表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/17

運命の2人




拐われた侍女を救った英雄として、ニコラスは神殿に迎え入れられた。

まあ別にそれがなくても、外から来た男というだけで大歓迎されることは分かっていたけれど。


ニコラスのお世話係として大巫女様に指名されたのは、カースティンだった。

カースティンのすぐ上の姉巫女には、まだ幼い子供がいる。父親はヒューゴーの仲間だ。

前回の漂流者は第4巫女にあてがったから、次は第5巫女の番というところか。


ニコラスがカースティンを籠絡できるように全面協力するとヒューゴーたちに恩着せがましく言ったが、特に手を貸すこともない。

何てったって2人は「運命の相手」なのだ。放っておいても勝手に恋に落ちる。


実際、初めてニコラスを見たときのカースティンは口をポカンと開けて、目玉がボロンと転がり落ちそうなほど見つめていたし、ニコラスのほうもまんざらではなかった。


普段のハキハキとした態度はどこへ行ったのやら、照れながら噛み噛みで自己紹介をするカースティンに、ニコラスはにこりと笑って「お世話になります」と頭を下げた。

その微笑ましい光景を眼前に、私の胸中は穏やかではなかった。


前回の人生で幾度となく2人がいちゃついている場面と重なって見えた。

この裏切り者めとニコラスを恨んだ気持ちを沸々と思い出す。


違う、あれは前回の人生での出来事だ。

今回は私が仕向けて、こうなっているのだ。

私がニコラスをカースティンに引き合わせた。この島から出るために。

この島を出て大金を得て、新たな人生をやり直すために。そのためにニコラスを利用している。

そう自分に言い聞かせ、分かっているのに。みるみるカースティンに心を奪われて行くニコラスを観察していると、胸がざわついた。


カースティンを見るときのニコラスの眼差しはとても優しくて愛おしげで、どこか苦しそうだ。恋をしています、と恥ずかしげもなく顔に書いてある。

王子のくせに身も蓋もなく恋をして、恥ずかしくないんだろうか。

私にはとても真似できない。

いくら運命的な出会いだったとしても、それで周りが見えなくなるなんて。立場上のパートナーとして大事にすべき相手を罠に嵌めて抹殺してしまうなんて。

前回、あなたが私にしたことは絶対に許さない。


だけど今のニコラスは少し不憫である。

訳も分からないまま私に刺され、嵐で船が難破し、海賊に拾われるも3ヶ月も意識不明で、意識が戻ったと思ったら記憶喪失。

不憫で笑える。そう思うと少しは溜飲が下がるが、ただ笑ってもいられない。

ニコラスの記憶はいつ戻るか分からないのだ。今日や明日にでも、突然思い出す可能性だってある。


願わくば、無事にこの島を出て、ニコラスとカースティンとおさらばするまで、記憶を失ったままでいてほしい。

今のニコラスを見た感じ、すぐに記憶が戻ることも無さそうだけど、それは分からないし。

もし突然ニコラスの記憶が戻り、どうして刺したのかと聞かれたら、正直に話すつもりだ。何が私を凶行に駆り立てたのか。

許しを乞うためではない。だから絶対に許さないと言ってやる。


2度目の人生もニコラスに強制終了させられるのだろうか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ