼を閉じて、俺の目の前に立っていた。
暑さが広がる孤独な砂漠、ここには転生者と魔王だけがいた。
彼は口を開いて言う。
「お前に問おう、なぜ戦っている?」
俺は自分の心にある言葉を言う。
「俺はなすべきことをする為にやっきた」
「お前を倒して、大切な人を守る」
彼は黙って俺の返事を聞いた。
「......同じ理由だな」
「それとなぜお前は俺を斬られたのか……答えろ」
「だがお前の真の絶望を味わっていない」
『お前に分かるか、妻や弟が殺され、今まで殺された魔族の気持ちを!』
「......王としてではなく戦士としてお前を殺し、矮小な人間を全て殺してやる」
と言った瞬間、彼は右手で空気を貫き、中から一枚の紙を出した。
俺の身体中から直感が叫ぶ、あの紙が危険だと。
握っている剣を振り下ろして、叫ぶ。
『風斬!』
剣から出た風の刃は普段より遥か大きい出力で放つ。
ジオは取り出した紙から書いてある文字を唱える。
「禁術の魔女の書 第666節。飼い慣らされた七十二の悪魔は、すべて柱となり主人を守った。大魔法、グランヴォタレイス」
唱え終わった瞬間、砂から巨大な一つの柱が現れた。
柱から結界が作られ、閉じ込められた。
同時に遠くから大きい声が聞こえてきた。
ナタリアの声だった。
「「ジオ!!」」
彼女は光剣で巨大な光柱で結界を破壊しようとした。
だが幾つかの結界層を破壊したがすべてではない。
激しい魔力の消費で彼女はよろめいた。
ジオは彼女の技を見て言う。
「この結界の破壊は無理だ」
その間ジオは風斬を片手で止めた。
見えない速さで右手で俺の頭を持ち高く上げた。
「良いだろう、偉大な死を与えてやる、あの女の父親と同じ死を」
彼の右手から魔法陣が現れて、もがこうとした力段々と弱まっていた。
自分の手から変化に気づいた。
手は老けていった。
腕、脚、身体中が老けている。
ナタリアは老けている俺を見て、ジオに止められるように叫んだ。
「やめろ、ジオ!」
「私が相手になる、だから彼を離せ!!」
彼は何も答えなかった。
老けているの中だが俺は希望を捨てていない。
これまで戦いで俺は生き抜いてきた。
メリアやタツミにまた会うのだ。
だが本当はみんなともっと楽しく冒険したかった。
身体は細くなり、髪や髭は長く伸びた。
見た目は年齢で言うと90歳に近い歳だった。
ここで彼を倒せないとみんなを苦しめる。
今ここですべての力を解き放つ。
例え自分がどうなろうと関係ない。
「......極意!」
ジオは一瞬、驚く。
極意の言葉を知っていた。
その隙に魔力を手に込めて放った。
「暴風拳!」
ジオとの距離を空け、剣を高く上げナタリアと似た動きをしてみた。
彼は動こうとしたが少し戸惑い、脚を止めていた。
『『『オブリビオン!』』』
剣に魔力を収束させ、彼に向かって解き放った。
破壊は凄まじく、結界の内側から何枚かの層を破壊し、柱を壊した。
ジオは耐えようと正面から受け止めようとした。
「うう、何だ俺は彼のう、し、まさかお前の能力か!」
それぞれ気持ちをぶつけるかのように、互いに雄叫びを上げた。
『うおおおおおおおお!』
ナタリアは耐えられず、爆風で吹っ飛ばされ意識を失った。
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目覚めたナタリアは戦いの場所に向かった。
結界は解かれていて、柱の残骸だけが残っていた。
砂漠に向けて叫ぶ。
「オリバー無事か、どこにいる?」
しかし返事は無く、砂を運ぶ風だけがあった。
砂に埋もれた、剣を見つけたがオリバーの姿は無かった。
時の魔王もいなく爆発の跡地だけが広がっていた。
ナタリアは砂に膝を付き、察した。
「......うぐっ、すまない、オリバー」
目から溢れた涙を手で拭っていた。
守れなかった。
自分より若い子を死なせてしまった。
王国最強の勇者なのに止められなかった。
今まで溜めていた感情が出てきた。
彼女の泣き声と後悔の念だけがこの無人の砂漠に残っていた。
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まだまだ未熟だけど見てくれるだけでも嬉しいです。




