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第39話 休日の過ごし方

 その後、大きな問題もないまま、二日が過ぎた。

 学校は五日間授業が行われ、二日間の休みを挟む。前世と同じシステムだ。

 そのため、今日明日は休日。学校が始まってから初の休日なんです!


 私は、ローズとテレーザと共に帝都に繰り出していた。

 特に目的などはない。友達と街ブラをする。ただそれだけだ。だが、それがいい!

 今世は領地で屋敷に引きこもる生活、帝都に着いても慌ただしい生活を送っていた。

 なので、友達同士でダラダラ過ごすのは初体験と言っていい。

 フリードリヒが学校を作り、生徒会を結成してくれたからこその今がある。

 フリードリヒ、ありがとう!ボッチから救ってくれてありがとう!

 いかん、いかん。今はこの時間を満喫しなくては!


 皇城前に集合した私たちは、メインストリートを南下し、商業区にいた。


「おっ!新しい雑貨屋ができとるやん!」


 ローズは商人ということもあり、商業区の新規の店の情報収集に余念がないようだ。

 私たち二人を引っ張って、新しい雑貨店に突入する。この小さい体のどこにこれほどの力が……?


「なかなかいい品ぞろえやん。値付けもいい感じや。これは要チェックやな……」


 手帳を取り出し、なにかを書き込み始める。負のオーラを放ちながら……。

 きっと、ライバル店認定したのだろう。怖い怖い。


「そういえば、ローズの店って行ったことないけど、行ってみたいな」

「私はたまに行く。きっとマリア驚く」

「せやな。寄ってっか」


 そう言うと、メインストリートで一番栄えているエリアに歩き始める。

 多くの出店が並び、有名店が軒を連ねている。

 その中でも特に大きな建物の前でローズが停止する。


「ようこそ、あたしの店、オネスト商会帝都支店へ!」


 あまりの偉容に驚く。まるで前世のデパートだ。

 帝国内でも屈指の商会とは聞いていたが……支店でこれって!


「マリア驚いた」

「これをローズが作ったの!?ローズってまだ十八歳だよね?」

「凄いやろ!もっと褒めてや。品揃えも凄いで!入って入って」


 店内に入ると、従業員たちが急いで駆け寄ってきた。

 まあ、そうなるよね。社長が急に現場視察に来たようなもんだし。

 ローズが、今日は仕事で来たわけじゃないと従業員を仕事に戻らせる。


「あっ!欲しかったフラスコが入荷してる。ビーカーも!」


 テレーザが、マニアックな物を取り揃えているエリアに一直線だ。

 若い女性が一番最初に向かう場所が実験用品って……。

 たまに行く用事って、こういうことか……。


「テレーザはお得意様やねん。他にも素材とかも買うてくで」

「そういえば、制服の素材も提供してくれたっけ」

「せやせや。他にも欲しいもんあったら取り寄せたるよ」


 さすが大商会。だったら、これをお願いできるかも?


「取り寄せじゃないんだけど、ドレスの仕立てって出来る?」

「当然出来るで!うちの商会のモットーは、売れる物は何でも売るや!売ってない物は人だけやね」


 人。奴隷の事だろう。法律で奴隷自体は禁止されていない。人攫いなどの行為は禁止されているが。

 この国は豊かなため、子を売る親は少ないが、他国ではよくあることらしい。

 そのため、この国でも大農園や鉱業では奴隷を使うことがあるらしい。


「じゃあ明日、侍女も連れてくるから、ドレスよろしくね」

「お客様のご来店お待ちしております」


 商人モードのローズ。普段とのギャップが凄いな。常にその状態なら、可愛らしいのにな……。

 残念な気持ちになりながら、ローズに店内を案内してもらう。

 日用品に家具類、武器防具に服飾品、食品までも扱っている。ここに来れば何でも揃いそうだ。

 一角に不思議な物品があるのを見つける。私は、近寄って手に取る。


「マリアちゃん、面白いもんに目ぇつけるやん。遺跡からの出土品やねん」


 ほとんどの物がボロボロだが、この世界では考えられないくらいな精巧な造りだ。

 もう動くことはなさそうだが、電気か何かを使用していたような感じだ。


「これが過去の物なんだ。遥か未来の物のようなのに……」

「不思議なもんやね。造りどころか素材も全くわからんなんてな」


 店内を一周した私たちは、実験用品に興奮するテレーザを回収し、近くの飲食店に向かった。

 その店は、軽食とドリンク類を提供する、前世で言うカフェのような店だった。

 私たちは席につき、ジュースとサンドイッチを注文した。


「テレーザ、結局買ったんだ……フラスコとビーカー」

「毎度あり!日頃のご贔屓感謝やで」

「ん。ローズの店の物は長持ちして精度も高い。素晴らしい」


 私にはよくわからないが、研究者にとっては重要なことなのだろう。

 ガラス製品はそこそこ貴重で、製造技術も低いだろうし。


「マリア、新しい魔法閃いた?」


 相変わらずテレーザは、我が道を行くな……。話の脈絡なんて関係なしだ。


「今のところ、よさそうなアイデアは無いかな」

「そっか。残念。また研究したかった」


 先日の魔法の実演で使った風魔法。あれは私の発案を、テレーザやミリヤム様たちと共に完成させた。

 元々、攻撃魔法は火、水、地のみだった。そこに、風や雷を新たに追加した。

 この世界では大気という概念や、雷という事象の解明はされていない。なので魔法にも存在しなかった。


「風魔法といい、雷魔法といい、マリアちゃんのアイデアには驚きっぱなしや!」

「ん。それを実現する知識も凄い」


 そこまで褒められると、ちょっと恥ずかしい。

 だけど、二人から褒められて嬉しくもある。

 若くして名を知られる研究者と商人。そんな凄い友達に認められることが。


 ジュースとサンドイッチを平らげた私たちは、皇城前まで戻ってきた。


「かんにんな。この後夜会があるんで、早くに解散にしてもろうて」


 謝るローズと実験用品を大事に抱えるテレーザと別れ、自室に帰る。


「お嬢様ぁ、おかえりなさいませ!ご友人との街ブラいかがでしたか?」

「楽しかったわ!そうだ、明日オネスト商会でドレスを仕立ててもらうことになったわ」

「テレーザ様の商会ですねぇ。あそこなら質も納期も問題ないですねぇ」

「そういうこと。アマラも付いてきて頂戴」

「わかりましたぁ。お嬢様に相応しいドレスを作り上げましょう!」


 様々なドレス案を検討し、理想のドレス像を固めていくのだった。

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