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第69話 入学から半年

 二回目のテストが始まった。前回同様、二日間のテストだ。

 前世と変わらず、みんなテストの出来に一喜一憂している。学生ってそういうものだと、つくづく実感する。

 生徒のみんなも、前回のテストで要領を得たようで、緊張感が緩和されていた。必死なのは変わってないけど……。


――――――

 

 前回のテストと違い、今回はクラス分けが控えている。なので、テスト休暇は後回しである。

 テストの結果発表と同時に、新クラスの発表が行われる。その後、一週間の休みだ。休み明けからは新クラス。

 今日は、その発表の日。前回同様、エントランスが人まみれだ……。

 これも前回同様、私たちの前に道が出来上がる……。二度目だから、慣れました……。


 一位 フリードリヒ・イストリアス・カージフ 500 500 1000

 一位 マリア・フォン・ナッサウ       500 500 1000

 一位 ハインリヒ・フォン・ナッサウ     500 500 1000

 四位 イザベル・アーティラス・カージフ   485 473  958


 生徒会メンバー全員、前回の順位あたりをキープした感じだった。

 そして、イザベルさんの点数が二十点ほど上がっている。このペースだと、四回目には満点を取るかも?

 

「やはり、このような結果なんですね。わたくし、次は満点を取ってみせますわ!」

「イザベルさん、頑張りましたね!二十点アップですよ!凄い、凄い!」

「貴女ねぇ……。次こそは貴女に追いつきますから、待ってなさい!」


 テストの点だけ確認し、イザベルさんが去っていった。クラス表は確認しないのだろうか?

 まあ、基本的に希望のコースに振り分けられるのだから、確認する必要は無いと言えば無い。

 それでも、私たちはクラス表を確認した。当然私は、官吏科だった。

 クラス分けは以下の通り。


 一組(騎士科) レオン

 二組(官吏科) 私 フリードリヒ お兄様 イザベルさん

 三組(商業科) ローズ テレーザ


 クラス名はそのまま、一組、二組、三組となった。来年からの、上級学年開設で混乱しないためだ。

 ちなみに、上級学年棟はほぼ完成している。国のプロジェクトチームは、教師の採用も完了させてくれてあった。

 また、研究棟も順調に工事が進んでいる。完成次第、ミリヤム様の旧職場、魔法研究室が移転してくる予定だ。

 研究棟ではそれ以外にも、技術研究が行われる予定である。テレーザが目指している部署だ。

 こんな感じで、魔法学校プロジェクトは順調に進んでいる。とりあえずは、一安心だ。


――――――

 

 テスト休暇初日。私、ローズ、テレーザ、アマラの四人はカフェにいた。

 あと数日で、秋の社交シーズンが始まる。なので、その前の羽休めだ。


「そういえば、テレーザはなんで商業科を選んだの?」


 前々から疑問に思っていたことだったけど、忙しくて聞けずにいた。


「研究するにはお金が必要。開発した物の販売とか、お金に関わることも多いから」

「ああ。そういう理由やったんか!それなら、あたしの商会で販売したろうか?」

「ローズ相手だと買い叩かれそう」

「ひど!いくらあたしでも、友達にはそんなことせんわ!」


 それを見て、私たちが笑う。やっぱりいいね。こういう雰囲気。

 和みきっている私に、アマラが呟く。


「お嬢様、アリーセ様のことをローゼマリー様に伝えるべきでは?」


 そうだった。実は近々、お姉様が帝都にやってくるそうだ。社交シーズンで集まる貴族に、色々売りつけるために。

 ついでに、学校の臨時教師をお願いしてある。商業科の助っ人だ。


「そうね……ローズ、アリーセお姉様が帝都に来るそうよ」

「商売か?この時期の貴族は、財布のひもが緩いからな。さすが、アリーセやな」

「それもあると思うけど、学校の臨時教師なの。商業科では、顔を合わせると思うわ」

「ホンマか?あいつに教えてもらえるんか!めっちゃ嬉しいわ!」


 心配していたけど、大丈夫なようだ。ローズは憧れていると言っていたけど、ライバルなのは間違いない。

 大商会の商会長が、行商隊の人間に教わる。問題が起こる可能性があったから。


「立場的に大丈夫なの?ローズはオネスト商会の会長でしょ?」

「かまへんかまへん。むしろ、ありがたいくらいや。商人なら、使える武器はすべて使うって言うたやろ?アリーセの経験をタダで教えてもらえるなんて、将来のあたしの武器になるわ!」

「ん。さすが商人汚い」

「そうね。商魂たくましいわ……」

「そない褒めるなや。照れてまうわ!」

『褒めてない』


 みんな笑顔だ。社交シーズン前に、しっかり笑っておかないと。だって、社交界は戦場だから……。

 今回の社交シーズンは、正統派も新道派も必死だろう。教会勢力を取り込んだ私たちに対抗するために。

 だから、私たちもそれ以上に頑張らないと!このままの勢いを保つために。


――――――

 

 自室に帰ってのんびりする私に、侍女が何通かの封筒を見せる。


「お嬢様ぁ、夜会の招待状がたくさん届いていますよ?」

「重要そうな招待状はある?」

「そうですねぇ……これとこれですね」


 差し出された二通の招待状。差出人を確認する。

 アーティラ公爵様とアンスバッハ辺境伯様。中身を確認し、別日であることを確認する。

 どちらも中立を保っている名家。公爵様は中立派のトップで、辺境伯様は東部選帝侯の有力候補。

 向こうから接触してきてくれるのは、とてもありがたい。けど……。


「これはフリードリヒと相談ね……。重要すぎて、独断では決められないわ」

「もし、両方の家を引き込むことが出来たら、殿下の勢力は盤石ですね!」

「そうね。実質、選帝侯二人分だからね」


 アーティラ公爵様は当然、選帝侯。アンスバッハ辺境伯様は声をあげれば、リューネブルク侯爵様を引きずり下ろすのは確実だろう。

 落ち目の侯爵家では、東部で高い評価を受けている辺境伯家に勝てる見込みがない。

 侯爵領はこの目で見たけど、没落の道を歩んでいる。民の顔に覇気がなかったから……。

 辺境伯領は見たことないけど、噂では善政を敷いているようだ。特に、マグノリア国との交易で潤っているらしい。

 豊かな財源、精強な領軍、他家からの評価。侯爵家とは、比べるのすら烏滸がましく思える。

 だから、選帝侯二人分。だけど、問題がある。辺境伯様が選帝侯を狙っているのかどうかだ。

 それも含めて、辺境伯様の夜会は重要だ。味方になってくれるか?選帝侯を目指してくれるか?

 どちらか片方だけでも、私たちにとっては有利に働くのだから……。

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