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本当の気持ち

キャンプから帰って数日後。


夏休みも後半に入り、契約終了まであと一週間となった。


どこかぎこちない空気の中でも、四人はできるだけ普段どおりに過ごしていた。


ある日の夕方。


「お兄ちゃん、一緒に買い物に行こう!」


さくらが笑顔で誘う。


「いいよ。」


二人が商店街を歩いていると、さくらはふと立ち止まった。


「ねえ、悠真くん。」


「この一か月、楽しかった?」


「もちろん。」


悠真は迷わず答えた。


「君たちが来てから毎日がにぎやかで、本当に楽しかった。」


その言葉を聞いたさくらは、少しだけ寂しそうに笑う。


「……ありがとう。」



---


その夜。


ひまりは一人で近所の公園にいた。


ブランコに座って夜空を見上げている。


「こんなところにいたのか。」


悠真だった。


「探したぞ。」


「……別に。」


ひまりは目をそらした。


しばらく沈黙が続く。


やがて悠真が口を開く。


「最近、元気ないよな。」


「何か悩みがあるなら話してくれ。」


ひまりは小さく首を振る。


「話せない。」


「どうして?」


「……約束だから。」


契約のことは話せない。


その代わりに、ひまりはぽつりとつぶやいた。


「もし、もう会えなくなったら……。」


「私のこと、忘れないで。」


悠真は驚きながらも、まっすぐ答えた。


「忘れるわけない。」


「大切な思い出だから。」


その一言に、ひまりの瞳が潤む。


「……ありがとう。」



---


翌日。


さくらとひまりのもとに、運営本部から最後の通知が届く。


『最終選択は三日後、午後六時。対象者・春川悠真に最終意思を確認します。』


さらに、その下には今まで知らされていなかった一文が記されていた。


『選ばれなかった契約者は、対象者との思い出を失います。』


「えっ……。」


さくらは息をのむ。


ひまりも通知を見つめたまま動けなかった。


「思い出が……消える?」


二人は初めて、その事実を知った。


残された時間は、あと三日。


誰も笑顔のままではいられない運命が、静かに近づいていた――。

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