とある冒険者の独白
お久しぶりです!
今回から2章の始まりです。新しい舞台に新しい人物…。
どうぞお楽しみください。
あたしの名前は、コウメ。
この、“古の都キョウアン“で冒険者をやっているものだよ。
…ん?冒険者について知らない?
それなら、この中堅冒険者のあたしが説明してあげよう。
まず、冒険者についてだけど、冒険者はギルドを寄せられる依頼を実行する職業の事だ。
仕事の内容は様々で、犬っころ探しから、ドラゴンの討伐まで何でもござれの、まあ、いわゆる何でも屋だね。
で、この冒険者にも規則があってね、その規則に則って仕事をしている。
1、一度受けた依頼を完遂できなければ、依頼料の半額を提出すること。
2、冒険者同士の争いごとは、自己責任で解決する。その場合の器物破損に付いては、お互いに折半して払うこと。
3、自分のランク以上の依頼は、1ランク上までしか認めない。(ただし、チームの時は、皆の平均より1つ上までとす)
規則はこれだけ。な、簡単だろ?
…ああ、ランクについて知りたい?
ランクは、下から順番にF、E、D、C、B、A、S、SS。
Fは初心者で数個依頼を受けたらランクが上がり、EとDは比較的ランクが上がりやすい、いわゆる初級者。
CとBはランクアップに試験があるが、比較的努力すれば、余程さいのうのないものじゃないかぎり、皆なれるランク。いわゆる中堅者。
あたしは今、Bランクだよ。
問題はここから。
まあ、Aはみんなに認められた強いやつ。そうだな…20人居れば、ドラゴンが倒せるくらい。
Sは、最強と呼ばれてもいい程強いヤツ。5人居れば、ドラゴンを倒せるくらい。
SSは…。人間じゃない。ドラゴンなんて目じゃない。
まあ、ここまで長々と冒険者の説明をしたけど、魔物にもこれと同じランクがあり、冒険者の依頼は、それによってランクが振り分けられる。
もちろん、例外もあるけどね。
まー、説明は以上!
さて、あたしは依頼受ける準備をしようかね。
いつもの防具を身につけ、あたしのトレードマークとも言える、大剣を背中に背負って、準備完了。
最後に、部屋の整理をしする。
冒険者は、いつ死んでもおかしくない職業だ。
それは、魔物と相対するだけではなく、時には盗賊や違法商人の雇われ兵を相手にすることもあるからだ。
だから、いつ死んでも宿に迷惑を掛けないように、部屋を整理して仕事をする。
これが冒険者の基本。
「あ、コウメ姐さんおはようございます。朝ごはん出来てますよ!」
「おはよう、セイラ。今日も元気そうだね。朝ごはん、頂くよ」
「はい!お昼ご飯はどうしますか?」
「お願いしようかねぇ。500円位で何か作ってくれないかい?」
元気よく返事して、厨房に駆けていったセイラをみて、あたしは頬を緩ませた。
私にも、あの子のように、明るくて優しい妹がいるからね。
妹の年齢が15歳で、セイラもその位に見えるから、きっと会ったらいい友達になるだろうということを考えると、頬が緩んでしまうのは仕方ない。
朝ごはんを食べて、お昼ご飯を受け取ったあたしは、冒険者ギルドの依頼が貼ってあるボードへ向かった。
だいたい、依頼の更新は、朝に行われる。
だから、いい依頼をしたいなら朝早くにギルドに行かなければならない。
そんなこともあって、ギルドは混雑を極めていた。
もちろん、その中には知り合いの顔も多く見られる。
「ちっす、コウメさん。どの依頼ですか?」
「んー、無難にゴブリン退治かね」
「また、ソロですか?じゃあ、俺たちと組みませんか?」
ソロで活動するあたしに、パーティのお誘いが来るのは、珍しいことではない。
が、あたしは振り回す武器が武器だから、あんまりパーティを組みたくないというのが本音だ。
だから、今日も丁重にお断りをして、依頼へ向かった。
「さーて、やりますかね」
依頼は、ゴブリンの討伐10体。
これなら夕方には終わるだろう。
予想通り、夕方に依頼を終えたあたしは、ギルドの隣にある酒場で、ビールを飲んでいた。
依頼を終えた後は、ここの酒場で一杯飲むのが、もはや日課になっているのだ。
そして、最近では、これに加えてもう一つ。
ザワリと、酒場がざわめくのが、合図だ。
「おつかれ、コウメ。相席失礼するよ」
「お疲れ様です。今日もお怪我はありませんか?」
「こんばんは。お疲れ様でしたー」
見た目にも派手な3人が、当たり前のようにあたしの席に相席する。
これが、ココ最近の流れだ。
「いや、みんなもお疲れ様」
あたしの隣に半分脱力するように席に座ったのは、シシツキという青年だ。
いや、もはや青年と言うのが勿体ないくらいの、美人だ。
んー、何に例えればいいかな…。
ああ、昔、母に読んでもらった絵本の女神みたいな、神々しい感じの美人。
条約により最近禁止された奴隷商人がみたら、喉から手が出るほど欲しがるだろうなという程の美人なこいつが、男だと知った時のあたしの気持ちよ…。
察してくれ。軽くトラウマだ。
で、円状の机の私の向かい側…つまり、シシツキの隣に当たり前のように座ったのは、アイカ。
彼女も、美人なんだけど、人形みたいな芸術品のような美しさを持っている。
最後に、あたしのもう片方の隣に座ったのは、小柄な男の子。
いつもフードを被っているが、チラにも見える口元から、愛らしい男の子なんだろうなと辺りを付けている。
さて、この3人にあたしが出会ったのは、2週間ほど前か。
王都で依頼を済ませた帰り道。王都からキョウアンに来る馬車で一緒になったのだ。
そこで、シシツキが馬車に酔って、真っ青になっている所にたまたま居合わせたあたしが酔い止めの薬を渡したのがきっかけで仲良くなった。
ちなみに、あの時のシシツキは酷かった。
具体的に言うと、死ぬ直前の顔をしていた。
まあ、ここに来たばかりの時に、無名の、冒険者である彼らが、その容姿から舐められまくり、他の冒険者たちをフルボッコにして、この街の付近に3あると言われるダンジョンを2つ制覇して、今や有名な冒険者になっているのは、感慨深いものがあるね。
あたしがしみじみとしていると、シシツキが怪訝そうな顔をした。
「どうしたの?」
「いや、何でも。それより、もう薬のぶんの礼は貰ったよ。だから、ビール代はもう…」
あたしがヘラりと笑いながら言うと、シシツキは首を横に振った。
「コウメには、宿とかも紹介してもらったからね。もう少しお礼させて」
「そうです、遠慮せずに飲んでください」
美人2人にそう言われると、断れる気がしない。
結局今回も有り難く、奢ってもらうことになってしまった。
でも、3人と話をしながら飲む酒というは、とても美味いものだ。
いい時間になって、3人と酒場で別れ、宿に帰るとあたしは防具を外して、ベットに飛び込んだ。
酒で陽気になった思考のまま、あたしはココ最近の口癖を口にする。
「あー、愉快、愉快!」




