姉星からのSOS
エルピスの星空に、突然浮かび上がった文字。
『SOS』
リナは画面を見つめたまま動かなかった。
「姉星……。」
悠真が尋ねる。
「姉星って、どんな星なの?」
リナは古い記録を開いた。
そこには、エルピスとよく似た惑星が映っていた。
名前は――。
エルピス・ノア。
エルピスの人々は、昔からその星を「姉星」と呼んでいた。
かつては頻繁に交流していた。
しかし、数百年前。
突然、通信が途絶えた。
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もう一つの「みんなの家」
ミナが古いデータを解析する。
「姉星にも、『みんなの家』があります。」
リナが驚く。
「本当に?」
「はい。」
さらに記録が見つかった。
そこには、姉星の「みんなの家」の写真が残っていた。
エルピスのものとほとんど同じ建物。
ただし――。
中央に置かれているものが違った。
大きな鏡。
あかりが首をかしげる。
「鏡?」
ミナが答える。
「これは鏡ではありません。」
「通信装置です。」
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その装置の名前は、
『姉妹の鏡』
だった。
エルピスと姉星をつなぐために作られた、古代の通信装置。
しかし、現在は停止している。
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「じゃあ、これを直せば姉星と話せる?」
悠真が尋ねる。
ミナは頷いた。
「可能性はあります。」
「ただし、起動にはエルピス側の七つの町の協力が必要です。」
リナが笑う。
「それなら大丈夫。」
「今日、七つの町は一緒になったから。」
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七つの町の力
海辺の町からは水のエネルギー。
山の町からは鉱石。
森の町からは植物の力。
空中都市からは風のエネルギー。
砂漠の町からは太陽熱。
氷の町からは冷却技術。
そして星の灯台の町からは光。
七つの町が、それぞれの力を「姉妹の鏡」に送る。
ピィィィン……。
鏡のような装置に、淡い光が集まる。
しかし、最後の部分だけ起動しない。
ミナが言った。
「通信回路が一つ足りません。」
リナが驚く。
「何が必要なの?」
ミナは装置を調べる。
そして――。
「音です。」
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ノアムが前に出た。
「それなら、私たちに任せてください。」
ノクタの音響技術を使い、古代の通信周波数を再現する。
低い音。
高い音。
そして、最後に優しい一音。
ポーン……。
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鏡が大きく輝いた。
シュンッ!
画面が現れる。
最初は砂嵐。
次に、暗い部屋。
そして――。
一人の少年が映った。
「……聞こえますか?」
リナが駆け寄る。
「聞こえる!」
少年は驚いた。
「エルピス……?」
「うん!」
「本当に……?」
少年の顔に笑顔が浮かぶ。
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少年の名前はカイ。
姉星エルピス・ノアで、「みんなの家」を守っていた。
「ずっと、通信を送っていました。」
「でも誰にも届きませんでした。」
リナが尋ねる。
「姉星で何があったの?」
カイは答える。
「大きな事故があって、町の通信網が壊れたんです。」
「みんなが別々の場所に避難しました。」
「今は、僕たちだけで古い『みんなの家』を守っています。」
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あかりが言った。
「じゃあ、助けに行こう。」
カイが驚く。
「来てくれるんですか?」
悠真が頷く。
「もちろん。」
しかし、ミナがすぐに警告する。
「待ってください。」
「姉星までの航路は、何百年も使われていません。」
「安全かどうか分かりません。」
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その時、エルピスの七つの町の代表が集まった。
海辺の代表が言う。
「昔は、姉星と一緒に海を研究していた。」
山の代表。
「私たちは鉱山技術を共有していた。」
森の代表。
「植物の種も交換していた。」
空中都市。
「風の研究も。」
砂漠の町。
「太陽エネルギーも。」
氷の町。
「冷却技術も。」
星の灯台の町。
「そして、光を。」
七人が顔を見合わせる。
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リナが言った。
「今度は、私たちが姉星へ行く番です。」
カイが画面越しに笑う。
「待っています。」
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こうして、きずなの船は再び出発することになった。
目的地――。
エルピス・ノア。
数百年ぶりに、二つの星が再びつながろうとしていた。
出発直前。
悠真が宇宙を見上げる。
「あの星にも、きっと『みんなの家』がある。」
あかりが頷く。
「じゃあ、そこにも新しい思い出を作ろう。」
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きずなの船が飛び立つ。
エルピスが遠ざかる。
そして、姉星が近づいてくる。
ところが――。
航路の途中で、船の前方に巨大な物体が現れた。
ミナが叫ぶ。
「何かいます!」
画面に映ったのは、巨大な宇宙船。
その船から通信が入る。
『エルピス・ノアへ向かう船へ。』
『ここから先は、私たちの領域です。』
悠真が驚く。
「誰だ?」
返事が届く。
『私たちは、エルピス・ノアを長い間監視している者です。』
そして最後に――。
『あなたたちを、姉星へ行かせるわけにはいきません。』
きずなの船の前に、巨大な宇宙船が立ちはだかった。




