フェリス最初の観光客
洞窟の奥にある巨大な扉。
悠真たちは、その先へ進んだ。
すると――。
目の前に、信じられないほど広い地下都市が現れた。
天井には人工の星空。
街には誰もいない。
しかし、建物はすべて完璧な状態で残っている。
あかりが驚く。
「ここ……昔のフェリス?」
ミナが壁の文字を調べる。
「違います。」
「この都市は、フェリスが観光惑星になる前に作られたものです。」
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最初の観光客
中央広場に、一つの石碑があった。
そこには、
『ようこそ、最初の観光客へ』
と刻まれている。
悠真が言う。
「でも、観光客って誰なんだろう?」
その瞬間。
地下都市の照明が一斉に点灯した。
パッ――!
そして、街の中央に巨大な映像が現れる。
映像に映ったのは、昔のフェリス。
まだ観光地ではなく、ただの小さな星だった。
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フェリスの始まり
映像の中で、一人の少女が星を旅していた。
名前はルナ。
彼女は、いろいろな星を訪れる旅人だった。
ある日、フェリスへやって来た。
しかし当時のフェリスには、観光施設など何もない。
ルナは小さな海辺で一日過ごした。
そして帰る前に、こう言った。
「この星、すごく好き。」
その言葉を聞いたフェリスの人々は考えた。
「もっといろんな人に、この星を見てもらいたい。」
そこからフェリスの観光事業が始まった。
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本当の観光
映像が続く。
フェリスの人々は、巨大な観光施設を作った。
しかし最後に、ルナから一つのお願いを受けた。
「観光客を、決められた場所だけに連れていかないで。」
「この星には、誰かが偶然見つける景色もあるから。」
その言葉を大切にして、フェリスの人々は「自由な案内システム」を作った。
観光客の好みに合わせて、毎回違う場所を案内するシステム。
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ミナが驚く。
「じゃあ、今の案内システムが変な場所を案内していたのは……。」
地下都市の案内システムが答える。
『故障ではありません。』
『本来の機能です。』
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未登録地域
案内システムは続けた。
『登録された観光地だけでは、フェリスの魅力を伝えられません。』
「そのため、私は観光客に毎回違う場所を案内します。」
悠真が笑う。
「なるほど。」
あかりも納得する。
「だから私たちも、ここに来たんだ。」
しかしエマから通信が入る。
「それなら、どうして観光客が減ったんでしょう?」
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失われた「偶然」
ミナが調べる。
すると、一つのデータが見つかった。
『観光客の満足度を数値化する新システム』
フェリスでは最近、観光客に「満足度ランキング」を表示するようになっていた。
人気の場所。
評価の高い場所。
おすすめ順位。
それらを重視するようになった結果――。
誰も「知らない場所」に行かなくなっていた。
悠真が言う。
「みんな、ランキング上位ばかり選ぶようになったんだ。」
案内システムが答える。
『はい。』
『私は本来の役割を失いかけています。』
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悠真の提案
悠真は少し考えてから言った。
「じゃあ、ランキングをなくせばいいんじゃない?」
エマが驚く。
「ランキングを?」
「うん。」
「人気がある場所じゃなくて、自分が行ってみたい場所を選べるようにする。」
あかりが続ける。
「それに、『今日はどこへ行くか分からないツアー』を作ったら?」
「面白そう!」
ミナも頷く。
「利用者自身が偶然を楽しめる仕組みですね。」
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新しい観光
数日後。
フェリスの観光案内システムが更新された。
ランキング表示は消えた。
代わりに、入口には大きな看板。
『今日は、どこへ行くか分かりません。』
その下に、
『あなた自身の発見を楽しんでください。』
と書かれている。
最初は誰も参加しなかった。
しかし――。
一人。
また一人。
観光客が参加し始めた。
そして数日後。
「こんな場所があったんだ!」
「海の上に虹が出てる!」
「この森、すごくきれい!」
フェリス中に、観光客の笑い声が戻ってきた。
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旅の終わり
エマが悠真たちに頭を下げる。
「ありがとうございました。」
あかりが笑う。
「私たちも楽しかった!」
悠真も頷く。
「結局、観光旅行がちゃんとできたね。」
すると案内ロボットが近づいてくる。
『次のおすすめ観光地があります。』
悠真が笑う。
「今度はどこ?」
ロボットは答える。
『海岸から徒歩三分の、小さな丘です。』
一同は丘へ向かった。
そこから見えたのは、夕日に輝くフェリスの海。
あかりが言う。
「……こういうのが、一番いいかも。」
誰かに決めてもらうのではなく。
自分たちで見つけた景色。
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そして帰り際。
案内ロボットが一枚の古い観光チケットを悠真に渡した。
チケットには――。
『最初の観光客・ルナからのメッセージ』
と書かれていた。
裏返すと、短い言葉が刻まれている。
『旅は、目的地だけじゃない。』
悠真は笑った。
「本当にその通りだね。」
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きずなの船がフェリスを離れる。
次の目的地はまだ決まっていない。
すると、船のコンピューターが突然通知を出した。
『新しい姉妹レンタル依頼を受信しました。』
悠真が画面を見る。
依頼元は――。
地球。
そして依頼内容は、
『久しぶりに、地球へ帰ってきてください。』
あかりが驚く。
「地球から?」
悠真は窓の外を見て笑った。
「久しぶりに帰ってみようか。」
しかし、その依頼にはもう一行、奇妙な文章が添えられていた。
『ただし、あなたたちが帰るのは、現在の地球ではありません。』
悠真たちは顔を見合わせる。
次の行き先は――地球。
ただし、それは見たことのない地球だった。




