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第18話 皇子の思惑の答え

 私たちは、案内されるがままについっていった。

 すれ違うのは最上級の使用人たちのみ。文官などの姿が見えない。

 ここ、皇族の居住エリアでは?

 とある部屋の前で停止した案内係はドアをノックし、中に呼び掛けている。

 ここ、第一皇子殿下の私室だよね?

 緊張しているのだろうか、妙に胸がドキドキする。


「入ってくれ」


 落ち着きのある声が聞こえてきた。なぜか懐かしいと思ってしまった。

 案内係はドアを開き、私たちが入室したのを確認してドアを閉じた。

 目の前にいる男性は陛下と同じ金髪碧眼の超絶イケメンだった。

 私は、挨拶もしていないのに、つい気持ちを口にしてしまった。


『美しい』


 あれ?被った。お兄様とではなく皇子殿下と。

 って、挨拶しなきゃだめでしょ私!


「申し訳ありません!ナッサウ伯爵家マリア・フォン・ナッサウと申します」

「妹が申し訳ありません。ナッサウ伯爵家ハインリヒ・フォン・ナッサウと申します」

「こちらこそすまない。カージフ帝国第一皇子フリードリヒ・イストリアス・カージフだ」


 やっぱり私はこの声に反応してしまう。

 落ち着くけど、落ち着かない。対極の気持ちがせめぎあっている。


「このようなところまで呼びつけてしまってすまない。君たちとは、ゆっくり話したいと思ってな」

「やはり魔法学校の話ですか?」

「そうだ。君たちはさすがだな。しっかりと情報を集めているようで安心した」

「まず魔法学校の意義を殿下の口からお聞きしても?」


 お兄様も皇子殿下も、お互いを探りあっているように見える。

 私は、蚊帳の外になりそうだ。


「そうだな。君たちならばわかっているだろうが、改めて説明しておこう。――――――」


 皇子殿下から説明された内容はだいたい予想通りだった。

  1、魔法戦力の底上げ 2、魔法戦力の把握及び管理

  3、他国に対する示威 4、北方紛争の抑止力


「それでは、殿下の目的を聞いても?」(真さんはどこまで気付いている?)

「ハハハ、やはり君たちは本当に優秀だな。嬉しい限りだ」(だが、転生者探しの件までは話せないな)


 腹の探り合いのような光景をぼーっと眺めている。

 だが、どうしても皇子殿下のことが気になってしょうがない。イケメンだから?


「まずは前提の話をしよう。私は魔法学校プロジェクトの責任者として学校に入学する。だが、他の皇族は選択式にするつもりだ」


 第一、第二皇女殿下は入学するもしないも自由ってことか。


「貴族に関しては成体~二十歳の間に一年は必ず通ってもらうつもりでいる」

「一年は必修で、さらに学びたい者はその後も在籍するということですか」

「そうだ。初年度は基礎である魔法や貴族としての知識教育を施し、希望者には上級学生や研究員、教師などの道を用意するつもりだ」


 夢の世界での義務教育を初年度、それ以降を大学みたいにするってことかな。


「その制度のなかで私は協力者を探すつもりでいる」(転生者もな)

「殿下の皇帝即位のですね?」(私たちに関しては気付いていないか?)

「そこまでわかっているか!そうだ。今回呼んだメンバーも学校での中核の役職を与えて、私の近くに置くつもりでいる」

「中核の役職?」

「そうだ。生徒会と名付けるつもりだ。生徒を統括し、教師たちとともに学校運営に携わってもらう」


 あれ?夢の世界でもあったよね、生徒会。偶然の一致?


「私は責任者として生徒会長になるつもりだ。そして、ハインリヒには副会長をやってもらいたい。どうだろうか?」

「殿下直々のご指名とあらば、否やはございません」(やはり私はあやしいと思っているようだ)

「ありがとう。マリア嬢にも生徒会の役員として協力してほしいのだが?」


 え?私?お兄様みたく優秀ではないと思うのだけど……。

 まあ、陛下にも頼まれた手前、断ることはしないけど。


「私でよろしければ、協力させていただきます」

「二人ともありがとう。ちなみに、一年後の春の社交シーズンにあわせて開校する予定だ」


 え?まだ校舎建築中だけど大丈夫なのだろうか?


「先日、工事の様子を見てまいりましたが、一年後に完成するでしょうか?」(マリアにも気付きつつある感じか)

「すでに現場を見てきていたのか。大丈夫だ。基礎学年に必要な施設のみを優先するから間に合う」

「初年度は基礎学年しかいないから、その間に他の施設の建設を続けるということですか。無茶をしますね」

「皇子殿下はなぜそこまで急いでいるのですか?」


 皇子殿下は少しためらいながらも、決意したように語りだした。


「私は、立太子のためにいろいろな公共事業を立ち上げたと思われている。それを否定するつもりはない。だが、一番の理由は民が豊かに生活して欲しいからなんだ」


 とても、とても立派だと思う。幼いころからひたむきに走り続けてきたのだから。


「魔法学校も我が国が強大であれば、北方紛争に終止符をうてるんじゃないかと思っている。戦争なんてしたくないし、させたくもない」


 とても、とても優しいと思う。戦いたくないから力を得ようとしているのだから。


「その手段として、皇帝という絶大な権力が欲しい。ただの皇子では成せないことを出来るようにするためにだ」


 とても、とても強いと思う。茨の道と知っていても進み続けるのだから。


「わかりました。わたしも皇子殿下のために力を尽くしたいと思います」

「マリア嬢、それならばまずは気安くフリードリヒと呼んではくれないか?」

「ええと、フリードリヒ様?」

「ああ。ハインリヒもそうしてくれるか?」

「仰せのままに。フリードリヒ様」(真さんらしい考え方だな)

「ありがとう。一つ相談なのだが、帝都にいる間は毎日登城してもらえないか?」

「明日は私の魔力測定があるので、明後日からであれば」

「そうか。なら明後日から頼む。エントランスに従者を待たせておくから」

「わかりました。フリードリヒ様、このあと少々時間を頂けませんか?」(やはり伝えるべきだろう)


 お兄様?フリードリヒ様となにかお話があるのだろうか?


「ああ。長くならないならば問題ない」

「ありがとうございます。マリアはエントランスで待っていてくれ」

「わかりました。フリードリヒ様、また明後日伺わせていただきます」

「ああ。マリア嬢、今日はありがとう」


 退室した私は案内されるがままエントランスに向かった。

 それにしてもフリードリヒ様とは、なにか不思議なつながりを感じる。

 初めて会ったのに、ずっと昔から知っているような……。

 しばらくして、お兄様もエントランスに帰ってきた。

 予想外なことがあったが、無事に謁見を終えることができたかな。

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