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忘却の勇者は楽しく冒険したい  作者: ケロタコス
時王編

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第77話 その眼で見たものは

 ナタリアを貫こうとした拳を止めた。

 ゴツゴツした手は熱い体温共に怒気を感じる。

 今にも俺とナタリアを攻撃しようとしている。

「何で、来たのオリバー!」

 彼女は俺に向かって質問する。

「一人で戦わせたくなかったさ、それと別の理由もあるけど」

 彼女は戸惑った顔を少しずらしていた。


 魔王は手を引き、後ろに下がった。

 彼はみんなが言う、時の魔王なのか。

 黒い角、顔を黒い布で隠し、傷だらけの上半身はまるで歴戦の戦士だった。

「お前が魔王だな、思ったよりデカいな」

 俺は彼に向けて、言葉を放つ。

 ゲームでは魔王はほぼ異形の形をしているけど。

 角を除けばほぼ人間だった。

 彼は俺に向けて、喋った。

「……ガルミが言っていた少年か」

「本当にいいところで邪魔する奴だ」

 言葉を言い終えた時、いつの間にか前にいる。

 彼の腕は高く上がり、振り下ろそうとしていた。

「一瞬で楽にしてやろう」

 速すぎて見えなかった。

 どうやって一瞬で俺の前にいるのか。

 分からない。

 だけど身体は自然に剣を握り構える。

 防御をしようとしたところでナタリアに服を引っ張られる。


 魔王は腕を地面まで振り下ろし、岩盤を割れた。

 もしも俺に当たっていたら、身体が真っ二つになる勢いだった。

 尻もちしながら、感じたこの強さ。

 ナタリアをここまで追い込んでいるのに納得した。

 だが俺は魔王とアヤを倒しにきた。

 王国を金にした事、アレックスを殺した事も。

 全ての決着をしに来た。

 互いに同じ動きをするかのように俺は剣を構える、

 魔王は自分の手で剣のように剣と手を激しく押し合う。

 互いの武器が交差する中、魔王は喋った。

「なかなか力強いな」

「......だが、本物の戦士はバッグや御守りなどくだらないを使わん」

 といつの間にか、半歩下がったところで持っていたバッグを取られた。

「本当にくだらない物だ」と言いながら、全ての御守りを一握りにして潰した。

 さらに回復薬は壁に叩きつけられて割られた。

「真の魔王の前では全てが無意味だと思い知らせよう」

 俺はナタリアと共に斬りかかる。

 だが彼は簡単に全ての攻撃を避ける。

 魔王の後ろを見るとナタリアがもう一人いた。

 分身で奇襲しようとしたその時、剣の刃が彼の背中に刺さる瞬間。

 背中から何か貫かれ、腹から刃が出る。

 刃には見覚えがある。

「この剣は……ナタリアの……剣か」

 魔王は俺に向けて冷たく言葉を言い放つ、まるで全てを知っているかのように。

「パラレルトリック……お前は間違った所に立ったな」

 だがさっきまでナタリアのそばにいたのに。

 今は彼女の前に立っていて、しかも分身から後ろから刺された。

 こんな能力を持っているとは思わなかった。

 魔王は俺が居たところを入れ替わったのか。

 ナタリアは分身と入れ替わりながら俺を抱えて、心配の声を掛けていた。

 だが魔王はその隙を見逃せなかった。

 俺の胸を手で貫き心臓を握られた。

「う、嘘、オリバー!」

 とナタリアは口から悲鳴を上げた。

 魔王は手を抜き、手で血を振り払いながら言う。

「弱者には用は無い」

 目を閉じると、知らない部屋にいる。

「すまないオリバー、こ、こんな筈じゃ、起きてオリバー」

 何だか、刺された痛みが消えている。

 彼女は俺に向けて回復魔法を使っていた。

 彼女の魔力のせいなのか、彼女の魔法は白く部屋を照らしていた。

 暖かくて、気持ち良いぐらいに身体が温まっている。

 まぶたを閉じて、少し寝ようかな。

「………….」

「起きろオリバー、目を閉じるな!」

 抵抗もできない力に任せて意識を失った。


 __________________



 デハーマ帝国、地下の宝物庫。


 ディーネは両眼を閉じながら、コズモの攻撃を避けていた。

「あの少年はこう死ぬのか」

「誰が死んだ?」

 とコズモは質問する。 

 ジオの未来が見えた。

 かわいそうにあの少年が死に、光の勇者も倒した。

 王国は落ちて、そして我が夫である魔王が魔族の国を再建する未来。

 未来眼の続きを見ると、魔族の国だと思った物が一瞬で巨大な爆発と共に炎に包まれた。

 知らないし予定も無いことだった。

 城の瓦礫の上で何者かが立っている。

 見たこともない、禍々しい鎧でドロッとした液体がこぼれながらこっちを向いた。

 呻き声を出しながら今にも両腕から出して刃で私を切りそうな勢い。

「……ウゥッ」

『!?』

 まさか私を見たのか。

 そう思い、ひとまず目を開ける。

 あまりの不安で少し冷や汗が出ていた。

「大丈夫か、顔色が悪そうだけど」

 星の勇者コズモですら、私の不安に気づいた。

「何でもないわ、少し未来を見ていただけよ」

「そうか、未来眼か」

 とコズモは冷たく返事をする。

 彼は構えを納めて質問した。

「何を見たんだ」

 言う気は無かったけれど、未来眼で見たあの光景では少し不安がまだあった。

 だが私はジオが少年と光の勇者を倒すところまで伝えた。

彼は顔をしかめて返事した。

「……少し待ってくれないか」



 

読んでくれてありがとうございます、

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めっちゃ喜びます。

まだまだ未熟だけど見てくれるだけでも嬉しいです。


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