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一万年前への扉

リュミエールの中央にある「みんなの家」。


その一室で、悠真たちは奇妙な時計を見つめていた。


針は普通とは逆方向に進んでいる。


そして表示されている数字は――。


『10000年前』


あかりが恐る恐る尋ねる。


「これ、本当に時間を移動できるの?」


エレナは頷いた。


「正確には、過去の記録を見に行くための装置です。」


「実際の過去を変えることはできません。」


悠真がほっとする。


「それなら安心だね。」



---


一万年前のリュミエール


エレナが装置を起動する。


ウィィィン……。


部屋いっぱいに光が広がった。


すると、目の前の景色が変わった。


そこには――。


今よりずっと自然に覆われたリュミエールがあった。


巨大な森。


青い湖。


そして、まだ建設途中の「みんなの家」。


ひかるが驚く。


「建物がまだ完成してない!」


ミナが記録を確認する。


「一万年前のリュミエールです。」



---


森の中から、二人の子どもが走ってくる。


一人は青い服。


もう一人は白い服。


あかりが目を丸くする。


「この二人……。」


エレナが微笑む。


「アリアとミナです。」


まだ幼い二人だった。



---


初めての出会い


過去の映像を見る。


アリアが森の中で迷っていると、ミナが声をかけた。


「大丈夫?」


アリアは頷く。


「うん。でも、ここがどこか分からないの。」


ミナが笑う。


「私も分からない。」


二人は顔を見合わせる。


そして――。


「じゃあ、一緒に探そう。」


二人は森の中を歩き始めた。



---


悠真がつぶやく。


「これが、最初の出会いなんだ。」


あかりも微笑む。


「姉妹レンタルより、ずっと前なんだね。」


二人は森の奥で、小さな湖を見つけた。


湖のほとりには、珍しい花が咲いている。


アリアが言う。


「この花、きれい。」


ミナが答える。


「じゃあ、この場所を秘密の場所にしよう。」


二人は笑った。



---


最初の約束


その夜。


二人は湖のそばで星空を眺めていた。


アリアが言う。


「いつか、いろんな星の人と会ってみたい。」


ミナが頷く。


「私も。」


「でも、知らない人と仲良くなるのって難しそう。」


アリアは少し考えてから言った。


「じゃあ、最初は一人ずつでいいんじゃない?」


「一人と一人が友達になって。」


「その友達が、また別の誰かと友達になって。」


ミナが笑う。


「それなら、いつかみんな友達になれるかも。」



---


悠真たちは、その言葉を聞いて静かになった。


それはまさに――。


今の「姉妹の輪」の始まりだった。



---


しかし、異変が起きる


突然、過去の映像が乱れた。


ザーッ……。


ミナが端末を確認する。


「おかしいです。」


「過去の記録に、未来からの信号が混ざっています。」


悠真が驚く。


「未来から?」


画面に文字が浮かぶ。


『警告。』


『この記録には、本来存在しない情報があります。』


そして――。


森の奥に、一人の人物が現れた。


その人物は、今の時代の服を着ている。


あかりが驚く。


「えっ……?」


ミナが叫ぶ。


「ありえません!」


「この時代には、現代の人間は存在しないはずです!」



---


人物は二人の少女を遠くから見つめていた。


そして、小さな箱を地面に置く。


その箱は――。


現在、悠真たちが持っているものと同じだった。


『次の姉妹たちへ』


悠真が息をのむ。


「じゃあ、あの箱を置いたのは……。」


人物が振り返る。


その顔は、まだ見えない。


そして、時間装置の映像が急激に乱れ始める。


『記録維持限界。』


『過去への接続を終了します。』


「待って!」


悠真が叫ぶ。


しかし、映像は消えてしまった。



---


現在へ


気がつくと、悠真たちは元の部屋に戻っていた。


あかりが言う。


「結局、あの人は誰だったの?」


エレナも分からない。


「私たちの記録には存在しない人物です。」


ミナが時計を調べる。


すると、裏側に小さな文字が刻まれていることに気づいた。


『最初の出会いを見届けた者へ。』


その下には、さらに一文。


『次は、あなた自身の過去を見なさい。』


悠真が驚く。


「僕自身の過去?」


時計が再び動き出す。


今度は数字が、


『10000年前』


から――。


『現在』


へ。


そしてそのまま、さらに先へ進む。


『未来』


エレナが呟く。


「この時計……。」


「過去だけではありません。」


「未来も見ることができるようです。」



---


悠真は時計を手に取る。


「じゃあ、未来に何が待っているのか見てみよう。」


あかりが頷く。


「うん。」


しかし、その瞬間。


時計の画面に、まだ誰も知らない文字が表示された。


『未来――姉妹レンタル、最終日』


悠真たちは凍りついた。


「最終日……?」


銀河中に広がった「姉妹の輪」。


その未来に、一体何が起きるのか。


時計の針が、未来へ向かって動き始めた。

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