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知らない地球

フェリスを出発したきずなの船。


次の目的地は――地球。


悠真は久しぶりの故郷に少しわくわくしていた。


「地球か。懐かしいな。」


あかりも笑う。


「帰ったら何食べようかな。」


しかし、ミナが船の画面を見ながら首をかしげた。


「少し変です。」


「何が?」


「依頼元の地球座標が、私たちの知っている地球と一致しません。」


悠真が驚く。


「地球なのに?」


「はい。」


画面には、


『地球・別時間軸』


と表示されていた。



---


地球へ


きずなの船が航路へ入る。


今回は時間旅行ではない。


しかし、地球に近づくにつれて、船の計器が不思議な反応を始めた。


ピピッ。


「大気組成――ほぼ一致。」


「海洋――一致。」


「地表――一致。」


ミナが一瞬黙る。


「でも……人口分布が違います。」


窓の外を見る。


そこに浮かんでいたのは、確かに地球だった。


青い海。


緑の大地。


白い雲。


しかし――。


月の隣に、もう一つの月が浮かんでいた。


あかりが目を丸くする。


「月が……二つ?」



---


二つの月


地球の人々は、二つの月を見慣れているらしい。


都市には巨大な宇宙港があり、地球と月、そしてもう一つの月を結ぶ宇宙船が頻繁に行き交っている。


悠真たちは地上へ降りる。


すると、宇宙港で一人の少女が待っていた。


「こんにちは。」


少女は笑顔で手を振る。


「私はユイ。」


「地球の姉妹レンタル協会から来ました。」


悠真が尋ねる。


「この世界では、月が二つあるの?」


ユイは笑う。


「はい。」


「こちらでは、それが普通です。」



---


もう一つの月


ユイによると、二つ目の月は約800年前に突然現れたという。


名前は――。


ルナ・セカンド。


ただし、普通の月ではない。


「この月には人が住んでいます。」


あかりが驚く。


「月に町があるの?」


「はい。」


「そして地球との交流が始まったことで、姉妹レンタルが大きく発展したんです。」


悠真は少し考える。


「それなら、依頼は月から?」


「いいえ。」


ユイは首を横に振った。


「依頼主は地球です。」


「でも、本当の問題は……。」



---


姉妹レンタルの分裂


ユイは街の中央へ案内する。


そこには二つの建物が並んでいた。


一つは、


『地球姉妹センター』


もう一つは、


『ルナ姉妹センター』


悠真が驚く。


「同じ姉妹レンタルなのに、二つあるの?」


ユイは頷く。


「昔は一つでした。」


「でも、地球とルナ・セカンドで文化が違いすぎて、分かれてしまったんです。」



---


地球側は、


「地球の文化を守るべき」


と考えている。


一方、ルナ・セカンド側は、


「もっと自由に交流するべき」


と考えている。


そして最近――。


二つのセンターの間で、交流をめぐる意見の違いが大きくなっていた。



---


依頼の本当の目的


ユイが言う。


「私たちは、二つのセンターをもう一度一緒にしたいんです。」


「でも、どちらも相手に譲りません。」


あかりが尋ねる。


「じゃあ、私たちは何をすればいいの?」


ユイは笑う。


「姉妹レンタルを一度だけ、地球とルナ・セカンド合同で行ってほしいんです。」


悠真が目を丸くする。


「合同?」


「はい。」


「地球の人とルナ・セカンドの人が、同じ家で一緒に過ごすんです。」



---


最初の二人


その日の夕方。


合同姉妹レンタルの参加者として、二人の少女が選ばれた。


地球側はサキ。


ルナ・セカンド側はレナ。


二人は最初、少し緊張していた。


サキが言う。


「月の生活って、どんな感じ?」


レナが答える。


「地球とあまり変わらないよ。」


「ただ、空がちょっと違うかな。」


サキが笑う。


「じゃあ、今度見せてよ。」


レナも笑った。


「もちろん。」



---


小さな一歩


二人は一緒に食事をした。


地球の料理。


ルナ・セカンドの料理。


最初はお互いに、


「変わった味!」


と言っていた。


でも、そのうち笑い声が増えていく。


やがてサキが言った。


「私、月に行ってみたい。」


レナも答える。


「私も地球の海を見たい。」


悠真は二人を見ながら笑った。


「もう答えは出てるんじゃない?」


あかりも頷く。


「うん。」


「お互いの世界を知りたいって思ってる。」



---


二つの月が重なる夜


夜。


地球から空を見上げる。


青い月と白い月が並んでいる。


その光景を、地球とルナ・セカンドの人々が一緒に見ていた。


二つのセンターの代表も、静かに並んでいる。


そして――。


地球側の代表が手を差し出した。


「これからも、一緒にやりませんか?」


ルナ・セカンド側の代表が、その手を握る。


「もちろん。」


大きな拍手が起きた。



---


その瞬間。


悠真の端末に、新しい通知が届く。


『姉妹レンタル合同計画――成功。』


しかし、その下には見慣れない警告が表示された。


『別時間軸との接続が安定しました。』


『現在の世界との接続を開始します。』


悠真が驚く。


「現在の世界との接続?」


ミナが画面を見る。


「この地球は、どうやら別の未来だけではありません。」


「私たちの世界と、つながろうとしているんです。」


あかりが空を見上げる。


すると――。


二つだった月のうち、一つが淡い光の輪に変わり始めた。


その向こうに、もう一つの地球が見える。


今いる地球。


そして――。


悠真たちが知っている地球。


二つの世界が、少しずつ近づいていた。

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