表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
85/116

姉星からのSOS

エルピスの星空に、突然浮かび上がった文字。


『SOS』


リナは画面を見つめたまま動かなかった。


「姉星……。」


悠真が尋ねる。


「姉星って、どんな星なの?」


リナは古い記録を開いた。


そこには、エルピスとよく似た惑星が映っていた。


名前は――。


エルピス・ノア。


エルピスの人々は、昔からその星を「姉星」と呼んでいた。


かつては頻繁に交流していた。


しかし、数百年前。


突然、通信が途絶えた。



---


もう一つの「みんなの家」


ミナが古いデータを解析する。


「姉星にも、『みんなの家』があります。」


リナが驚く。


「本当に?」


「はい。」


さらに記録が見つかった。


そこには、姉星の「みんなの家」の写真が残っていた。


エルピスのものとほとんど同じ建物。


ただし――。


中央に置かれているものが違った。


大きな鏡。


あかりが首をかしげる。


「鏡?」


ミナが答える。


「これは鏡ではありません。」


「通信装置です。」



---


その装置の名前は、


『姉妹の鏡』


だった。


エルピスと姉星をつなぐために作られた、古代の通信装置。


しかし、現在は停止している。



---


「じゃあ、これを直せば姉星と話せる?」


悠真が尋ねる。


ミナは頷いた。


「可能性はあります。」


「ただし、起動にはエルピス側の七つの町の協力が必要です。」


リナが笑う。


「それなら大丈夫。」


「今日、七つの町は一緒になったから。」



---


七つの町の力


海辺の町からは水のエネルギー。


山の町からは鉱石。


森の町からは植物の力。


空中都市からは風のエネルギー。


砂漠の町からは太陽熱。


氷の町からは冷却技術。


そして星の灯台の町からは光。


七つの町が、それぞれの力を「姉妹の鏡」に送る。


ピィィィン……。


鏡のような装置に、淡い光が集まる。


しかし、最後の部分だけ起動しない。


ミナが言った。


「通信回路が一つ足りません。」


リナが驚く。


「何が必要なの?」


ミナは装置を調べる。


そして――。


「音です。」



---


ノアムが前に出た。


「それなら、私たちに任せてください。」


ノクタの音響技術を使い、古代の通信周波数を再現する。


低い音。


高い音。


そして、最後に優しい一音。


ポーン……。



---


鏡が大きく輝いた。


シュンッ!


画面が現れる。


最初は砂嵐。


次に、暗い部屋。


そして――。


一人の少年が映った。


「……聞こえますか?」


リナが駆け寄る。


「聞こえる!」


少年は驚いた。


「エルピス……?」


「うん!」


「本当に……?」


少年の顔に笑顔が浮かぶ。



---


少年の名前はカイ。


姉星エルピス・ノアで、「みんなの家」を守っていた。


「ずっと、通信を送っていました。」


「でも誰にも届きませんでした。」


リナが尋ねる。


「姉星で何があったの?」


カイは答える。


「大きな事故があって、町の通信網が壊れたんです。」


「みんなが別々の場所に避難しました。」


「今は、僕たちだけで古い『みんなの家』を守っています。」



---


あかりが言った。


「じゃあ、助けに行こう。」


カイが驚く。


「来てくれるんですか?」


悠真が頷く。


「もちろん。」


しかし、ミナがすぐに警告する。


「待ってください。」


「姉星までの航路は、何百年も使われていません。」


「安全かどうか分かりません。」



---


その時、エルピスの七つの町の代表が集まった。


海辺の代表が言う。


「昔は、姉星と一緒に海を研究していた。」


山の代表。


「私たちは鉱山技術を共有していた。」


森の代表。


「植物の種も交換していた。」


空中都市。


「風の研究も。」


砂漠の町。


「太陽エネルギーも。」


氷の町。


「冷却技術も。」


星の灯台の町。


「そして、光を。」


七人が顔を見合わせる。



---


リナが言った。


「今度は、私たちが姉星へ行く番です。」


カイが画面越しに笑う。


「待っています。」



---


こうして、きずなの船は再び出発することになった。


目的地――。


エルピス・ノア。


数百年ぶりに、二つの星が再びつながろうとしていた。


出発直前。


悠真が宇宙を見上げる。


「あの星にも、きっと『みんなの家』がある。」


あかりが頷く。


「じゃあ、そこにも新しい思い出を作ろう。」



---


きずなの船が飛び立つ。


エルピスが遠ざかる。


そして、姉星が近づいてくる。


ところが――。


航路の途中で、船の前方に巨大な物体が現れた。


ミナが叫ぶ。


「何かいます!」


画面に映ったのは、巨大な宇宙船。


その船から通信が入る。


『エルピス・ノアへ向かう船へ。』


『ここから先は、私たちの領域です。』


悠真が驚く。


「誰だ?」


返事が届く。


『私たちは、エルピス・ノアを長い間監視している者です。』


そして最後に――。


『あなたたちを、姉星へ行かせるわけにはいきません。』


きずなの船の前に、巨大な宇宙船が立ちはだかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ