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地図にない星

エルピス・ノアの「みんなの家」。


姉妹の鏡に表示された謎の座標を前に、全員が黙り込んでいた。


グレンの声が通信機から響く。


「その座標を、もう一度確認してください。」


ミナが読み上げる。


「銀河座標……該当なし。」


「古代航路……該当なし。」


「現在の銀河地図にも……存在しません。」


グレンが息をのむ。


「そんな場所は、銀河にはないはずだ。」



---


古い地図


その時、エルピス・ノアの奥から、カイが古い箱を持ってきた。


「もしかしたら、これが関係しているかも。」


箱の中には、古い紙の地図が入っていた。


数千年前に作られたものらしい。


広げてみると――。


そこには現在の銀河地図にはない、小さな星が描かれていた。


星の名前は、


『リュミエール』


あかりが言う。


「きれいな名前だね。」


ミナが地図を調べる。


「この星……。」


「ハルモニアより、さらに外側です。」



---


グレンが驚く。


「リュミエール……。」


「知っているんですか?」


悠真が尋ねる。


グレンはしばらく黙っていた。


「銀河監視船団の最古の記録に、一度だけ名前が出ています。」


「どんな星?」


「『すべての姉妹が最初に集まった場所』。」


全員が驚いた。



---


最初の最初


アリアとミナが作った「姉妹の輪」。


そのさらに前。


まだ銀河に交流ネットワークが存在しなかった頃。


いくつもの星の人々が、初めて一つの場所に集まった。


その場所こそ――。


リュミエール。


しかし、その記録は途中で途切れている。


最後に残っているのは、


『リュミエールは、誰もが帰れる場所となる。』


という一文だけだった。



---


レンが言った。


「じゃあ、アリアとミナもそこへ行ったのかな?」


ミナが答える。


「可能性は高いです。」


「でも、なぜ現在の地図から消えたんでしょう?」


ノアムが静かに言った。


「誰かが消した?」


グレンが答える。


「それも分かりません。」


「だからこそ、監視船団でも調査できなかったのです。」



---


リュミエールへの航路


悠真たちは、リュミエールへ向かうことを決めた。


しかし問題が一つ。


現在の航路が存在しない。


ミラージュのソラが古代地図を眺める。


「この星への道は、普通の航路じゃないのかも。」


「どういうこと?」


「星と星を直接つなぐんじゃなくて……。」


ソラは地図上の星々を線で結んだ。


「『みんなの家』を順番につないでいくんじゃないかな。」



---


地球。


月。


アステリア。


ネオラ。


ネア。


ミラージュ。


ノクタ。


セレス。


エルピス。


エルピス・ノア。


それぞれの「みんなの家」をつなぐ。


すると――。


地図上に一本の光の線が浮かび上がった。


その先に、リュミエールが現れる。


ミナが驚く。


「本当だ……。」


「銀河の輪そのものが、航路になっているんです!」



---


出発


エルピス・ノアの人々が、きずなの船を見送る。


カイがリナに言った。


「また来てくれる?」


リナは笑う。


「もちろん。」


悠真も手を振る。


「今度は、もっとたくさんの仲間と一緒に来よう!」


きずなの船が飛び立つ。


その後ろから、銀河監視船団も続く。


グレンが通信する。


「私たちも同行します。」


悠真が笑う。


「助かります。」


グレンは少し照れながら答えた。


「……私たちも、リュミエールを見てみたい。」



---


地図が変わる


航行中。


突然、船内の地図が書き換わった。


『新しい航路を確認。』


ミナが驚く。


「今、地図そのものが更新されました。」


「誰かが追加したの?」


「いいえ。」


「銀河の輪が、自動的に新しい道を作っています。」


あかりが窓の外を見る。


すると、暗い宇宙に小さな光が次々と灯っていく。


一つ。


二つ。


十。


百。


やがて無数の光が一本の道になる。



---


悠真が呟く。


「これって……。」


ノアムが答える。


「誰かが待っているのかもしれません。」



---


そして、数時間後。


ついに船の前方に、巨大な星が現れた。


淡い金色の光。


周囲には、いくつもの巨大な輪が浮かんでいる。


ミナが震える声で言う。


「見つけました。」


「リュミエールです。」



---


しかし、星に近づいた瞬間。


船内に警告音が響く。


ピピピピッ!


グレンが叫ぶ。


「全船停止!」


悠真が驚く。


「何が起きた?」


グレンが答える。


「リュミエールの周囲に――。」


画面に巨大な影が映る。


無数の宇宙船。


しかし、それらは銀河監視船団の船ではなかった。


すべて、何千年も前の古代船。


そしてその中央に、巨大な旗艦が一隻。


船から通信が届く。


『ここはリュミエール。』


『すべての姉妹の故郷です。』


少し間を置いて――。


『あなたたちは、ようやく帰ってきましたね。』


悠真たちは驚いて顔を見合わせた。


誰も知らない「姉妹の故郷」。


その秘密が、ついに明らかになろうとしていた。

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