表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/272

第75話 もたらされた情報

 生徒会の活動を終えた私とお兄様とアマラは、モンベリアル家の別邸に到着した。

 リラスパッツの屋敷に比べると小ぶりだけど、洗練された美しさは別邸でも変わりなかった。

 使用人に迎えられ、お姉様の使っている部屋に案内される。


「よく来たな。お待ちかねの情報タイムだぜ!」


 部屋に入るなり、お姉様が張り切った様子で声をかけてくる。情報タイム?色々情報を提供してくれるのだろう。

 だけどその前に、私は話したいことがあった。お姉様には、直接私の口から伝えたいことが。


「お姉様、先に伝えたいことがあります!知っているとは思いますが……私、フリードリヒと婚約しました!」

「そうだね。当然知ってたけど、マリアの口から聞くと……なんか感慨深いねぇ。妹のようなマリアが婚約か……おめでとう!」

「ありがとうございます!私からは以上です。それでは、情報タイムとは……一体?」


 お姉様に祝福されて嬉しい。前世で姉妹はいなかった。今世もお兄様のみ。

 だから、本当の姉ではないけど、お姉様から祝ってもらえるのは……本当に嬉しかった。

 

「そうだな。領都で別れてから今まで、あたしは行商でいろんな所へ行ってた。だから、集まった情報を全員に共有したい」

「アリーセ嬢、私の欲しい情報は二つ。一つ目は、アンスバッハ辺境伯家。二つ目は、シバ国。なにか情報はありませんか?」


 辺境伯家の情報は、今度行われる夜会のためにだろう。領地から出ることが少ない辺境伯様。

 それなのに、帝都に滞在し、夜会まで開く。真意を事前に把握できれば、立ち回りやすいだろう。

 シバ連合王国の情報は……お兄様の報復対象だからだろう……。そっちはまあ、どうでもいいや……。


「あたしを誰だと思ってる?当然、どっちもいいネタ仕入れてるよ!シバに関しては、良い話じゃねぇけどな」

「それでは、辺境伯家の情報からお願いできますか?」

「じゃあ、情報一つにつき、一お姉ちゃんな?」

「そうくると思っていましたよ。お姉ちゃん」


 前回と違い、すんなりとお姉ちゃんと呼ぶお兄様。これ、絶対練習してたな……。

 お兄様が平然と呼ぶことに若干つまらなそうにしながらも、お姉様が情報を話し始める。


「チッ。とりあえず、辺境伯の目的を掴んだ。というより、本人から協力を頼まれた」

「ということは……辺境伯は動くのですか?」

「ああ。選帝侯に名乗りを上げるようだ。そのための帝都訪問だ。夜会は地盤固めだろうな」


 辺境伯様が動く……。それならば、継承戦の盤面も動く。東部は、私たち改革派勢力が強い。

 リューネブルク侯爵家は正統派だけど、私たちナッサウ家やお姉様のモンベリアル家が改革派。ということは?


「辺境伯様は、改革派に入ってくれるでしょうか?」

「あたしに協力を求めるくらいだ。改革派に入るつもりだと思うぞ」

「そうですね。この話、フリードリヒに伝えても大丈夫ですか?」

「旦那様のために動くマリア。健気だねぇ。当然、大丈夫だ」

「それでは、お姉ちゃん。シバ国の話をお願いしても?」


 お兄様……もうずっとお姉ちゃん呼びでいいのでは?馴染んでるよ?

 つまらなそうだったお姉様も、自然なお姉ちゃん呼びに満足し始めていた。


「シバの話は、結構やっかいだ。ルストとの同盟も、この事態を想定しての動きのはずだ。それでも聞くか?」

「ええ。私もマリアも、シバ国とは因縁がありますから。どのような情報でも欲しいです」


 お兄様はそうかもしれないけど、私はそこまで……。でも、同盟とも関係がある話なら興味があるかも。

 イザベルさんの政略結婚に関わる話なのだから。完全に他人事ではない。


「近々、シバのトップが変わる。今までは比較的穏健派が上級王だったが、次の奴は……かなりの強硬派だ」


 シバ連合王国の権力体制。シバ国は、複数の国の連合国家。そのため、それぞれに王がいる。

 その王たちの中から、上級王が選出され、連合王国の最高権力を握ることになる。


「お嬢様。もしかすると、この間の誘拐も次期上級王の仕業では?」

「ありえそうね。あまりにも強引な手口だったから……」

「腹黒。たぶん正解だ。シバの内部でも似たような事件が起きてる。穏健派がどんどん消されてるんだよ」

「腹黒言うな!怪力、それは本当ですか?」

「怪力は否定しないけど、名前で呼べや!本当だ。その情報は、近隣国の上層部も掴んでる。だから、防衛同盟だ」


 強硬派のシバのトップ……。南下を目指すのは間違いない。下手すると、ルスト王国にすら攻め込みかねない。

 だから、同盟か。しかも、秘密裏に進めないとシバの妨害が入るから、徹底的に隠していたのか……。

 正直、帝位継承戦なんてやってる場合じゃないんじゃ?上級王が変わった瞬間、戦争を起こしそうだし……。


「お姉様。近々というのは、どれくらいでしょうか?」

「正確な時間はわからねぇ。穏健派もギリギリのところで粘ってるらしい。だけど、国民も強硬派支持が多いそうだ」

「そうなのですか……。なんで、戦争をしそうな人を支持するんですか?民まで、なぜ平和を乱そうとするんですか?」


 なんとなく、私にもわかっている。シバが何故戦争をするのかは……。でも、納得はしたくない。


「私もマリアと同意見です。しかし、シバ国は強いリーダーを求めている。凍死しない住処を求めている。そういうことでしょう」

「お兄様……。シバにはシバの正義があるってことですか?」

「そう。シバ国にも譲れない事情がある。当然、私たち帝国にも。だから、北方紛争が起こる」

「リヒ坊もマリアも、難しく考えすぎだ。攻めてくる奴は、なにがあっても攻めてくる。それだけだ」

「そうですね。アリーセ嬢、情報ありがとうございました」


 北方紛争を回避するために、陛下もフリードリヒも頑張っている。もう後は、シバ次第なのだろう……。


「他にも情報があるけど、いいのか?」

「あまり遅くなると……フリードリヒが心配するので」

「そうだった。誘拐事件もあったからねぇ。また、なにか知りたくなったら聞きに来いよ」


 手を振るお姉様に一礼して、別邸を出る。フリードリヒの手配してくれた馬車と護衛が待っていた。

 私とアマラは、言いつけ通り馬車に乗り、皇城に帰った。


「魔法学校も同盟も無駄だったのかな……?」

「無駄ではないと思いますよぉ。お嬢様は、信じた道を進めばいいのです」


 そうだよね。なにもやってなかったら、今頃北方紛争が起こってたのかもしれないし。

 どうなるかなんてわからない。だから、出来ることをコツコツとやっていくしかないんだ……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ