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惑星エルピスの招待状

ハルモニアから送られた、最初の返事。


その相手は――。


惑星エルピス。


悠真が通信ボタンを押す。


「こんにちは。僕たちはハルモニアから通信しています。」


しばらくすると、画面に一人の少女が映った。


銀色の髪。


青い瞳。


そして、首から小さな星形のペンダントを下げている。


「こんにちは。」


少女は少し緊張しながら名乗った。


「私はエルピスのリナです。」



---


エルピスからのお願い


リナは、ハルモニアの映像を見て驚いていた。


「本当に、たくさんの世界とつながっているんですね。」


あかりが笑う。


「うん。最近つながったばかりの世界も多いけどね。」


リナは少し迷ったあと、お願いをした。


「実は、私たちの星にも『みんなの家』があります。」


「でも……誰も使っていません。」


悠真が尋ねる。


「どうして?」


「みんな、自分の町から出たがらないんです。」



---


エルピスには、いくつもの町があった。


海辺の町。


山の町。


森の町。


空中都市。


それぞれ独自の文化を持っている。


けれど、昔ある出来事が起きてから、町同士の交流が減ってしまったという。


「だから、私たちの『みんなの家』は、何百年も閉まったままなんです。」


リナは少し寂しそうに言った。


「私は、もう一度開けたい。」



---


最初の一歩


悠真たちはすぐにエルピスへ行くことにした。


きずなの船がハルモニアを出発する。


今回は、地球、月、アステリア、ネオラ、ネア、ミラージュ、ノクタ、そしてレンの代表も一緒だ。


「また大旅行だね。」


あかりが笑う。


「うん。」


悠真も笑った。


「でも、今度は一つの答えを探しに行くんじゃない。」


「一緒に新しいものを作りに行くんだ。」



---


数時間後。


エルピスが見えてきた。


惑星全体が淡い青色に輝いている。


その中央には巨大な山。


山の頂上には、不思議な光が浮かんでいた。


リナが説明する。


「あれは『星の灯台』です。」


「昔は、エルピスのすべての町をつなぐ役割をしていました。」



---


きずなの船が着陸すると、リナが待っていた。


「来てくれてありがとう!」


悠真たちは、さっそく「みんなの家」へ向かった。


ところが――。


建物の入口には、大きな鍵がかかっている。


そして鍵の横に文字が刻まれていた。


『七つの町が同時に扉を開くこと。』


あかりが首をかしげる。


「七つの町?」


リナが頷く。


「エルピスには七つの主要な町があります。」


「でも、今は互いに連絡を取っていません。」



---


「じゃあ、まずは話をしよう。」


悠真たちは、それぞれの町へ通信を送ることにした。


最初の町は海辺の町。


二つ目は山の町。


三つ目は森の町。


四つ目は空中都市。


五つ目は砂漠の町。


六つ目は氷の町。


そして七つ目は――。


星の灯台のふもとにある、古い町。



---


最初の町は、すぐに返事をくれた。


「交流会? 面白そうだね。」


二つ目も、


「昔はよく交流していました。」


三つ目も、


「もう一度話してみてもいい。」


しかし、四つ目からは返事がない。


五つ目も沈黙。


六つ目も。


そして七つ目も――。



---


リナが困った顔をする。


「やっぱり、難しいのかな。」


あかりが言う。


「まだ始まったばかりだよ。」


「一つ返事をしてくれただけでも、大きな一歩。」


リナが頷く。


「うん。」



---


その夜。


海辺の町から一通のメッセージが届いた。


『明日、私たちが他の町へ行きます。』


続いて山の町。


『私たちも行きます。』


森の町からも。


『一緒に行ってみます。』


三つの町が、久しぶりに同じ場所へ向かうことになった。



---


翌朝。


「みんなの家」の前に、人々が集まり始めた。


最初は三つの町。


やがて四つ目の町からも、一人の代表がやってきた。


五つ目からも一人。


六つ目からも――。


そして最後に。


星の灯台の町から、年配の女性が一人、ゆっくり歩いてきた。


リナが驚く。


「おばあちゃん!」


女性は笑った。


「昔の『みんなの家』を知っているのは、私くらいだからね。」



---


七つの町。


全員がそろった。


すると――。


カチッ。


建物の巨大な鍵が開いた。


扉がゆっくり開く。


中には、古い壁画が残されていた。


そこには七つの町が描かれている。


そして中央には、一つの言葉。


『違う道を歩いても、帰る場所は一つ。』



---


リナは壁画を見上げた。


「これ……ずっと残っていたんだ。」


悠真が笑う。


「じゃあ、今度は新しい絵を追加しよう。」


「新しい絵?」


「ああ。」


七つの町が再び交流を始めた今日のことを、未来に残すんだ。



---


その日、エルピスの「みんなの家」が再び開いた。


町の人々は、それぞれの料理を持ち寄った。


音楽を演奏した。


昔の話をした。


そして、子どもたちは初めて会った相手と楽しそうに遊んだ。


リナは嬉しそうに笑う。


「何百年ぶりなんだろう。」


あかりが答える。


「じゃあ、今日を新しい始まりの日にしよう。」



---


夜。


七つの町の灯りが、一斉に点灯した。


そして山頂の「星の灯台」が輝く。


その光は宇宙まで届いた。


銀河の輪の地図に、新しい表示が加わる。


『エルピス――接続完了』


しかし――。


灯台の光が宇宙へ届いた瞬間、思いがけない返事が返ってきた。


『こちら、エルピスの姉星です。』


リナが凍りつく。


「……姉星?」


悠真が振り返る。


リナは震える声で言った。


「エルピスには、もう一つ惑星があるんです。」


「でも……。」


「その星とは、何百年も前に通信が途絶えています。」


画面に、遠く離れた惑星が映し出された。


そしてそこには――。


『SOS』


の文字が表示されていた。

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