姉妹レンタル、最終日
リュミエールの「みんなの家」。
悠真たちは、逆回転する時計に表示された言葉を見つめていた。
『未来――姉妹レンタル、最終日』
あかりが心配そうに尋ねる。
「姉妹レンタルが……終わるの?」
エレナは首を横に振った。
「まだ分かりません。」
「この時計が示しているのは、あくまで一つの未来です。」
悠真が時計を見る。
「だったら、その未来で何が起きたのか見てみよう。」
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遠い未来
時計が光る。
シュンッ――。
周囲の景色が変わった。
そこは、見たことのない巨大都市だった。
空には無数の宇宙船。
地上には、いくつもの「みんなの家」。
銀河中の人々が行き交っている。
一見すると、すべてがうまくいっている。
しかし――。
街の中央にある巨大な看板には、
『姉妹レンタル――本日をもって終了』
と表示されていた。
ひかるが驚く。
「本当に終わってる……。」
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最後の利用者
一軒の「みんなの家」に入る。
そこには、一人の小さな女の子がいた。
名前は――。
ミオ。
ミオは受付の前で、一枚の紙を握っている。
受付の人が優しく言う。
「今日が最後です。」
ミオは小さく頷いた。
「じゃあ……最後の姉妹をお願いします。」
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やがて扉が開く。
入ってきたのは、別の星から来た少女だった。
二人は少し緊張しながら向かい合う。
「こんにちは。」
「こんにちは。」
ミオが尋ねる。
「どこの星から来たの?」
「遠い星、リュミエールの近く。」
「そうなんだ。」
二人は一緒にお茶を飲み、星の話をする。
やがて笑い声が聞こえてくる。
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悠真が見つめる。
「最後の日なのに……。」
あかりが言う。
「楽しそうだね。」
エレナも頷く。
「そうですね。」
「でも、なぜ終わるのでしょう?」
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本当の理由
未来のミオが、受付の人に尋ねる。
「どうして今日で終わるの?」
受付の人は少し考えてから答える。
「もう『レンタル』する必要がなくなったからです。」
ミオが首をかしげる。
「どういうこと?」
受付の人は窓の外を見る。
そこには、銀河中の人々が一緒に暮らす巨大な町があった。
「昔は、知らない世界の人と会うために『姉妹レンタル』が必要でした。」
「でも今では――。」
「誰もが自然に、違う世界の人と友達になれるようになりました。」
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悠真が目を見開く。
「じゃあ……。」
あかりが笑う。
「姉妹レンタルが失敗したんじゃない。」
「役目を終えたんだね。」
エレナも静かに頷いた。
「はい。」
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最後のメッセージ
未来の「みんなの家」の壁に、一枚の古い絵が飾られている。
それは――。
アリアとミナ。
そして、その後に姉妹レンタルを続けてきた人々。
悠真たちの姿も描かれている。
絵の下には、言葉が刻まれていた。
『姉妹レンタルは、人々を永遠につなぐためのものではない。』
『人々が自分でつながれるようになるまで、扉を開けるためのもの。』
悠真はその言葉をじっと見つめた。
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その時。
未来のミオが、壁の絵を見ながら言った。
「ありがとう。」
「昔の姉妹たち。」
「あなたたちが扉を開けてくれたから、今の私たちがあります。」
悠真たちは何も言えなかった。
ただ、あかりが優しく笑った。
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現在へ
時計が再び光る。
シュンッ。
悠真たちはリュミエールへ戻ってきた。
しばらく誰も話さなかった。
やがて悠真が言う。
「姉妹レンタルは、いつか終わるんだ。」
あかりが答える。
「うん。」
「でも、それは悲しい終わりじゃない。」
「みんなが自分でつながれるようになった証拠なんだね。」
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エレナが微笑む。
「では、私たちは何をすればいいでしょう?」
悠真は少し考えた。
そして答える。
「未来のために、今できることを続ける。」
「まだ会ったことのない人たちに、出会う場所を作る。」
「違う世界の人たちが、安心して話せる場所を作る。」
あかりが続ける。
「そして、いつか必要なくなる日が来るまで。」
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その瞬間。
銀河の輪が一斉に輝いた。
地球。
月。
アステリア。
ネオラ。
ネア。
ミラージュ。
ノクタ。
セレス。
エルピス。
エルピス・ノア。
そして、数え切れないほどの星。
すべてが一本の巨大な輪でつながった。
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しかし――。
時計の表示が突然変わる。
『未来観測――追加情報』
「え?」
画面に、未来のさらに先が映る。
そこには「姉妹レンタル」が終わった世界。
誰もが自由に交流している。
そして、その中央に――。
一つの小さな建物。
看板には、
『姉妹レンタル記念館』
と書かれている。
その入口には、アリアとミナの椅子。
そして、その隣にもう一つの椅子が置かれていた。
そこに刻まれていた名前は――。
『悠真・あかり』
二人は驚く。
「僕たちの名前が……?」
さらにその下に、短い言葉が刻まれていた。
『第二の姉妹』
悠真たちは顔を見合わせる。
どうやら、自分たちの旅は未来にまで残っていくらしい。
そして時計は、最後に一つの目的地を表示した。
『次の目的地――記念館の開館日』
「未来へ、もう一度……?」
あかりが笑う。
「行ってみようよ。」
悠真も頷いた。
姉妹レンタルの未来を、自分たちの目で見届ける旅が始まろうとしていた。




