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第24話 魔力とは?

 朝、いつもの侍女によるモーニングハグで目を覚ます。

 まだ慣れない豪華な部屋で、気を遣って用意してくれたであろう、知らない味の東方料理で朝食を済ます。

 たった一日で、私の置かれている状況は変わってしまった。

 領都の屋敷の部屋の二倍以上広い部屋に、十倍以上豪華な内装の部屋。

 いつのまにか用意されていた最先端の流行のドレス。

 普段食べている夕食よりも贅を尽くした朝食。

 変わっていないのは侍女だけ。侍女も、気を遣って普段通りに振舞ってくれているのだろう。

 そんな私のもとに、エントランスへ向かうようにと指示が来た。


――――――

 

 エントランスに着くと、お祖母様たちが待っていた。


「マリアちゃん、私たちは領都に向かうけど、じきにサンドラがくるはずだからよろしくね」


 急いでいるようなので、簡潔に挨拶を済ませる。

 傍らにいたお兄様が、今の状況を掻い摘んで説明してくれた。

 早ければ十日ほどでお母様が帝都に着くこと、それまでは皇城で魔法の訓練を行うこと。

 エントランスで話し込んでいると、周囲からの視線に気づく。

 今までは、私の風貌への興味だけだった視線が、様々な思惑のこもった視線に変わっている。


「マリア、気にすることはない。私もアマラもいる。フリードリヒ様も全力で守ってくれるはずだ」


 守られているだけではいけない。

 私は、使用人に声をかけ、訓練場まで案内してもらった。


――――――


 案内された場所は、皇城の中庭だった。

 しっかりと手入れされている花壇や植木が周囲を囲い、中心部分は広く平坦な空間になっている。

 皇城の中庭だと考えると不思議な造りだが、訓練スペースを兼ねているとするならば納得だ。

 その訓練場に一組の男女がいるのを見つけた。


「フリードリヒ様も訓練ですか?」

「マリア嬢、ちょうどいい。一緒に訓練しないか?」


 そう言うと、一緒にいた女性を紹介してくれた。

 ミリヤム・フォン・リービッヒ。リービッヒ子爵家先代当主。

 幾度かの北方紛争で、魔法兵として活躍した魔法のスペシャリスト。


「ミリヤム女史は、普段は皇城で魔法研究をしてもらっている。来年からは魔法学校の教師になってもらう予定の方だ」


 私ですら名前を聞いたことがある魔法界の重鎮。

 そんな方に直接指導していただけるのはとてもありがたい。


「マリア様は、昨日魔力の測定が終わったばかり。まずは、魔力を理解することから始めましょう」


 そう言うと、魔力についての説明を始めた。


 魔力とは、体内に宿っているエネルギー。

 魔法を行使するためには、その存在を感じ取ることから始まる。

 感じ取るために一か月以上かかる者もいる。


「それでは、体内に意識を向けてみましょう」


 そう言われた私は、目をつぶり、自分の身体の中を想像してみる。

 うん。わからん!大量にあるはずの魔力を一切感じることが出来ない。

 困っている私に、フリードリヒ様はそっと耳打ちをした。


「血液の流れを意識してみるといい」


 言われた通りに、血が身体中を巡っているのを考えてみた。

 心臓から出ていった血が、臓器や筋肉に届き、その血はまた心臓へ帰っていく。

 徐々に、血の存在がはっきり感じられるようになってきた。

 血だけでなく、各臓器が、筋肉が手に取るようにわかる。

 全能感のような不思議な感覚。


「掴めたようだね」


 目を開いた私は、意識しなくても”それ”を感じることが出来るようになっていた。

 すっきりしたような顔をしている私を見て、ミリヤム様が驚いている。


「マリア様も……もう魔力を理解できたのですね。殿下といい、貴女といい、今年の成体の子たちは化け物ぞろいですか……」


 たぶん一時間もかかっていなかっただろう。

 でも、フリードリヒ様の助言がなければ、もっとかかっていたと思う。

 フリードリヒ様が凄いのであって、私は別に凄くないのでは?


「本来ならもっと時間がかかるのですが、予定を繰り上げて身体強化もやってみましょう」


 ミリヤム様の説明を聞き、”それ”を操る。

 体が軽い!音がよく聞こえる!遠くまで鮮明に見える!


「マリア様……もしかして、もう?」


 返事をして、近くにあった椅子を右手の親指と人差し指でつまみ、持ち上げる。

 驚きを通り越したのか、呆れた顔のミリヤム様がため息をついた。


「私、自身を失いそうです……。それでは解除してみてください」


 ”それ”に解除を命令する。

 あっ!やばい。

 急に重くなった椅子が地面に落ちる。

 足挟むかと思った。危ない、危ない。


「完璧なようですね。ここまでで何か質問はありますか?」

「常に身体強化を使い続けるのは駄目ですか?」


 常に強化していれば、いろいろ便利なんじゃないだろうか?

 

「駄目ですね」


 ミリヤム様が断言する。


「身体強化は少ないとはいえ魔力を消費します。貴方がいくら膨大な魔力を持っていても枯渇してしまいます」

「魔力が枯渇するとどうなってしまうのですか?」

「当然しばらく魔法が使えなくなります。ですが、それ以上に問題になることがあります」


 使えなくなるのもまずいけど、それいじょうにまずいことが……?


「魔力の総量が減ります。なので魔法を使う時は、自分の限界をしっかり把握できるようにしてください」


 確かにそれは問題だ。気を付けないと。


「殿下。このあと予定があるようなので、本日はここまでにいたしましょう」

「ああ。ミリヤム女史、ありがとう。マリア、付いてきてくれないか?」


 フリードリヒ様に連れられて、私は中庭を後にした。

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