第53話 シスターの憤怒
互いの武器が激しくぶつかり合い、刃が火花を散らす。
鋭い槍捌きと、絶え間なく開くポータルの防御。
どうやって倒せばいいのか、全く見当もつかない。
ポータルでスライム瓶を返され、剣を振るえば自分に跳ね返ってくる。
ただ一つだけ気づいたことがある——シスターが攻撃している間は、ポータルを出していない。
「オリバー! 何か手伝えることある!?」
後ろから声が飛んだ。
メリアはタツミの肩に乗り、援護のタイミングを計っているのだろう。
(しかし……最初に魔法を使っていれば、俺が攻撃を受けていたかもしれない)
やはり直接、彼女の槍を掴んで無力化するしかない。
一瞬の隙を突き、オリバーは槍を強く握り、奪い取ろうとした。
「私の槍を取るな!」
シスターが叫び、足でオリバーの腹を蹴り上げようとする。
しかしオリバーは剣でわずかに受け止め、反撃を防いだ。
「チッ……!」
シスターは苛立ったように後ろへ下がった。
槍は奪えなかった。
その瞬間——
シスターの脚に、薄い切り傷が走った。
「……おかしい。何か……おかしい」
彼女は膝をつき、ブツブツと独り言を呟き始めた。
「私たちの計画は……元の世界に帰り……私は誰かに会いに……」
オリバーはメリアの方へ下がりながら、小声で聞いた。
「なあ、あいつら……元の世界に戻ろうとしてるのか?」
「できるのか?」
「私も知らない。でも、女神様が黙ってはいないと思うわ。それに……戻ったとしても、時間のズレがあるの」
「ズレって?」
「1年や2年……もしかしたら4年も経っているかもしれない」
その密かな会話は、シスターの耳にすべて入っていた。
「嘘だ……嘘だ嘘だ嘘だッ!」
シスターがガバッと立ち上がった。
「君……妖精なんかじゃないな。私は……私は誰かと約束をしたんだ。必ず会いに行くって——!」
その言葉を吐き終えた瞬間、シスターの目に狂気が宿った。
彼女は確信した。
この妖精は、天使だと。
「うわっ! オリバー、前見てっ!」
タツミの叫びと同時に、オリバーが振り返る。
シスターがすぐ目の前に迫っていた。槍の穂先が喉元を狙う。
反射的に剣で受け止めたが、凄まじい力で壁まで押し飛ばされた。
シスターは叫んだ。
「来い! ジュリア、ナオイ!」
彼女の背後に大きなポータルが開き、中から二人の人物が姿を現した。
一人目は見覚えのある——ジュリア。
そして最後は、見知らぬ看護師のような女性だった。
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